トマス・サリーの代表作
ARTIST

トマス・サリー

Thomas Sully

生没年
1783–1872
国・地域
アメリカ(イングランド生まれ)
時代・様式
19世紀アメリカ美術

19世紀前半のフィラデルフィアを代表する肖像画家。舞台人のような動きと優美さを肖像に持ち込みました。

滑らかな筆触と明暗の移り変わりで顔と衣服をまとめ、人物に身振りや視線の動きを与えます。イギリス肖像画の華やかさをアメリカの依頼主に合わせました。

生涯

イングランドに生まれ、幼年期に家族とアメリカへ移住しました。細密画から出発し、ギルバート・スチュアートに学んだ後、ロンドンでトマス・ローレンスの肖像画を研究。1808年にフィラデルフィアへ定住し、ヴィクトリア女王を含む2,000点以上の肖像を手がけました。

COLUMNS関連コラム

  • 作品を知る

    窓は、絵のなかの絵である——欧米の室内画・版画ほか九点

    窓を描くと、その四角のなかに別の景色が入る。室内の暗さと、外の明るさが同居する。九点で、窓の形と位置を読みたい。窓の外を描かず、白く飛ばす方法もある。窓の桟が、外の景色を分割する働きも持つ。九点で、その形を数えたい。

  • 美術史・技法

    一冊の帳面が、百四十八点になる——トマス・サリーの写生帖、メトロポリタン美術館

    五三・一八二。一九五三年に受け入れた、その年の一八二番目の件である。ところが頁ごとに枝番が付き、紙の表と裏で番号が分かれる。一冊が百四十八点として数えられている。一点という単位を、誰がどう決めたのかを読みたい。

  • 美術史・技法

    文字を組んで、名の代わりにする——フランス・ハルスとトマス・サリーの組み合わせ署名

    二つか三つの頭文字を、線を共有させて一つの形にまとめる。今回選んだ九点の署名は、いずれもその組み合わせ文字である。読むにはまず元の文字へほどかなければならない。二百年にわたって使われ続けた、この小さな図形の仕組みを読みたい。

  • 画家を知る

    面積が、千倍以上ひらく——トマス・サリー

    切手二枚ほどの細密画から、人の背丈を超える全身像まで。九点の面積は千倍以上ひらく。注文の形が三つに分かれ、下地も象牙とカンヴァスに割れる。四十年ぶんの仕事を、寸法の欄から読み直したい。白黒でしか見られない一点もある。

  • 画家を知る

    他人の絵を、写して覚える——トマス・サリーの写生帖

    一冊の帖から出た九枚は、どれも他人の絵の写しである。レンブラント、ダヴィッド、レノルズ。名は題に書かれ、疑問符が付くものもある。線だけの速い写しと、淡彩を重ねた写しが同じ帖に同居する。受入の年が一年ずれる記録の癖にも触れる。

  • 画家を知る

    題が、括弧だけで終わる——トマス・サリーの写生帖

    館の題が、括弧に入った「写生帖より」だけになっている。本体が空のまま、出どころだけが残る。九点のうち六点がその形である。題で呼べない絵を、どう区別するのか。インクと淡彩の頁を、記録の書き方の側から読み直したい。

  • 画家を知る

    同じ顔が、二枚ある——トマス・サリー

    夫人の肖像が、四センチ八ミリの象牙と七十四センチの油彩で残る。三十年の間隔がある。同じ人物の肖像が、二つの館に同じ年で残る例もある。子どもの人数が増えるほど画面が大きくなる三枚も並べ、寸法から読み直したい。

  • 画家を知る

    肖像画は、二十日で仕上がった——トマス・サリーの帳簿

    2メートルを超える全身像が、三週間で仕上がっている。トマス・サリーは着手日と完成日と値段を帳簿に書き残した。胸像は50ドル、頭部は30ドル。ヴィクトリア女王の一件を含め、19世紀の肖像画がどんな商売だったのかを記録から読む。