七センチを超える、細密画——ロバート・フィールド
象牙の肖像には三センチ台のものも多い。ところがこの画家の七点は、いずれも七センチを超える。うち一点だけが四角い木の額に入り、壁に掛ける形になる。大きさが扱いを変えるのだろう。署名らしき文字の写る一点もあわせて見る。

七点という範囲
この記事で扱うのは七点である。
いずれも、象牙に水彩で描かれている。
つまり、技法が揃っている。
七センチを超える細密画
一点から始めたい。

楕円の画面である。
薄紅色の金属の枠が囲む。
上に、平たい金具が付く。
男性が、こちらを向く。
髪は白く、耳の上で膨らむ。
紺の上着を着る。
首に、白い布を大きく巻く。
背景は、上が暗く、下が明るい。
楕円という形
七点とも、画面は楕円である。
そして、角がない。
つまり、視線が中心へ集まる。
顔の大きさ
顔だけを見たい。
縦二センチほどある。
つまり、目や口を描き分けられる。
小さい細密画では、ここが難しい。
大きさ
縦7.3センチ、横5.9センチ。
つまり、手のひらに乗る。
三センチと、七センチ
三センチの画面では、顔は一センチに満たない。
そして、七センチなら二倍になる。
つまり、描ける情報が増える。
細密画としては、大きい
象牙の肖像には、三センチ台のものも多い。
そして、この七点は七センチを超える。
つまり、この画家は大きめを選んでいる。
横の寸法
5.9、5.9、6、6.2、6.7、6.8、7センチ。
つまり、こちらも一センチ一ミリの幅に収まる。
七点の縦
7.3、7.3、7.3、7.9、8.3、8.4、8.9センチ。
つまり、一センチ六ミリの幅に収まる。
揃う理由
板の作り方が同じなら、形も揃う。
つまり、材料の側で決まる。
縦横の比
縦を横で割ると、いずれも一・二前後になる。
つまり、形も揃っている。
揃っているという事実
七点が、ほぼ同じ大きさである。
つまり、規格に近い。
もっとも、館の記録はそう書かない。
薄く削る理由
厚いままでは、光が通らない。
そして、透けなければ地が沈む。
つまり、薄さが明るさを作る。
象牙という支持体
象牙を、紙のように薄く削る。
そして、その上に水彩を置く。
つまり、白い地が下から光る。
反りを防ぐ
薄い板は、台紙に貼って支えることがある。
もっとも、館の記録は書かない。
牙の太さ
牙は、円い断面を持つ。
そして、そこから板を取る。
つまり、大きさに限りがある。
大きく削る難しさ
象牙は、大きく削るほど反りやすい。
そして、割れる危険も増す。
つまり、大きい画面は作りにくい。
割れやすい材
象牙は、乾くと反る。
そして、割れることもある。
つまり、額から外しにくい。
象牙という材料
象牙は、象の牙である。
現在は、多くの国で取引が規制されている。
つまり、いま同じ材料は使えない。
枠の幅
枠は、細い。
そして、絵の面積を減らさない。
金具の形
上の金具は、平たい。
そして、穴が空く。
つまり、鎖か紐を通す。
枠の色
枠は、赤みのある金色である。
つまり、銅を混ぜた合金だろう。
もっとも、館の記録は材を書かない。
二点目は、有名な顔

背景が、赤い。
そして、人物が黒い衣を着る。
髪は白く、後ろで束ねる。
首の布に、細かい襞がある。
赤という背景
赤い背景は、黒い衣とよく分かれる。
そして、顔が中間の明るさになる。
つまり、三段に分かれる。
背景の赤
七点のうち、背景が赤いのはこの一点だけである。
つまり、目立つ。
記録が書かないこと
どの絵を写したかは、書かれていない。
だから、当サイトは断定しない。
写しという仕事
有名な顔は、注文が多い。
そして、同じ構図が繰り返される。
つまり、写しが商品になる。
繰り返し描かれた顔
この人物は、多くの画家が描いた。
そして、写しも多い。
もっとも、館の記録は元になった絵を書かない。
だから、当サイトは断定しない。
象牙の傷み
象牙の上の水彩は、剥がれやすい。
そして、点のように抜ける。
保存という課題
象牙は、湿気で反る。
そして、絵の具が浮く。
つまり、扱いに注意が要る。
傷みの位置
傷は、暗い面に集まる。
つまり、絵の具を厚く置いた場所だろう。
もっとも、館の記録は書かない。
画面の傷
画面の下に、丸い暗い点がある。
つまり、絵の具が落ちた跡だろう。
もっとも、館の記録は書かない。
枠の形
枠は、縦長の長方形である。
そして、内側が段になる。
つまり、額縁の作りである。
三点目は、木の枠

枠が、まったく違う。
四角い木の枠である。
そして、金色が塗られる。
内側の縁
枠の内側に、細い金の縁がある。
そして、楕円に沿う。
絵の位置
楕円の絵は、枠の中央にある。
そして、周りに金色の面が広がる。
掛けるための枠
上に、小さな金具が付く。
つまり、壁に掛けるためだろう。
誰が決めたか
枠を選ぶのは、注文した側だろう。
もっとも、館の記録は書かない。
二つの流儀
首から下げるか、壁に掛けるか。
つまり、同じ技法でも扱いが違う。
身に着けない絵
他の点は、首から下げる形である。
そして、この一点は掛ける形である。
つまり、使い方が分かれる。
剥げの位置
剥げは、下の縁に多い。
つまり、手が触れる場所である。
木の地
剥げた部分は、褐色である。
つまり、木そのものが見えている。
枠の傷み
金色の面が、ところどころ剥げる。
そして、木の地が出る。
つまり、古い枠である。
最も小さい一点との差
最も小さいのは縦7.3センチである。
つまり、一センチ六ミリの差になる。
最も大きい一点
縦8.9センチである。
つまり、七点で最も大きい。
大きさと、枠
大きければ、下げるには重い。
だから、掛ける枠になるのだろう。
もっとも、館の記録はそう書かない。
四点目の枠
枠は、薄紅色の金属である。
そして、上に金具が付く。
つまり、一点目と同じ形式である。
二点目との比較
二点目の背景は赤かった。
そして、四点目の背景は明るい灰色である。
つまり、背景の選び方に幅がある。
髪の描き方
髪は、細い線を重ねて描かれる。
そして、額の上で分かれる。
目の描き方
瞳が、はっきり描かれる。
そして、光の点が入る。
つまり、生きた表情を作る。
首の布
白い布が、顎の下で結ばれる。
そして、端が垂れる。
頬の色
頬に、赤みが差す。
そして、輪郭がぼける。
つまり、水で薄めて置いている。
四点目は、若い顔

髪が、茶色である。
そして、短く、乱れる。
つまり、白い被り物をしていない。
二つの世代
年配の人は白い髪、若い人は地の髪。
つまり、世代で分かれるのかもしれない。
もっとも、当サイトは断定しない。
白い髪という習慣
白い髪は、被り物であることが多い。
そして、当時は正装に使われた。
もっとも、館の記録は書かない。
だから、当サイトは断定しない。
髪の色
四点目の髪は、明るい茶である。
そして、光の当たる面が金色に近い。
装いの変化
一点目と二点目は、白い髪である。
そして、四点目は地の髪に見える。
つまり、装いが変わっている。
女性の二点
五点目と七点目は、女性である。
そして、どちらも布を頭に掛ける。
七点の装い
白い髪が四点、地の髪が一点。
そして、女性の二点は被り物である。
短いあいだの変化
五年で、装いが変わる。
つまり、流行の動きが速い。
五年の差
一点目は1799年、四点目は1804年である。
つまり、五年しか離れていない。
肩の線
肩は、下の縁で切れる。
つまり、胸から上だけである。
釦の位置
上着の前に、丸い釦が二つ見える。
そして、金属らしく光る。
襟の高さ
襟は、顎の下まで立つ。
そして、首の布と重なる。
上着の色
上着は、暗い緑がかった色である。
そして、襟が高い。
画面の傷
胸のあたりに、暗い点がいくつかある。
つまり、絵の具が落ちた跡だろう。
揃うということ
同じ寸法が三点あることは、偶然ではないだろう。
もっとも、館の記録は理由を書かない。
三点が、同じ寸法
一点目、四点目、そして六点目も縦7.3センチである。
つまり、三点が揃う。
一点目と、同じ寸法
一点目も四点目も、縦7.3センチ、横5.9センチ。
つまり、まったく同じである。
横だけが、違う
三点の横は、5.9、5.9、6センチである。
つまり、一ミリの差にとどまる。
板を、まとめて作る
象牙の板は、まとめて削られる。
そして、同じ大きさが揃う。
つまり、材料の側の規格である。
同じ型の象牙
同じ大きさに削った板を、続けて使ったのだろう。
もっとも、館の記録はそう書かない。
二点の共通
白黒の二点は、いずれも灰色の台に置かれている。
つまり、同じときに撮られたのだろう。
撮り直しの順
小さな絵は、展示の機会が少ない。
そして、撮り直しが後になる。
白黒の二点
七点のうち、二点が白黒である。
つまり、三割近い。
五点目は、色がない

画像に色がない。
だから、当サイトは色を語らない。
色を、書かない
当サイトは、色のない画像で色を語らない。
つまり、推測で補わない。
明暗だけで、読む
色がなくても、明暗は残る。
そして、形も残る。
つまり、構図は確かめられる。
何が、読めるか
頭から肩へ、薄い布が掛かる。
そして、その布が透ける。
つまり、下の髪が見える。
布の透け方
布の下に、髪の輪郭が見える。
つまり、薄い布である。
頭の布
布は、頭から肩へ回る。
そして、顔の輪郭を縁取る。
衣の襞
胸元に、細かい襞がある。
そして、影が縦に入る。
布の縁
布の縁に、細かい模様がある。
つまり、縁飾りだろう。
肩の形
肩が、なだらかに落ちる。
そして、衣の襞が続く。
明るさの配分
顔と衣が明るい。
そして、背景の左が暗い。
つまり、人物が浮かぶ。
水平の線
右奥の水平線は、水面か地平だろう。
もっとも、館の記録は書かない。
背景の分かれ方
背景の左は暗い。
そして、右は明るく、水平の線がある。
つまり、景色だろう。
「額の内側」という寸法
寸法の欄を見たい。
見える範囲、という語が頭に付く。
つまり、額の内側で測っている。
保存という判断
測る正確さと、作品の安全。
館は、後者を選んでいる。
数字の意味
寸法は、額の内側の数字である。
つまり、絵そのものはもう少し大きい。
外さずに、測る
額から外せば、正確に測れる。
もっとも、外せば傷む危険がある。
つまり、保存を優先している。
直さずに、伝える
当サイトは、記録を書き換えない。
そして、揺れをそのまま書く。
記録の揺れ
同じ画家の同じ技法でも、書き方が変わる。
つまり、登録の時期が違う。
七点のうち、一点だけ
この書き方は、五点目だけである。
つまり、額の形によって扱いが変わる。
六点目の大きさ
縦7.3センチ、横6センチ。
つまり、一点目とほぼ同じである。
六点目に、文字がある

こちらも、白黒である。
そして、枠が写っていない。
二行という形
上に字母、下に数字。
つまり、署名と年の形である。
文字の位置
文字は、人物の左、胸の高さにある。
そして、背景の暗い面に置かれる。
左に、小さな文字
画面の左を見たい。
二行の小さな文字がある。
つまり、署名と年だろう。
他の六点
他の六点には、文字が見当たらない。
つまり、署名は例外である。
署名という習慣
細密画には、小さく署名を入れることがある。
そして、年も添える。
つまり、作者と年が絵の中に残る。
読み取れるか
上の行は、二つの字母に見える。
そして、下の行は数字に見える。
もっとも、画像では読み切れない。
断定は、しない
館の記録は、署名に触れていない。
だから、当サイトは断定しない。
顔の向き
顔は、わずかに右を向く。
そして、目はこちらを見る。
描かれた人
黒い上着を着る。
そして、白い布を首に巻く。
髪は白く、耳の上で膨らむ。
一九九一年
描かれてから百八十九年後である。
つまり、長く家にあった。
姓の一致
姓が同じであることは、記録に残る事実である。
もっとも、血縁かどうかは書かれない。
寄贈者の名
寄贈者の姓に、描かれた人の姓が含まれる。
つまり、家に伝わった絵だろう。
もっとも、館の記録は関係を書かない。
七点目は、名がない

年配の女性である。
白い被り物をかぶる。
そして、その上に濃い色の飾りが載る。
白い衣を着る。
背景の右に、赤い幕がある。
そして、左に景色が開く。
柱らしき形
幕の左に、明るい縦の面がある。
つまり、柱だろう。
幕の色
右の幕は、深い赤である。
そして、縦の襞が入る。
二つの背景
赤い幕と、外の景色。
つまり、内と外が同じ画面に入る。
衣の白
衣は、ほとんど白である。
そして、幕の赤とよく分かれる。
頭の飾り
被り物の上に、濃い色の飾りが載る。
つまり、羽か造花だろう。
もっとも、館の記録は書かない。
景色の色
左奥は、青と緑である。
そして、空が明るい。
題の付け方
名がなければ、姿で題を付ける。
つまり、婦人の肖像となる。
名が、伝わらない
題は、婦人の肖像である。
つまり、誰かが分かっていない。
六点は、名がある
七点のうち、六点には名がある。
つまり、多くは伝わっている。
名が残る理由
家に伝わり、家から館へ渡る。
そして、その経路が記録される。
一八〇四年という年
七点のうち三点が、この年である。
つまり、四割を超える。
三点が、同じ年
1804年の作が三点ある。
つまり、その年に集中している。
七点の年
1799、1800ごろ、1800ごろ、1802、1804が三点。
つまり、六年に収まる。
六年という幅
生涯は五十年である。
そして、七点は六年に収まる。
つまり、ごく一部にすぎない。
短い期間
六年のあいだに、七点が残る。
つまり、注文が多かったのだろう。
もっとも、館の記録はそう書かない。
作者の記録
館の記録を見たい。
アメリカの画家で、英国生まれ、とある。
記録される移動
館の記録は、生地と没地を書く。
つまり、移動の跡が残る。
移り住む
生まれた土地と、働いた土地と、没した土地。
つまり、三つが違う。
三つの土地
生まれたのは英国の州である。
そして、没したのはジャマイカの町である。
つまり、三つの土地が並ぶ。
生没年
1769年ごろ生、1819年没。
つまり、五十年の生涯である。
没年は、確かである
没年には、およそ、が付かない。
つまり、記録が残っている。
生年に、およそ
生まれた年には、およそ、という語が付く。
つまり、確かめられていない。
七点の受入年
1924年が二点、1931年、1939年、1946年。
そして、1991年、2006年。
四十五年の空白
1946年の次は1991年である。
つまり、長く間が空く。
前半に、集まる
七点のうち五点は、1946年までに入っている。
つまり、前半に集中する。
八十二年の幅
つまり、八十二年かけて集まった。
買うか、贈られるか
購入が四点、遺贈が二点、寄贈が一点である。
基金という仕組み
基金は、寄付されたお金である。
そして、その利息で作品を買う。
つまり、寄付が長く働き続ける。
四つの基金
購入に使われた基金は、四つある。
つまり、別々の資金である。
七点を、並べ直す
大きさは、七センチから八センチ台に揃う。
そして、枠は二通りに分かれる。
大きさと、扱い
最も大きい一点だけが、掛ける枠である。
つまり、大きさが扱いを決めている。
もっとも、館の記録はそう書かない。
二通りの使い方
下げる枠と、掛ける枠。
つまり、同じ画家の絵が二通りに扱われる。
分かることと、分からないこと
分かるのは、寸法・技法・年・来歴である。
そして、分からないのは、一人の名と署名の文字である。
記録の範囲で、書く
当サイトは、記録と画像で確かめられることを書く。
そして、それ以上は推測として括る。
当サイトの
額に入ったまま、測るでも、
象牙に描かれた肖像を扱った。


