画家を知る

板の表と裏に、別の絵——ベルンハルト・シュトリーゲル

表に夫婦の顔、裏に二つの家の紋章。板絵の裏面まで公開された六点から、両面の絵という形式と、後世に加えられた補強の跡を読む。祭壇画の翼二枚も加え、織物と木と金という、三つの異なる面の描き分けを見ていく。

ハンス・ロート(表)
《ハンス・ロート(表)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

帽子の男が、果実を持つ

一枚の肖像から始めたい。

ハンス・ロート(表)
ベルンハルト・シュトリーゲル《ハンス・ロート(表)》1527年。油彩・板。見える面の寸法は縦42.6センチ、横30センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。《ハンス・ロート(表)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

男が半身で描かれている。

大きな黒い帽子をかぶる。

つばが平たく、左右へ広く張り出す。

顔は丸く、頬に肉がある。

首元には、細かい襞のある白い襟が立つ。

肩から胸へ、茶色の毛皮の縁飾りがかかる。

右手に、丸い橙色の果実を持つ。

指には、金の指輪がはまる。

背景は二つに分かれている。

左は屋外で、岩山と湖と木立が見える。

右は室内で、緑の織物が下がる。

背景を、半分に割る

この背景の作りは、当時よく使われた。

片側に風景、片側に織物。

こうすると、屋内と屋外が同時に描ける。

風景は、広がりと季節を示す。

織物は、格式と富を示す。

両方を欲しい注文主には、都合がよい。

境目には、細い柱が立てられている。

窓枠のようにも、仕切りのようにも見える。

説明しすぎない中間の形である。

描いた人について

ベルンハルト・シュトリーゲルは、南ドイツの画家である。

メミンゲンという町を拠点にした。

生年は一四六〇年ごろ、没年は一五二八年とされる。

つまり、この肖像は最晩年の作にあたる。

宮廷の仕事も手がけたと伝えられる。

肖像と祭壇画の両方を残した画家である。

今回の六点は、その両方を含む。

肖像が四点、祭壇画の一部が二点。

一人の画家の仕事の幅が見える組み合わせである。

果実という持ち物

手の中の橙色の果実に注目したい。

種類は特定しにくい。

林檎か、それに類する果実だろう。

肖像画で果実を持たせる例は多い。

意味を読むこともできる。

林檎は、原罪や誘惑と結びつけられる。

一方で、単なる持ち物という可能性もある。

手を遊ばせないための小道具である。

指輪と一緒に、右手の存在を示している。

意味を決める前に、構図の役割を見ておきたい。

板の裏側

二枚目は、絵ではない。

ハンス・ロート(裏)
ベルンハルト・シュトリーゲル《ハンス・ロート(裏)》1527年。油彩・板。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。《ハンス・ロート(裏)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

板の裏側が写っている。

木の枠が組まれ、その内側に横木が渡される。

横木は上下に何本も並ぶ。

材は赤茶色で、表面が滑らかである。

中央に、小さな四角い区画が見える。

その中に、赤地の紋章が描かれている。

上部には、鳥のような形の兜飾りがある。

下には、盾の形と縞の模様がある。

つまり、板の裏に紋章が描かれていた。

格子は、後から付けられたもの

この木の格子は、絵の一部ではない。

板の反りを抑えるために、後世に取り付けられたものである。

板絵は、湿度で反る。

反れば、絵具の層が割れる。

そこで、裏に格子状の枠を貼る。

横木は、溝に沿って滑るように作られる。

木の動きを許しながら、反りを抑える仕組みである。

十九世紀から二十世紀にかけて、広く行われた処置である。

現在は、より穏やかな方法が選ばれることが多い。

修復の跡を、公開する

この一点で注目したいのは、館の姿勢である。

裏面の写真を、作品の画像として公開している。

そこには、後世の補強がそのまま写っている。

隠していない。

作品の状態を伝えることを、優先している。

美術館の画像は、作品の理想の姿を見せるものではない。

いまある姿を記録するものである。

裏面の格子は、五百年のうちに加えられた層の一つである。

それも含めて、作品の現在である。

寸法の記録が、合わない

ここで、記録上の疑問を書いておきたい。

館のデータでは、この裏面の寸法が縦42.6センチ、横3センチとある。

しかし画像を見るかぎり、板は横に三十センチ近くある。

数値の誤りの可能性が高い。

公開データには、こうした食い違いが混じることがある。

当サイトは、館の記録を基準にしている。

そのうえで、明らかに合わないものは、そのまま鵜呑みにしない。

疑問は疑問として書き残しておく。

紋章という裏面

肖像の裏に紋章を描くのは、当時の習慣である。

肖像は、掛けるだけでなく、蓋のように使われることもあった。

あるいは、対の二枚を蝶番でつなぐ。

閉じれば、外側に紋章が見える。

開けば、内側に顔が見える。

つまり、閉じた状態と開いた状態で、別の絵になる。

紋章は、家を示す。

顔は、個人を示す。

家と個人が、一枚の板の表裏に並んでいる。

家の徴を、どう読むか

紋章の図柄は、家ごとに決まっている。

盾の形、色、模様、兜の上の飾り。

これらの組み合わせで、家が特定できる。

紋章を調べる学問が、欧州にはある。

その資料を使えば、この紋章の家も分かるだろう。

館の記録には、そこまでの記載はない。

当サイトでも、家名の推定はしない。

分かるのは、赤地に鳥の飾りと縞の盾があることだけである。

見えているものだけを書く。

一五二七年という年

この二点には、年が記されている。

一五二七年である。

画家の没年の前年にあたる。

南ドイツでは、宗教改革が進んでいた時期である。

教会の絵に対する考え方が、大きく揺れていた。

祭壇画の注文が減った地域もある。

その中で、肖像画の需要は続いた。

個人の顔を残すことは、信仰の対立と関わりが薄い。

画家の仕事の重心が、移っていった可能性がある。

木の板という材料

六点は、いずれも板に描かれている。

北方の板絵では、樅や樫、菩提樹などが使われた。

材は、地域で手に入るものによる。

板は、まず乾かす。

乾かないうちに使うと、必ず反る。

その後、接ぎ合わせて必要な大きさにする。

接ぎ目は、裏から見るとよく分かる。

裏面の写真は、そうした構造も伝えている。

絵の表からは見えない情報が、裏にはある。

妻の肖像

三枚目は、対になる一枚である。

マルガレーテ・フェーリン(表)
ベルンハルト・シュトリーゲル《マルガレーテ・フェーリン(表)》1527年。油彩・板。縦43センチ、横30センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。《マルガレーテ・フェーリン(表)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

女性が半身で描かれている。

黒い大きな帽子をかぶる。

つばは平たく、左右へ張り出す。

先の男性の帽子と、形が同じである。

髪は明るい金色で、額の下に巻き毛が出る。

首元には、白い襞襟が高く立つ。

胸には、金の細工の入った当て布がある。

首から、金の鎖が二重に下がる。

衣は黒と焦茶で、腰に金の帯を締める。

背景は、右が屋外の風景、左が赤い織物である。

対の二枚を、並べる

先の男性の肖像と並べてみたい。

背景の配置が、左右で逆になっている。

男性は左が風景、右が織物。

女性は右が風景、左が織物。

つまり、二枚を並べると、風景が外側に来る。

あるいは、織物が外側に来る。

どちらの並びを想定していたかは、判断が要る。

いずれにせよ、二枚は一組として設計されている。

寸法も、ほぼ同じである。

二人の関係

二枚が夫婦の肖像であることは、館の題から分かる。

姓が違うのは、当時の記録の書き方による。

妻は、実家の姓で記されている。

婚姻によって姓が変わらない地域や階層もあった。

裏面に別々の紋章があるのも、その事情と合う。

夫婦の肖像は、婚礼を機に作られることが多い。

年記の一五二七年が、その節目に当たる可能性がある。

ただし、館の記録に婚礼の記載はない。

推測として書くにとどめる。

顔の向きと、視線

二人の顔の向きも見ておきたい。

男性はやや右を向く。

女性はやや左を向く。

つまり、並べれば向かい合う。

これは、対の肖像の原則どおりである。

ただし、二人の視線はこちらへ向いている。

顔は内側、目は正面。

このずれが、絵に生気を与えている。

型どおりでありながら、動きがある。

装身具の描写

女性の肖像では、金の描写が見どころである。

首の鎖は、輪の一つずつが描かれる。

胸の当て布には、細かい織りの文様が入る。

腰の帯にも、金の細工が並ぶ。

指には、指輪がはまっている。

これらは、財を示す品である。

同時に、画家の腕の見せ場でもある。

金属の光は、白と黄の細い線で作る。

線の置き方ひとつで、鈍くも鮮やかにもなる。

もう一つの裏面

四枚目も、板の裏である。

マルガレーテ・フェーリン(裏)
ベルンハルト・シュトリーゲル《マルガレーテ・フェーリン(裏)》1527年。油彩・板。縦43センチ、横30センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。《マルガレーテ・フェーリン(裏)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

こちらも、木の格子が組まれている。

先の一枚と、同じ作りである。

中央の区画に、紋章が描かれる。

赤地に、盾と兜飾りがある。

盾の中には、白い模様が並ぶ。

兜の上には、羽根のような飾りが立つ。

先の紋章とは、図柄が違う。

つまり、別の家の紋章である。

夫と妻、それぞれの家の紋である。

二つの紋章が示すもの

対の肖像の裏に、別々の紋章を描く。

これには意味がある。

婚姻によって、二つの家が結ばれたことを示す。

夫の家と、妻の実家。

その両方を記録している。

肖像は、個人の記念であると同時に、家の記録でもある。

裏面は、その家の側面を担っている。

表と裏で、役割が分かれている。

一枚の板が、二つの機能を持つ。

板の下に貼られた紙

四枚目の画像には、細部がある。

格子の下のほうに、小さな白い紙が貼られている。

印刷された文字が並んでいるように見える。

来歴を示す札か、修復の記録だろう。

こうした札は、作品の裏によく残る。

所有者の変遷、展覧会の出品歴、修理の年。

いずれも、絵の履歴を伝える資料である。

表面だけを見ていては、分からない情報である。

裏面の公開画像が貴重なのは、この点にもある。

帽子という流行

夫婦の二枚は、帽子が同じ形をしている。

つばの平たい、大きな黒い帽子である。

男女で同じ形をかぶる例は、珍しくない。

十六世紀前半の南ドイツで流行した形だとされる。

服飾は、年代を測る手がかりになる。

襞襟の高さ、袖の膨らみ、帽子の形。

これらは十年単位で変わる。

肖像に年記がなくても、服から年代を推定できる。

この二枚には年記があるので、逆に基準として使える。

一五二七年の南ドイツの装いが、ここに記録されている。

髪と肌の色

二人の肌は、白く塗られている。

頬にだけ、薄く赤みが差す。

これは当時の理想の肌の色である。

日に焼けていないことが、身分の高さを示した。

屋外で働かない暮らしの証しだからである。

髪は、女性が明るい金、男性が茶である。

金髪は、当時の北方で好まれた色でもある。

実際の色をそのまま写したのか、理想に寄せたのか。

肖像画では、常にこの問いが残る。

似せることと、よく見せること。

その配分は、注文主との相談で決まる。

保存という仕事

板絵の保存は、木との付き合いである。

木は、湿度に応じて伸び縮みする。

その動きが、絵具の層を壊す。

だから、温度と湿度を一定に保つ。

それでも、長い年月では変化が起きる。

割れ、反り、絵具の浮き。

そのつど、手当てが必要になる。

裏の格子は、その手当ての一つだった。

いまは、より木を締め付けない方法が選ばれる。

保存の考え方も、時代とともに変わる。

表と裏を、同時に見られない

両面に絵のある作品には、展示の難しさがある。

壁に掛ければ、片面しか見えない。

自立する額に入れて、両面を見せる方法もある。

しかし、場所を取り、保護も難しい。

多くの場合、片面だけが展示される。

裏面は、写真でしか見られない。

公開画像で両面が並んでいるのは、その代わりである。

画面の上でなら、表と裏を並べて見比べられる。

実物ではできないことが、画像ではできる。

祭壇画の一部

五枚目は、性格が変わる。

聖マリア・クレオパとその家族
ベルンハルト・シュトリーゲル《聖マリア・クレオパとその家族》1520〜28年ごろ。油彩・板。縦125.5センチ、横65.8センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。《聖マリア・クレオパとその家族》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

縦が125センチある。

肖像画の三倍近い大きさである。

背景の上半分は、金の面である。

模様が打ち出され、光を返す。

下半分は、木の腰板と灰色の床。

中央に、白い頭巾の女性が座る。

膝に、裸の幼児を抱く。

その隣に、赤い衣の子どもがいる。

背後には、赤い帽子の男と、別の人物が立つ。

手前の床には、白い衣の子どもがしゃがむ。

その前に、小さな獣がいる。

聖なる一族という主題

この主題は、聖なる一族と呼ばれる。

聖母の母を中心に、その娘たちとその家族を描く。

複数の家族が、一つの画面に集まる。

十五世紀から十六世紀の北方で、盛んに描かれた。

祭壇画の翼として、複数枚に分けて描かれることが多い。

今回の二点も、その一組と考えられる。

寸法がほぼ同じで、背景の作りも共通する。

もとは、より大きな祭壇画の一部だったのだろう。

中央の板は、ここにはない。

金地という背景

背景の金は、金箔である。

板に赤い下地を塗り、その上に金箔を貼る。

貼った後、道具で模様を打ち出す。

こうすると、光の当たり方で模様が浮かぶ。

金地は、中世からの伝統である。

現実の空間ではなく、聖なる場を示す。

十六世紀には、風景を背景にする作例が増えていた。

その中で金地を使うのは、やや保守的な選択である。

注文主の希望か、置かれる教会の伝統によるものだろう。

金地と、床の描写

この絵の面白さは、上下の対比にある。

上半分は、金地で現実離れしている。

下半分は、木の腰板と床が具体的に描かれる。

床には、板の目地と影が入る。

つまり、下半分は現実の空間である。

一枚の絵の中で、二つの空間が接している。

古い形式と新しい形式が、同居している。

過渡期の絵によく見られる状態である。

どちらかに統一しない。

そこに、この時期の絵の面白さがある。

床の獣

手前の床にいる小さな獣に注目したい。

四つ足で、毛が濃い。

犬のようにも、別の動物のようにも見える。

白い衣の子どもが、棒のようなものを持って近づく。

遊んでいる場面だろう。

聖なる主題の絵に、こうした日常の細部が入る。

これも、北方の絵の特徴である。

聖書の場面を、身近な生活の中に置く。

見る人が、自分の暮らしと重ねられるようにする。

対になる一枚

六枚目は、その対である。

聖マリア・サロメとその家族
ベルンハルト・シュトリーゲル《聖マリア・サロメとその家族》1520〜28年ごろ。油彩・板。縦125センチ、横65.7センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。《聖マリア・サロメとその家族》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

構成は、先の一枚とよく似ている。

背景の上半分は金地、下半分は腰板と床。

中央に、白い頭巾の女性が座る。

膝に、幼児を抱く。

幼児は、開いた書物に手を伸ばす。

背後の左には、赤い衣の男。

右には、緑の衣の男が立つ。

手前の床には、赤い衣の子どもがしゃがむ。

書物を広げ、書き込んでいるように見える。

その隣に、大きな鳥がいる。

鳥という徴

この鳥は、鷲だと考えられる。

鷲は、福音書記者の一人を示す徴である。

つまり、手前の子どもが誰かを示している。

聖人の徴は、こうした動物や道具で示される。

牛、獅子、天使、鷲。

四人の福音書記者に、それぞれ割り当てられている。

見る人は、それを知っていた。

だから、名前を書かなくても分かる。

いまの私たちには、注記が要る。

二枚を、並べる

五枚目と六枚目を並べてみたい。

寸法は、五ミリしか違わない。

背景の金地の高さも、ほぼ同じである。

床の線の位置も揃っている。

つまり、並べたときに空間が続くように作られている。

祭壇画の翼は、こうして設計される。

一枚ずつ独立しつつ、並べれば一続きになる。

中央の板があれば、三枚で一つの場面になったはずである。

失われた中央を想像しながら見ることになる。

祭壇画が、ばらばらになる理由

祭壇画は、しばしば解体される。

理由はいくつかある。

教会が改築されたとき。

宗教改革で、聖像が撤去されたとき。

そして、売られたときである。

一枚ずつのほうが、売りやすい。

大きな祭壇画を買える人は限られるが、板一枚なら買い手が広がる。

こうして、翼だけが各地の館に散った。

当サイトの
散らばった金地の板絵でも、同じ問題を扱った。

六点を、三つに分ける

今回の六点は、三つの組に分かれる。

夫の肖像の表と裏。

妻の肖像の表と裏。

そして、祭壇画の翼が二枚。

いずれも、単独では完結していない。

対の片方であり、組の一部である。

美術館では、それぞれが独立した番号を持つ。

しかし、もとは組として作られたものである。

番号は管理の都合であって、作品の単位ではない。

そこを混同しないようにしたい。

顔の描き方の一貫性

六点の顔を見比べてみたい。

輪郭は丸く、頬に肉がある。

目は小さめで、上まぶたの線が濃い。

口は小さく、唇の輪郭が明瞭である。

肖像の顔も、聖人の顔も、同じ型で描かれている。

つまり、主題が変わっても、手つきは変わらない。

聖書の人物を、同時代の人の顔で描く。

北方の絵では、これがふつうだった。

聖なるものと日常が、顔の上で地続きになっている。

板絵から、画布へ

十六世紀は、支持体が移り変わる時期でもある。

北方では、長く板が使われてきた。

やがて、画布が広まる。

画布は軽く、大きな画面が作れる。

丸めて運ぶこともできる。

一方で、板のほうが表面が硬く、細密な描写に向く。

シュトリーゲルの世代は、まだ板が主流だった。

六点がすべて板であるのは、その時代を反映している。

材料の選択は、流行だけでなく、描き方も左右する。

六点を、順に見る

最後に、見方を提案したい。

六点を、表面の質で見比べてほしい。

肖像の背景の織物。

裏面の木の格子。

祭壇画の金地。

同じ画家が、まったく違う材質の面を描いている。

織物は、模様を描くことで示す。

木は、材そのものが見えている。

金は、実際に金箔が貼られている。

描くことと、貼ること、そして素材そのもの。

三つの異なるやり方が、六点の中に並んでいる。

一枚の板の表と裏に、それだけの違いがある。

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