大理石を、磁器で真似る——ユナイテッド・ステーツ・ポタリー
釉薬をかけない白い磁器は、大理石の彫刻に似せるために作られた。型で量産できるから、値段も下がる。彫刻を家庭へ届けようとした企てである。粒を貼って毛や巣を作る技法まで、九点で見ていく。複製だから広がるものもある。唯一性が価値ではない。

白い頭巾の少女
一点の磁器から始めたい。

小さな立像である。
少女が、頭から布をかぶる。
そして、その布が体を包む。
両手を、胸の前で合わせる。
足元に、小さな籠が置かれる。
台は、渦の形に飾られる。
全体が、白い。
白い磁器
技法欄を見たい。
パリアン磁器とある。
つまり、特定の種類の磁器である。
釉薬をかけない
パリアン磁器の特徴は、釉薬をかけないことである。
つまり、表面に硝子の膜がない。
そして、艶が出ない。
磁器という材料
磁器について、補いたい。
白い石の粉と、粘土を混ぜて焼く。
そして、高い温度で焼くと、緻密になる。
つまり、白く、硬い。
大理石に、似せる
なぜ、釉薬をかけないのか。
大理石の彫刻に似せるためである。
大理石は、艶がなく、白い。
つまり、その質感を磁器で再現する。
名の由来
名には、地名が含まれる。
大理石の産地として知られる島の名である。
つまり、その石にたとえた名である。
彫刻を、家庭に
大理石の彫刻は、高価である。
そして、重い。
一方、磁器なら型で量産できる。
つまり、安く、軽い。
泥漿という方法
型に流し込む泥を、泥漿という。
そして、型が水を吸って、内側に層ができる。
余った泥を捨てれば、中空の器になる。
つまり、軽く作れる。
型で、作る
パリアン磁器は、型に泥を流し込んで作る。
そして、乾かして型から外す。
つまり、同じ形が何個でも作れる。
同じ像が、多数ある
館にあるのは、そのうちの一点である。
つまり、唯一の品ではない。
そして、同じ像が他の館にもあるだろう。
籠という細部
足元の籠を見たい。
編み目が、細かく彫られている。
そして、蓋が閉じている。
つまり、物語の道具である。
主題の選び方
題を見たい。
よく知られた物語の登場人物である。
つまり、誰でも知っている主題である。
売れる主題
家庭に置く像には、分かりやすさが要る。
そして、物語の主人公は分かりやすい。
つまり、商品としての判断である。
顔の大きさ
顔を見たい。
高さ十五センチほどの像である。
つまり、顔は二センチ足らずだろう。
その中に、目と鼻と口が入る。
布の襞
衣を見たい。
頭から足元まで、襞が流れる。
そして、その襞が深い。
つまり、彫りが効いている。
台の飾り
足元の台を見たい。
渦を巻く形に彫られる。
そして、縁が波打つ。
つまり、像を支えるだけではない。
装飾の一部である。
白一色で、見せる
色がないと、形だけで見せることになる。
だから、襞の深さが重要になる。
そして、影が形を作る。
一九四七年の寄贈
来歴を見たい。
館の記録では、一九四七年の寄贈である。
そして、同じ人物が他の品も寄贈している。
つまり、この工房を集めた収集家だろう。

色のない画像
二点目の画像は、灰色の階調だけである。
つまり、古い記録写真とみられる。
灰色の背景
背景を見たい。
均一な灰色である。
つまり、撮影用の背景紙だろう。
作品の一部ではない。
白い像を、白黒で撮る
もっとも、この作品は白一色である。
つまり、色が失われても、影響は小さい。
そして、明暗だけで形が読める。
白い品と、白黒写真
白い彫刻を白黒で撮ると、階調がよく見える。
そして、影の深さが分かる。
つまり、記録として不足が少ない。
葉の描写
胴の葉を見たい。
細く、先が尖る。
そして、枝から分かれる。
つまり、植物の姿である。
三つの寸法
寸法の記録を見たい。
縦、横、そして奥行きの三つがある。
つまり、立体として測られている。
立体の測り方
一点目は、高さだけが記録される。
そして、二点目は三方向が記録される。
つまり、記録の詳しさが揃っていない。
手の形
両手を見たい。
指を合わせ、胸の前で組む。
そして、肘が体に付く。
つまり、閉じた姿勢である。
跪く姿
画面を見たい。
子どもが、敷物の上に跪く。
そして、両手を胸の前で合わせる。
顔は、やや上を向く。
つまり、祈りの姿勢である。
高さ十二センチ
寸法を見たい。
高さ11.7センチである。
つまり、一点目より小さい。
卓に置く大きさである。
敷物の描写
足元を見たい。
四角い敷物がある。
そして、縁に房が付く。
つまり、細部まで型に彫られている。

毛のざらつき
三点目は、犬の像である。
体は、なめらかである。
一方、頭と胸、そして脚の一部が、ざらついている。
つまり、毛の部分だけが違う。
粒の大きさ
粒を見たい。
きわめて細かい。
そして、密に集まる。
つまり、篩を通した粉だろう。
粒を、貼る
ざらついた部分を見たい。
小さな粒が、密に集まる。
つまり、細かい粘土の粒を貼り付けている。
どうやって作るか
粘土を細かく砕き、篩にかける。
そして、湿った表面に振りかける。
すると、粒が付く。
脚の描写
脚を見たい。
上部は毛で覆われる。
そして、下部はなめらかである。
つまり、刈り込んだ姿である。
質感を、作り分ける
毛と、肌。
その差を、表面の粗さで示す。
つまり、色ではなく手触りで区別する。
口にくわえるもの
犬の口を見たい。
籠のようなものをくわえている。
そして、それも粒で覆われる。
つまり、装飾の一部である。
尾の形
尾を見たい。
先が丸く、毛で覆われる。
そして、上へ跳ね上がる。
つまり、動きのある姿勢である。
大きな像
寸法を見たい。
横22.9センチである。
つまり、九点の中で最も横に広い。
一九四八年の寄贈
来歴を見たい。
館の記録では、一九四八年の寄贈である。
そして、一点目、二点目は一九四七年。
つまり、続けて館へ入っている。
型の分割
大きな立体は、型を分けて作る。
そして、後から接合する。
つまり、工程が増える。
座る女性の像
四点目も、白い像である。

女性が、台の上に座る。
膝を立て、両腕をその上に置く。
そして、顔を正面へ向ける。
衣は、体に沿って流れる。
足元に、小さな道具らしきものがある。
台は、四角い。
台の形
足元の台を見たい。
四角く、平らである。
そして、縁に段がある。
つまり、簡素な台である。
題に、名がない
題を見たい。
《女性の像》である。
つまり、誰かは分からない。
物語の人物か
一点目、二点目には、名がある。
そして、四点目にはない。
つまり、主題が特定されていない。
足元の道具
足元を見たい。
小さなものが置かれる。
籠か、あるいは器だろうか。
館の記録に、説明はない。
姿勢の作り方
姿勢を見たい。
膝を立てて座る。
そして、体が三角形に収まる。
つまり、安定した形である。
衣の襞
衣を見たい。
膝から下へ、襞が流れる。
そして、その襞が深い。
つまり、影が形を作る。
小さな像の難しさ
高さ11.1センチである。
その中に、顔、手、衣の襞が入る。
つまり、型の彫りが細かい。
型から、外す
型で作った像には、継ぎ目が残ることがある。
そして、それを削って整える。
つまり、手仕事の工程がある。
量産でも、人の手が要る。
白の見え方
白い磁器は、光の当たり方で表情が変わる。
そして、影の深さが形を決める。
だから、撮影の照明が重要になる。
一九一四年の購入
来歴を見たい。
館の記録では、一九一四年に基金で購入された。
つまり、九点の中で最も早く館へ入った。

四センチの器
五点目は、きわめて小さい。
高さ4.4センチ、直径5.1センチ。
つまり、九点の中で最も小さい。
鳥の姿
鳥を見たい。
翼をたたみ、頭を前へ向ける。
そして、なめらかである。
つまり、粗い巣との差が大きい。
巣の上の鳥
画面を見たい。
丸い器の上に、小さな鳥が載る。
そして、器の表面が粗い。
つまり、粒で覆われている。
巣に、見立てる
粗い表面は、巣を思わせる。
つまり、粒の技法が主題に合っている。
三点目の毛と、同じ方法である。
取っ手の形
両側の取っ手を見たい。
細く、口から肩へ伸びる。
そして、対称である。
つまり、装飾としての取っ手である。
器の形
下の器を見たい。
丸く、浅い。
そして、口が広い。
つまり、鉢の形である。
同じ技法、違う用途
粒を貼る技法は、一つである。
そして、犬の毛にも、鳥の巣にも使える。
つまり、技法が主題に応じて働く。
粒の付け方
粒を貼る作業を考えたい。
湿った表面に、粉を振りかける。
そして、乾く前に定着させる。
つまり、時間との勝負である。
何に使うか
小さな器の用途は、分からない。
塩を入れる器かもしれない。
あるいは、飾りだけの品かもしれない。
館の記録は、示していない。
五センチの中の細部
直径五センチほどの品である。
その中に、鳥と巣がある。
つまり、型の彫りが細かい。
分類の欄
館の分類欄を見たい。
彫刻とある。
つまり、器ではなく像に分類されている。
分類の考え方
分類には、二つの考え方がある。
用途で分けるか、形で分けるか。
そして、両方の性格を持つ品では、ずれが出る。
当サイトでは、繰り返しこの点に触れてきた。
器か、像か
鳥が載っているから、像である。
そして、器の形もしている。
つまり、両方の性格を持つ。

対の花瓶
花瓶は、対で作られることが多い。
そして、暖炉の上や卓の両端に置く。
つまり、左右対称に飾る。
二つ写る画像
六点目の画像には、器が二つ写る。
そして、いずれも同じ形である。
つまり、対の花瓶だろう。
二つの器の差
二つを見比べたい。
形も、模様も、ほぼ同じである。
そして、寸法も揃うはずである。
もっとも、記録は一つしかない。
寸法の記録は、一つ
もっとも、寸法の記録は一つである。
高さ24.8センチとある。
つまり、どちらの寸法かは分からない。
対の品を、まとめて撮る
対の品は、まとめて撮影されることがある。
そして、一枚の写真を両方の番号に使う。
当サイトでは、繰り返しこの点に触れてきた。
器の形
画面を見たい。
胴が、卵形に膨らむ。
そして、首が細く立つ。
口が、山形に開く。
両側に、細い取っ手が付く。
葡萄の模様
胴を見たい。
葡萄の房と葉が、浮き彫りになる。
そして、下部に楕円の区画が並ぶ。
つまり、二層の装飾である。
口の山形
口を見たい。
山形が、連なって開く。
そして、縁が波打つ。
つまり、花弁のような形である。
白と、暗い部分
画像を見たい。
模様の部分が白く、地が暗い。
つまり、色の差がある。
もっとも、白黒なので実際の色は分からない。
二色の磁器
白い模様を、色の付いた地に貼る技法がある。
そして、その組み合わせが装飾になる。
もっとも、館の記録は技法欄に色を記していない。
だから、当サイトは断定しない。
茶色い花瓶
七点目は、色がある。

杯の形をした器である。
胴が、上へ広がる。
そして、脚が細く、台が六角形。
色は、暗い茶に黄が混ざる。
表面に、斑が流れる。
杯の形
形を見たい。
上が広く、下がすぼまる。
そして、脚が細い。
つまり、杯を大きくした形である。
技法が、違う
技法欄を見たい。
陶器とある。
つまり、磁器ではない。
九点のうち、六点が磁器、三点が陶器である。
陶器と、磁器
陶器は、土を焼いたものである。
そして、磁器は白い石の粉を含む。
つまり、材料が違う。
色の違い
磁器は、白く焼き上がる。
そして、陶器は土の色が残る。
だから、釉薬で色を付ける。
縦の稜線
胴を見たい。
縦の筋が、いくつも走る。
そして、そこで色が薄くなる。
つまり、釉薬が薄くかかっている。
斑の流れ
表面を見たい。
暗い茶と黄が、縦に流れる。
そして、混ざり合う。
つまり、釉薬が溶けて流れた跡である。
流れを、生かす
流れは、完全には制御できない。
つまり、一点ずつ違う。
そして、その違いが見どころになる。
高さ二十九センチ
寸法を見たい。
高さ29.2センチである。
つまり、九点の中で最も高い。
六角形の台
足元を見たい。
六角形の台である。
そして、稜線がはっきりする。
つまり、型で作られている。

黄土色の水差し
八点目は、黄土色である。
胴が、丸く膨らむ。
そして、口が広く開く。
注ぎ口が、左へ伸びる。
取っ手は、動物の形をしている。
胴に、狩りの場面が浮き彫りになる。
取っ手の形
取っ手を見たい。
細長い動物が、身をそらせる。
そして、頭が口の縁に付く。
つまり、動物の姿が取っ手になっている。
口の形
口を見たい。
三方向に、山形が開く。
そして、片側が伸びて注ぎ口になる。
つまり、注ぐための器である。
浮き彫りの場面
胴を見たい。
犬と、鹿らしき動物がいる。
そして、木と葉が背景になる。
つまり、狩りの場面である。
型で、物語を作る
浮き彫りは、型に彫られている。
そして、そこから何個でも作れる。
つまり、物語のある器が量産される。
高さ二十九センチ
寸法を見たい。
高さ28.6センチである。
つまり、七点目とほぼ同じ。
いずれも、大きな器である。
上下の帯
胴を見たい。
上下に、細い帯がある。
そして、そこに小さな模様が並ぶ。
つまり、場面を区切る枠である。
技法欄の記載
技法欄を見たい。
斑のある茶色の陶器とある。
つまり、色まで記されている。
七点目は「陶器」だけだった。
記録の詳しさが、揃わない
同じ工房の品でも、記載の詳しさが違う。
つまり、入力の時期や担当者が違うのだろう。
美術館の記録は、そうして積み上がる。

木の幹の形
九点目は、白い水差しである。
胴が、木の幹の形をしている。
そして、縦の筋が走る。
表面に、細い枝と葉が這う。
取っ手は、枝の形である。
口が、片側へ伸びる。
幹の質感
胴を見たい。
縦の筋が、不規則に走る。
そして、節のような膨らみがある。
つまり、樹皮を模している。
自然を、器にする
器を木に見立てる意匠である。
そして、取っ手を枝にする。
つまり、器の全体が自然の形になる。
白一色で、作る
色がないと、形だけで見せる。
だから、表面の凹凸が重要になる。
そして、影が模様を作る。
三つの寸法
寸法を見たい。
縦、横、奥行きの三つが記録される。
つまり、立体として測られている。
二点目との共通
二点目にも、三つの寸法があった。
そして、三点目にもある。
つまり、九点のうち三点が立体として測られる。
何が、記録を分けるか
理由は、記録の時期だろう。
古い記録は、高さだけを記す。
そして、新しい記録は三方向を記す。
もっとも、館は説明していない。
九点の内訳
九点をまとめたい。
像が五点、花瓶が二点、水差しが二点。
そして、磁器が六点、陶器が三点。
二つの製品
九点は、二つに分かれる。
白い磁器の像と器。
そして、色の付いた陶器の器である。
一つの工房の幅
同じ工房で、両方が作られる。
つまり、高級品と日用品を並行して作る。
そして、その両方が館に残っている。
年代の集中
年代を並べたい。
いずれも、一八四九年から五八年である。
つまり、十年ほどに収まる。
短い活動
九点の年代の幅は、狭い。
つまり、工房の活動期間が短かったのだろう。
もっとも、館の記録は事情を示さない。
大理石を、真似る意味
最後に、パリアン磁器へ戻りたい。
大理石の彫刻を、磁器で再現する。
そして、家庭に置ける値段にする。
誰のための彫刻か
大理石の彫刻は、限られた人しか買えない。
一方、磁器の像は、多くの人が買える。
つまり、彫刻の裾野を広げる技術である。
複製という価値
複製は、原作より劣るとされることがある。
しかし、複製だから広がるものもある。
九点の白い像は、その例である。
唯一でないものを、見る
美術館には、唯一の作品が並ぶ。
しかし、この九点は違う。
同じ型から、多数が作られた。
つまり、唯一性が価値ではない。
何を、見るか
では、何を見るのか。
型の彫りの細かさ。
粒を貼る手の細やかさ。
そして、釉薬の流れ。
つまり、技術そのものである。
そして、それを家庭へ届けようとした企てである。



