画家を知る

題が、括弧だけで終わる——トマス・サリーの写生帖

館の題が、括弧に入った「写生帖より」だけになっている。本体が空のまま、出どころだけが残る。九点のうち六点がその形である。題で呼べない絵を、どう区別するのか。インクと淡彩の頁を、記録の書き方の側から読み直したい。

(写生帖より)
トマス・サリー《(写生帖より)》メトロポリタン美術館蔵

題のない絵

美術館の記録では、題が名前の役目をする。

もっとも、題が付かないこともある。

この写生帖の頁が、それにあたる。

題が、括弧だけ

一点から始めたい。

(写生帖より)
トマス・サリー《(写生帖より)》1810年から1820年。インク、淡彩、紙。館の記録では、縦22.9センチ、横29.2センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1953年。トマス・サリー《(写生帖より)》メトロポリタン美術館蔵

横長の紙である。

左に、人物が二人重なる。

一人は、うつむいて座る。

右に、別の二人が立つ。

線は、細く、速い。

紙の色は、中間の灰色である。

選び方

題が括弧だけの六点と、説明の付く三点。

つまり、両方を並べた。

九点という範囲

この記事で扱うのは九点である。

いずれも、一冊の写生帖の頁である。

そして、いずれも同じ館にある。

つまり、比べやすい。

色が、ほとんどない

九点とも、インクと淡彩である。

つまり、もともと色数が少ない。

題を、見たい

館の題を見たい。

括弧に入った語だけである。

括弧の中身

出どころだけが、括弧に入る。

つまり、本体が空である。

括弧という記号

括弧は、補足を示す。

つまり、本体ではない。

何が、書かれるか

写生帖より、とだけある。

つまり、出どころしか書かれない。

呼べないという問題

題が同じなら、口では区別できない。

つまり、番号に頼る。

題という役目

題は、作品を呼ぶための名である。

つまり、区別のためにある。

内容の説明が、ない

何が描かれているかは、題にない。

つまり、姿を示す語がない。

同じ題という問題

同じ題が六つあれば、呼び分けられない。

つまり、題の役目を果たさない。

六点が、同じ

この記事で扱う九点のうち、六点が同じ題である。

つまり、区別できない。

番号という名前

番号は、重ならない。

そして、記録の中で一意である。

番号で、区別する

区別は、収蔵番号による。

つまり、番号が名の代わりになる。

埋めない

推測で題を当てれば、誤りが残る。

つまり、空けておくほうがよい。

決めないという判断

内容が確かでなければ、書かない。

つまり、慎重さの表れである。

なぜ、題が付かないか

何を描いたか、決められないのだろう。

もっとも、館の記録は説明しない。

だから、当サイトは断定しない。

空欄という情報

空欄は、間違いではない。

つまり、分かっていないという情報である。

分からないと、書く

推測で題を当てれば、後の人が困る。

つまり、空けておくほうが誠実である。

線の速さ

線が、細く、途切れる。

つまり、速く描いている。

一点目の姿

左に二人、右に二人。

つまり、二組に分かれる。

大文字と、小文字

括弧の中の最初の文字を見たい。

括弧の位置

題が括弧だけなら、括弧が先頭になる。

つまり、中が大文字になる。

位置という条件

題の先頭に来れば、大文字になる。

つまり、規則である。

六点は、大文字

題が括弧だけの六点では、大文字である。

三点の位置

七点目、八点目、九点目である。

つまり、番号の後半に集まる。

説明の語

鷲と婦人、献上の場面、裏表紙の内側。

つまり、三通りの説明がある。

三点は、小文字

説明の語が付く三点では、小文字になる。

揃っている点

寸法、技法、年、来歴。

つまり、題以外はすべて同じである。

細部という一貫

記録は、細かい規則にも従う。

つまり、手が入っている。

規則が、ある

題の頭に来るときは大文字、続くときは小文字。

つまり、綴りの規則に従っている。

一点目の寸法

縦22.9センチ、横29.2センチ。

つまり、横が縦より長い。

記録の細かさ

こうした細部まで、記録は揃えている。

つまり、書き手に意識がある。

二点目も、同じ題

(写生帖より)
トマス・サリー《(写生帖より)》1810年から1820年。インク、淡彩、紙。館の記録では、縦22.9センチ、横29.2センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1953年。トマス・サリー《(写生帖より)》メトロポリタン美術館蔵

上に、二人の人物が座る。

一人は、横たわるように傾く。

もう一人は、椅子に掛ける。

下に、五人ほどの群れがある。

そして、腕を伸ばす。

左の縁に、綴じの跡が見える。

下の群れ

下の人々は、腕を伸ばす。

そして、動きがある。

二点目の姿

上に二人、下に五人ほど。

つまり、上下で分かれる。

綴じの跡

紙の左端に、黒い帯がある。

つまり、綴じられていた側だろう。

番号の並び

九点の番号は、近い。

つまり、まとめて登録された。

一枚ずつ、番号

頁ごとに番号を与える。

つまり、独立した作品になる。

帖から、外れた紙

写生帖の頁が、一枚ずつになる。

そして、それぞれ番号を与えられる。

二点目の寸法

縦22.9センチ、横29.2センチ。

つまり、他と同じである。

紙の使い方

空いた場所に、次の図を描く。

つまり、紙を無駄にしない。

一枚に、複数の場面

上と下で、別の場面が描かれる。

つまり、一枚の紙を分けて使う。

三点目も、同じ題

(写生帖より)
トマス・サリー《(写生帖より)》1810年から1820年。インク、淡彩、紙。館の記録では、縦22.9センチ、横29.2センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1953年。トマス・サリー《(写生帖より)》メトロポリタン美術館蔵

中央に、馬が描かれる。

そして、その上に人が乗る。

左に、倒れた人物がいる。

右にも、人物が重なる。

線が、激しく交差する。

交差という描き方

線が重なり、形が濃くなる。

つまり、勢いで描いている。

三点目の線

線が、激しく交差する。

そして、速い。

戦いの場面か

倒れた人と馬。

つまり、争いの場面だろう。

もっとも、館の記録は説明しない。

倒れた人

左に、倒れた人物がいる。

そして、腕を投げ出す。

馬という要素

中央に、馬が描かれる。

そして、前脚を上げる。

描かれた主題

神話か、歴史か。

つまり、特定できない。

三点目の寸法

縦22.9センチ、横29.2センチ。

つまり、他と同じである。

題がないという結果

内容が決められなければ、題も付かない。

つまり、二つはつながっている。