題が、括弧だけで終わる——トマス・サリーの写生帖
館の題が、括弧に入った「写生帖より」だけになっている。本体が空のまま、出どころだけが残る。九点のうち六点がその形である。題で呼べない絵を、どう区別するのか。インクと淡彩の頁を、記録の書き方の側から読み直したい。

題のない絵
美術館の記録では、題が名前の役目をする。
もっとも、題が付かないこともある。
この写生帖の頁が、それにあたる。
題が、括弧だけ
一点から始めたい。

横長の紙である。
左に、人物が二人重なる。
一人は、うつむいて座る。
右に、別の二人が立つ。
線は、細く、速い。
紙の色は、中間の灰色である。
選び方
題が括弧だけの六点と、説明の付く三点。
つまり、両方を並べた。
九点という範囲
この記事で扱うのは九点である。
いずれも、一冊の写生帖の頁である。
そして、いずれも同じ館にある。
つまり、比べやすい。
色が、ほとんどない
九点とも、インクと淡彩である。
つまり、もともと色数が少ない。
題を、見たい
館の題を見たい。
括弧に入った語だけである。
括弧の中身
出どころだけが、括弧に入る。
つまり、本体が空である。
括弧という記号
括弧は、補足を示す。
つまり、本体ではない。
何が、書かれるか
写生帖より、とだけある。
つまり、出どころしか書かれない。
呼べないという問題
題が同じなら、口では区別できない。
つまり、番号に頼る。
題という役目
題は、作品を呼ぶための名である。
つまり、区別のためにある。
内容の説明が、ない
何が描かれているかは、題にない。
つまり、姿を示す語がない。
同じ題という問題
同じ題が六つあれば、呼び分けられない。
つまり、題の役目を果たさない。
六点が、同じ
この記事で扱う九点のうち、六点が同じ題である。
つまり、区別できない。
番号という名前
番号は、重ならない。
そして、記録の中で一意である。
番号で、区別する
区別は、収蔵番号による。
つまり、番号が名の代わりになる。
埋めない
推測で題を当てれば、誤りが残る。
つまり、空けておくほうがよい。
決めないという判断
内容が確かでなければ、書かない。
つまり、慎重さの表れである。
なぜ、題が付かないか
何を描いたか、決められないのだろう。
もっとも、館の記録は説明しない。
だから、当サイトは断定しない。
空欄という情報
空欄は、間違いではない。
つまり、分かっていないという情報である。
分からないと、書く
推測で題を当てれば、後の人が困る。
つまり、空けておくほうが誠実である。
線の速さ
線が、細く、途切れる。
つまり、速く描いている。
一点目の姿
左に二人、右に二人。
つまり、二組に分かれる。
大文字と、小文字
括弧の中の最初の文字を見たい。
括弧の位置
題が括弧だけなら、括弧が先頭になる。
つまり、中が大文字になる。
位置という条件
題の先頭に来れば、大文字になる。
つまり、規則である。
六点は、大文字
題が括弧だけの六点では、大文字である。
三点の位置
七点目、八点目、九点目である。
つまり、番号の後半に集まる。
説明の語
鷲と婦人、献上の場面、裏表紙の内側。
つまり、三通りの説明がある。
三点は、小文字
説明の語が付く三点では、小文字になる。
揃っている点
寸法、技法、年、来歴。
つまり、題以外はすべて同じである。
細部という一貫
記録は、細かい規則にも従う。
つまり、手が入っている。
規則が、ある
題の頭に来るときは大文字、続くときは小文字。
つまり、綴りの規則に従っている。
一点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、横が縦より長い。
記録の細かさ
こうした細部まで、記録は揃えている。
つまり、書き手に意識がある。
二点目も、同じ題

上に、二人の人物が座る。
一人は、横たわるように傾く。
もう一人は、椅子に掛ける。
下に、五人ほどの群れがある。
そして、腕を伸ばす。
左の縁に、綴じの跡が見える。
下の群れ
下の人々は、腕を伸ばす。
そして、動きがある。
二点目の姿
上に二人、下に五人ほど。
つまり、上下で分かれる。
綴じの跡
紙の左端に、黒い帯がある。
つまり、綴じられていた側だろう。
番号の並び
九点の番号は、近い。
つまり、まとめて登録された。
一枚ずつ、番号
頁ごとに番号を与える。
つまり、独立した作品になる。
帖から、外れた紙
写生帖の頁が、一枚ずつになる。
そして、それぞれ番号を与えられる。
二点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、他と同じである。
紙の使い方
空いた場所に、次の図を描く。
つまり、紙を無駄にしない。
一枚に、複数の場面
上と下で、別の場面が描かれる。
つまり、一枚の紙を分けて使う。
三点目も、同じ題

中央に、馬が描かれる。
そして、その上に人が乗る。
左に、倒れた人物がいる。
右にも、人物が重なる。
線が、激しく交差する。
交差という描き方
線が重なり、形が濃くなる。
つまり、勢いで描いている。
三点目の線
線が、激しく交差する。
そして、速い。
戦いの場面か
倒れた人と馬。
つまり、争いの場面だろう。
もっとも、館の記録は説明しない。
倒れた人
左に、倒れた人物がいる。
そして、腕を投げ出す。
馬という要素
中央に、馬が描かれる。
そして、前脚を上げる。
描かれた主題
神話か、歴史か。
つまり、特定できない。
三点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、他と同じである。
題がないという結果
内容が決められなければ、題も付かない。
つまり、二つはつながっている。
三点の共通
一点目から三点目まで、いずれも題が括弧だけである。
そして、いずれも同じ購入である。
四点目という位置
三点ずつ見ていく。
そして、四点目に移る。
三点の年
三点とも、1810年から1820年である。
つまり、揃っている。
四点目は、色が濃い

左に、暗く塗られた場面がある。
その中に、二人の人物がいる。
上に、三日月が見える。
右に、別の人物が線で描かれる。
そして、そこは塗られていない。
暗い部分
左の四角い区画が、濃く塗られる。
そして、輪郭が曖昧になる。
月の形
上に、細い月がある。
つまり、三日月である。
四点目の場面
暗い場所に、二人がいる。
そして、上に月がある。
塗らない部分
右は、紙の色のままである。
つまり、対比が強い。
右の人物
右の人物は、線だけで描かれる。
そして、腕を伸ばす。
二つの段階
左は、淡彩で塗られる。
そして、右は線だけである。
二つの手
線を引く手と、面を塗る手。
つまり、道具も変わる。
どちらが先か
線が先で、塗りが後だろう。
もっとも、館の記録は工程を書かない。
同じ紙の中の、差
仕上げた部分と、途中の部分。
つまり、作業の段階が並ぶ。
筆という道具
淡彩には、柔らかい筆を使う。
そして、線には細い筆を使う。
濃淡の作り方
水の量で、濃さが変わる。
つまり、階調が作れる。
淡彩という技法
インクを水で薄め、面を塗る。
つまり、明暗を作る。
四点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、他と同じである。
三日月という細部
上に、細い月がある。
つまり、夜の場面である。
五点目は、線だけ

左に、跪く人物がいる。
そして、うつむく。
右に、飛ぶような人物がいる。
腕を、後ろへ伸ばす。
背景は、白いままである。
背景の白
背景は、塗られていない。
つまり、紙の色である。
姿勢の差
跪く姿と、飛ぶ姿。
つまり、動きが対照的である。
五点目の人物
左は跪き、右は飛ぶ。
つまり、対照的な姿勢である。
余白の広さ
紙の大半が、空いている。
つまり、二つの図だけである。
一冊という単位
材料は、帖の全体で書かれる。
つまり、頁ごとの差は残らない。
頁ごとの差
塗りのある頁と、線だけの頁。
つまり、実際には差がある。
見えないものを、書く
記録は、帖全体の材料を書く。
つまり、頁ごとには合わない。
技法の欄と、画面
技法の欄には、淡彩とある。
もっとも、この一点には塗りが見えない。
単位という問題
一冊で登録するか、一頁で登録するか。
つまり、数え方の問題である。
前の記事でも
写生帖の記録が帖全体を指す例は、前にもあった。
つまり、珍しくない。
帖全体の記述
技法の欄も、帖全体を指すのだろう。
つまり、頁ごとではない。
五点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、他と同じである。
断定は、しない
館の記録は、説明していない。
だから、当サイトは決めつけない。
六点目は、犬

上に、大きな犬が立つ。
毛が、長い。
右に、犬の頭がもう一つある。
下に、走る犬がいる。
その左に、人物が立つ。
紙の右端に、別の紙が写る。
三つの犬
一枚に、犬が三つ描かれる。
つまり、姿勢を変えている。
毛の描き方
毛が、細い線で描かれる。
そして、方向が揃う。
六点目の犬
上の犬は、毛が長い。
そして、こちらを向く。
六点目の紙
紙の色は、中間の灰色である。
そして、他の八点と同じである。
隣の頁
画像の右に、別の紙の縁が写る。
つまり、開いた帖を撮ったのだろう。
右の縁
右にも、別の紙の縁が写る。
つまり、隣の頁だろう。
綴じの見え方
左の縁に、綴じの跡がある。
つまり、開いた状態である。
撮り方
一頁だけを切り取らずに撮る。
つまり、周りも入る。
三つ目の頭
右上に、犬の頭がもう一つある。
そして、輪郭だけである。
下の犬
下の犬は、走る姿である。
そして、耳が跳ねる。
開いた帖
二枚の紙が、同時に写る。
つまり、開いたまま撮られている。
犬という主題
一枚に、犬が三つ描かれる。
つまり、形を確かめている。
六点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、他と同じである。
人物も、入る
犬の左に、人物が立つ。
そして、細く描かれる。
繰り返すという方法
同じ動物を、姿勢を変えて描く。
つまり、練習である。
七点目は、題がある

左に、大きな鷲がいる。
翼を、大きく広げる。
そして、濃く塗られる。
右に、女性が座る。
腕を、頭の後ろへ回す。
下に、小さな文字がある。
七点目の姿
左に鷲、右に女性。
つまり、二つの図が並ぶ。
鷲の描き方
翼が、大きく広がる。
そして、濃く塗られる。
題に、説明がある
鷲と婦人、という語がある。
つまり、内容が示される。
図が、分かる
鷲も女性も、形がはっきりする。
つまり、名を付けやすい。
なぜ、この一点には題があるか
図が、はっきりしているからだろう。
もっとも、館の記録は説明しない。
二つの部分
説明の語と、出どころ。
つまり、題が二つに分かれる。
小文字の括弧
括弧の中は、小文字で始まる。
つまり、題の途中だからである。
文字の位置
文字は、画面の右下にある。
そして、小さい。
下の文字
画面の下に、小さな数字らしき文字がある。
つまり、収蔵番号だろう。
七点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、他と同じである。
作品に、書かれた番号
小さな紙には、直接書くことがある。
もっとも、館の記録は触れない。
八点目も、題がある

中央に、四角い区画がある。
その中は、濃く塗られる。
高い柱と、丸い天井がある。
そして、人々が集まる。
その左右に、線だけの図がある。
八点目の姿
中央に、建物の内部がある。
そして、人々が集まる。
区画という形
中央だけが、四角く塗られる。
つまり、絵として仕上げられている。
左右の図
左右に、細い線の図がある。
そして、塗られていない。
周りは、途中
左右は、線だけである。
つまり、同じ紙に二つの段階がある。
天井の形
丸い天井が、いくつも並ぶ。
つまり、大きな建物である。
建物の描き方
柱と天井が、細かく描かれる。
つまり、建築を意識している。
九点目は、裏表紙の内側

多くの人物が、散らばって描かれる。
座る人、寄りかかる人、立つ人。
いずれも、線だけである。
左の縁に、綴じの跡がある。
そして、右にも縁が写る。
八点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、他と同じである。
題が、場所を指す
裏表紙の内側、とある。
つまり、頁ではない。
九点目の人物
十人以上が、散らばって描かれる。
そして、姿勢がまちまちである。
表紙の裏も、描く
紙が足りなければ、表紙の裏にも描く。
つまり、余さず使う。
表紙という位置
表紙の裏は、頁ではない。
もっとも、記録では同じ扱いになる。
一点として、登録される
表紙の裏も、番号を与えられる。
つまり、頁と同じ扱いになる。
点という細部
末尾の点は、意味を変えない。
もっとも、記録としては揺れである。
技法の欄に、句点
九点目の技法の欄を見たい。
末尾に、点が付いている。
一点だけの差
九点のうち、この一点だけである。
つまり、例外になる。
八点には、ない
他の八点には、末尾の点がない。
つまり、この一点だけである。
記録の作られ方
技法の欄は、人が入力する。
つまり、揺れは避けにくい。
入力の揺れ
これは、入力の揺れだろう。
もっとも、館の記録は説明しない。
読む人のために
揺れを書けば、記録の作られ方が分かる。
つまり、伝える価値がある。
直さずに、記す
当サイトは、記録を書き換えない。
そして、揺れがあることを書く。
九点目の寸法
縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、他と同じである。
九点の寸法
九点とも、縦22.9センチ、横29.2センチ。
つまり、完全に一致する。
揃うということ
同じ帖なら、切らない限り揃う。
つまり、寸法が一致する。
同じ帖の頁
同じ帖なら、大きさが揃う。
つまり、当然のことである。
十年という幅
1810年から1820年まで。
つまり、十年である。
九点の年
九点とも、1810年から1820年である。
つまり、十年の幅がある。
長く、使う
写生帖は、何年も持ち歩かれる。
つまり、年に幅が出る。
帖という単位
一冊の帖は、何年も使われることがある。
つまり、幅が広くなる。
基金という仕組み
基金は、寄付されたお金である。
そして、その利息で作品を買う。
九点の来歴
九点とも、同じ基金による購入である。
そして、年は1953年。
一九五三年
受入年は、九点とも1953年である。
つまり、同じ日だろう。
一括して、館へ
帖ごと買われたのだろう。
つまり、頁が散らばっていない。
三通りの数
括弧だけが六点、説明つきが二点、場所を指すのが一点。
つまり、六対二対一である。
題の三通り
括弧だけ、説明つき、そして場所を指す題。
つまり、三通りある。
三通りの情報
内容、場所、そして何もない。
つまり、三段階になる。
記録の判断
何を題にするかは、館の判断である。
つまり、方針が表れる。
題が示すもの
何が描かれているか、どこの紙か、あるいは何も。
つまり、情報の種類が違う。
過程という資料
仕上げた面と、線だけの面。
つまり、作業の途中が残る。
見せない紙
写生帖は、売るためのものではない。
つまり、飾らない。
分かることと、分からないこと
分かるのは、寸法・技法・年・来歴である。
そして、分からないのは、六点の内容である。
空白を、空白のまま
当サイトは、空欄を推測で埋めない。
そして、そのことを書き添える。
当サイトの
同じ顔が、二枚あるでも、
この画家の記録の姿を扱った。


