画家を知る

緑と黒のあいだ——ジョン・ホワイト・アレクサンダー

画面の三分の一を、白い布が占める。暗さで隠し、光で溶かす画家の八点である。同じ構図の下絵と本画が揃った二枚を比べ、色数を絞って調子だけを残す方法を確かめる。詩人の肖像と、例外的な一枚の風景も含めて八点を並べる。題の色の順が入れ替わる点にも触れる。

休息
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《休息》メトロポリタン美術館蔵

布が、画面を占める

一枚の絵から始めたい。

休息
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《休息》1895年。油彩、カンヴァス。縦132.7センチ、横161.6センチ。メトロポリタン美術館蔵。匿名の寄贈、1980年。ジョン・ホワイト・アレクサンダー《休息》メトロポリタン美術館蔵

横長の画面である。

長椅子に、女性が身を横たえる。

頭は右にあり、体は左へ流れる。

白い衣が、画面の下半分を覆う。

そして、その裾が左端まで届く。

顔は小さく、画面の右上に寄る。

つまり、主役は顔ではない。

布である。

題が、状態を指す

題は《休息》である。

つまり、人物の名ではない。

行為でもなく、場所でもない。

体の状態を指す語である。

そして、絵の内容もそのとおりである。

何かが起きているわけではない。

ただ、横たわっている。

布の量が、主題になる

この絵で目を引くのは、衣の面積である。

画面の三分の一以上を、白い布が占める。

そして、その布に無数の襞が走る。

襞は、体の向きに沿って流れる。

腰から膝へ、膝から足元へ。

そして、床に届いて広がる。

つまり、布が体の動きを語る。

体そのものは、ほとんど見えない。

白の中の、灰色

白い衣といっても、白一色ではない。

襞の谷は、灰色である。

そして、山は明るい白である。

その差が、布の厚みを作る。

さらに、部分によって色味が違う。

背景に近いところは、やや黄色い。

床に近いところは、やや青い。

つまり、周囲の色が布に映り込んでいる。

対角線の構図

画面の構成を見ておきたい。

体は、右上から左下へ流れる。

つまり、対角線である。

そして、長椅子の背が、その線を受ける。

背の縁も、右上から左下へ傾く。

二本の線が、平行に走る。

そのため、画面に流れが生まれる。

止まっている姿なのに、動きがある。

背景の暗さ

背景は暗い。

長椅子の背は、濃い茶色である。

そこに、渦を巻く模様が浮かぶ。

金属の飾りだろうか。

そして、右奥には赤みのある色面がある。

暗い背景があるから、白い衣が際立つ。

明暗の対比が、画面の構造である。

長椅子の飾り

背景の長椅子にも、目を向けたい。

背の部分に、渦を巻く模様がある。

金属か、木の彫りだろう。

暗い中で、わずかに明るく光る。

つまり、家具の装飾が描き込まれている。

当サイトの
家具の金具でも触れたが、
室内の絵には家具の意匠が記録される。

絵は、当時の暮らしの資料にもなる。

顔の扱い

女性の顔は、小さく描かれる。

そして、こちらを見ていない。

視線は、下へ向く。

表情は、はっきりしない。

つまり、誰かを描いた肖像ではない。

題は《休息》である。

人物の名は、記録にない。

状態を描いた絵である。

指輪
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《指輪》1911年。油彩、カンヴァス。縦123.8センチ、横92.4センチ。メトロポリタン美術館蔵。アーサー・ホポック・ハーンの追悼としてメアリー・ハーン・グライムスが寄贈、1912年。ジョン・ホワイト・アレクサンダー《指輪》メトロポリタン美術館蔵

匿名で、館へ入る

この絵の来歴には、記録の特徴がある。

館の記録では、一九八〇年の匿名の寄贈とされる。

つまり、寄贈者の名が公開されていない。

美術館の収蔵には、こうした例がある。

制作は一八九五年である。

そこから八十五年後に、館へ入った。

その間の所有者は、記録に示されていない。

明るい室内

二点目は、明るい絵である。

縦長の画面である。

窓辺に、女性が座る。

そして、緑の衣を着ている。

膝の上には、大きな帽子が置かれる。

帽子の上には、花か果実らしきものがある。

女性は、手元を見ている。

指に、小さなものをつまむ。

題によれば、指輪である。

帽子の置かれ方

膝の上の帽子に注目したい。

つばの広い、麦わららしき帽子である。

そして、上に花か果実が載る。

つまり、飾りのついた帽子である。

外出用の品だろう。

それが、いま膝の上にある。

つまり、外から戻った直後か、これから出るところである。

物が、時間を示している。

光が、輪郭を溶かす

この絵の特徴は、輪郭の弱さである。

窓から入る光が、強い。

そのため、人物の輪郭が背景に溶ける。

肩の線、髪の縁、腕の外側。

いずれも、はっきりしない。

そして、白いカーテンが光を拡散する。

室内全体が、明るい霞のようになる。

色数を、絞る

使われている色は、少ない。

緑、白、灰色、そして帽子の黄土色。

強い赤や青は、ほとんど無い。

つまり、色の幅を狭くしている。

その中で、緑がわずかに変化する。

衣の緑、窓の外の緑、影の緑。

同じ色の階調で、画面を組む。

追悼としての寄贈

この絵の館への入り方も、記録しておきたい。

館の記録によれば、一九一二年の寄贈である。

そして、故人を追悼するための寄贈とされる。

制作は一九一一年である。

つまり、描かれた翌年に館へ渡っている。

同時代の絵が、すぐに美術館に入る例である。

寄贈は、記念の形でもある。

二枚の対比

一点目と二点目を、並べて見たい。

一点目は暗く、二点目は明るい。

一点目は横長で、二点目は縦長である。

一点目は布が主役で、二点目は光が主役である。

制作年は、一八九五年と一九一一年。

十六年の隔たりがある。

つまり、画家の関心が移っている。

縦と横の選び方

画面の形について、もう一度考えたい。

一点目は横長である。

横たわる姿には、横長が合う。

二点目は縦長である。

座った姿と、窓の縦の線に合う。

つまり、主題が画面の形を決めている。

当たり前のようだが、常にそうとは限らない。

世紀の変わり目の画家

この画家について、記録を確認しておきたい。

館の記録によれば、一八五六年に米国のペンシルベニア州で生まれた。

そして、一九一五年にニューヨークで没している。

つまり、十九世紀の終わりから二十世紀の初めに活動した。

米国の画家が欧州で学ぶことが多かった時代である。

もっとも、修業の経歴について当サイトは断定しない。

館の公開記録に、詳細が記されていないためである。

緑と黒の、二枚

三点目と四点目は、対になる作品である。

緑と黒の習作
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《緑と黒の習作》1906年までに制作。油彩、カンヴァス。縦127センチ、横101.9センチ。メトロポリタン美術館蔵。ジョージ・A・ハーン基金による購入、1908年。ジョン・ホワイト・アレクサンダー《緑と黒の習作》メトロポリタン美術館蔵

縦長の画面である。

女性が、椅子に浅く腰かける。

そして、大きく広がった緑の衣を着る。

上半身は黒く、肩は露わである。

手に、黒い扇のようなものを持つ。

視線は、その手元へ落ちる。

背景は、青みのある灰色である。

黒と緑の関係

題にある二色を、確かめたい。

上半身の胴衣は、黒である。

そして、下半身の衣は緑である。

その境目が、腰の位置にある。

つまり、画面が上下で二色に分かれる。

さらに、緑の中にも黒い縞が入る。

黒が、緑の中へ入り込んでいる。

二色は、対立ではなく混ざり合う。

緑の縞

衣の緑には、黒い縞が入る。

縞は、腰から裾へ放射状に走る。

つまり、襞の谷が黒く描かれている。

そして、山は明るい緑である。

その差が、絹らしい光沢を作る。

さらに、筆の跡が縞に沿って残る。

つまり、素早く引かれている。

姿勢の作り方

女性の姿勢を見ておきたい。

上半身は、わずかに前へ傾く。

そして、首が下を向く。

肩は落ち、腕は体の前で交わる。

つまり、体を閉じた姿勢である。

一方、下半身の衣は大きく広がる。

閉じた上半身と、開いた下半身。

その対比が、画面に緊張を与える。

画面の縁

この画像には、カンヴァスの縁が写っている。

上端と左右に、木枠に巻いた部分が見える。

そして、留めた跡らしきものもある。

つまり、額に入れずに撮影されている。

館の記録画像には、こうした撮り方がある。

作品の状態を示すためである。

見る側には、絵の物としての姿が伝わる。

黒と緑の習作(油彩スケッチ)
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《黒と緑の習作(油彩スケッチ)》1906年ごろ。油彩、カンヴァス。縦50.8センチ、横40.6センチ。メトロポリタン美術館蔵。マルグリット・アンド・フランク・A・コスグローブ・ジュニア基金による購入、1995年。ジョン・ホワイト・アレクサンダー《黒と緑の習作(油彩スケッチ)》メトロポリタン美術館蔵

小さいほうの一枚

四点目は、三点目と同じ構図である。

女性が座り、衣が広がり、手元を見る。

しかし、寸法が小さい。

縦50.8センチ、横40.6センチである。

三点目の四分の一ほどの面積になる。

そして、題が《油彩スケッチ》とされる。

つまり、下絵として描かれた一枚だろう。

筆の速さ

四点目の筆を見たい。

衣の縞は、太く、粗い。

一筆で、裾まで引かれている。

そして、背景は塗り残しに近い。

つまり、短い時間で描かれている。

顔も、目鼻の位置を示す程度である。

細部を追わず、全体の調子を確かめる。

下絵の役目が、そこにある。

題が、入れ替わる

ここで、題に注目したい。

三点目は《緑と黒の習作》である。

四点目は《黒と緑の習作》である。

つまり、二つの色の順序が入れ替わっている。

館の記録の通りであり、当サイトも記録に従う。

もっとも、意図的な区別かどうかは分からない。

記録の揺れである可能性もある。

分からないことは、分からないと書く。

下絵と、本画

二枚を比べると、違いがある。

四点目の衣は、黄色みが強い。

三点目の衣は、緑が強い。

そして、四点目のほうが筆が粗い。

背景も、四点目では簡略である。

つまり、色と構図を試した段階の絵である。

そこから、大きな画面へ移す。

二枚が揃う意味

下絵と本画が揃うのは、貴重である。

制作の過程が、二枚で読めるからである。

どこを変えたか、何を残したか。

色の配分、姿勢の角度、背景の扱い。

比べれば、画家の判断が見える。

一枚だけでは、結果しか分からない。

当サイトでは、こうした組を優先して紹介したい。

購入の年が、離れる

二枚の館への入り方も、対照的である。

三点目は、一九〇八年に基金で購入された。

制作から二年ほどしか経っていない。

一方、四点目は一九九五年の購入である。

つまり、およそ九十年の差がある。

本画が先に館へ入り、下絵が後から加わった。

美術館の収蔵は、こうして少しずつ揃う。

ウォルト・ホイットマン
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《ウォルト・ホイットマン》1889年。油彩、カンヴァス。縦127センチ、横101.6センチ。メトロポリタン美術館蔵。ジェレマイア・ミルバンク夫人の寄贈、1891年。ジョン・ホワイト・アレクサンダー《ウォルト・ホイットマン》メトロポリタン美術館蔵

習作という言葉

題にある「習作」について、触れておきたい。

英語の記録では、練習や研究を意味する語が使われる。

しかし、必ずしも未完成を意味しない。

色の組み合わせを主題にした作品にも使われる。

三点目は、大きく、仕上げられている。

つまり、展示を前提とした絵だろう。

題の語が、そのまま制作の段階を示すとは限らない。

白い髭だけが、光る

五点目は、肖像である。

画面のほとんどが、暗い。

黒い衣、黒い背景、黒い椅子。

その中に、白い髭と髪が浮かぶ。

そして、両手の袖口が白く見える。

つまり、明るいのは三か所だけである。

顔、右の袖、左の手。

詩人の肖像

描かれているのは、米国の詩人である。

館の記録では、一八八九年の制作とされる。

そして、一八九一年に館へ寄贈されている。

つまり、制作から二年で美術館に入った。

存命中の人物を描いた絵である。

当サイトの
肖像画という仕事でも触れたように、
肖像は同時代の記録でもある。

暗さで、描く

この絵は、暗さの使い方が徹底している。

衣の襞も、椅子の形も、ほとんど見えない。

見えるのは、髭の白と、手の白だけである。

そのため、視線が顔に集中する。

そして、老いた顔の細部が読める。

眉、瞼、頬の陰。

暗い部分を描かないことで、明るい部分が働く。

暗い一枚

六点目は、さらに暗い絵である。

働く人
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《働く人》1898年ごろ。油彩、カンヴァス。縦101.8センチ、横56.3センチ。スミソニアン協会蔵。ジョン・ホワイト・アレクサンダー《働く人》スミソニアン協会蔵

縦長で、細い画面である。

上部に、女性の顔がある。

そして、下部に大きな器がある。

女性は、その器へ身をかがめる。

背景も衣も、暗い茶色である。

つまり、明暗の差がきわめて小さい。

顔と、器の縁だけが、わずかに明るい。

細長い画面

画面の形にも触れておきたい。

縦101.8センチ、横56.3センチである。

つまり、縦横の比がおよそ十八対十である。

かなり細長い。

そこへ、人物と器を上下に並べる。

上に顔、下に手と器。

細長さが、かがむ動作を強調する。

労働を、描く

題は《働く人》である。

女性が、大きな器で何かを扱う。

洗濯だろうか、あるいは仕込みだろうか。

館の記録には、具体的な説明がない。

だから、当サイトも断定しない。

見えているのは、身をかがめる姿勢だけである。

そして、その姿勢が労働を示す。

見えにくさという表現

この絵の暗さは、見にくさでもある。

画面の詳細が、読み取りにくい。

しかし、それが意図なのだろう。

労働の場は、明るく照らされていない。

薄暗い室内で、手元だけを見る。

その状況が、絵の暗さに重なる。

もっとも、経年による変色の可能性もある。

古い油彩は、樹脂の黄変で暗くなる。

変色という問題

古い油彩の暗さについて、補っておきたい。

仕上げに塗る樹脂は、年月で黄色く濁る。

そして、絵の具そのものも変化する。

つまり、描かれた当時より暗く見えることがある。

洗浄すれば明るくなる場合もある。

しかし、絵の具まで削る危険がある。

だから、館は慎重に判断する。

いま見えている色は、現在の状態である。

明るい一枚

七点目は、対照的に明るい。

六月
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《六月》1911年ごろ。油彩、カンヴァス。縦124.3センチ、横91.6センチ。スミソニアン協会蔵。ジョン・ホワイト・アレクサンダー《六月》スミソニアン協会蔵

白いカーテンの前に、女性が立つ。

そして、ガラスの器を持つ。

器には、赤い花が一輪挿してある。

手前の小卓には、別の花束と白い水差しがある。

女性は、こちらを見ている。

衣は、淡い灰色がかった白である。

背景の白と、ほとんど同じ明るさである。

白の中の、赤

この絵で唯一強い色は、赤である。

手にした花の赤。

そして、卓上の花束にも赤がある。

その二か所だけが、画面から浮き出る。

他はすべて、白と灰色と淡い茶である。

つまり、色の点を二つ置いている。

視線は、その二点を往復する。

題と、季節

題は《六月》である。

つまり、月の名である。

そして、絵には花がある。

初夏の花だろう。

窓からの光も、強く、白い。

つまり、季節を示すのは光と花である。

人物の衣にも、季節が表れる。

袖はふくらみ、生地は薄い。

ガラスの描き方

女性が持つ器は、ガラスである。

丸い胴があり、透けている。

そして、光を集めて明るく光る。

内側に、水と茎が見える。

さらに、外側に窓の光が反射する。

つまり、透過と反射の両方を描いている。

小さな部分だが、腕の見せどころである。

二点目との近さ

七点目は、二点目と近い。

どちらも、窓辺の女性である。

そして、白いカーテンが光を拡散する。

制作年も、一九一一年ごろで一致する。

つまり、同じ時期の同じ関心である。

一方は指輪を見つめ、他方は花を持つ。

いずれも、手元に小さな物がある。

風景の一枚

八点目は、人物がいない。

風景、ニューハンプシャー州コーニッシュ
ジョン・ホワイト・アレクサンダー《風景、ニューハンプシャー州コーニッシュ》1890年ごろ。油彩、カンヴァス。縦77.2センチ、横114.2センチ。スミソニアン協会蔵。ジョン・ホワイト・アレクサンダー《風景、ニューハンプシャー州コーニッシュ》スミソニアン協会蔵

横長の画面である。

手前から奥へ、緑の斜面が広がる。

そして、左に数本の木が立つ。

奥には、石を積んだ低い塀が見える。

上半分は、空である。

青い空に、白い雲が浮かぶ。

緑の斜面

斜面の緑は、一様ではない。

手前は暗く、奥は明るい。

そして、光の当たる帯が斜めに走る。

つまり、雲の影が地面に落ちている。

草地の起伏も、色の差で示される。

筆は、斜面の傾きに沿って動く。

人物画家の風景

この画家の作品は、人物が多い。

八点のうち、七点が人物である。

だから、風景は例外に近い。

もっとも、扱い方は共通する。

色数を絞り、階調で作る。

緑、青、白、そして木の暗い緑。

強い色は、使っていない。

空の重さ

空の描き方を見たい。

上端に近いほど、青が濃い。

そして、地平に近づくと淡くなる。

雲は、白く、輪郭がやわらかい。

つまり、厚い雲ではない。

夏の高い空である。

画面の半分を空が占めるため、開けた印象になる。

制作地の記録

題には、地名が入る。

ニューハンプシャー州コーニッシュである。

米国の北東部にある土地である。

当時、画家や彫刻家が集まった場所として知られる。

もっとも、館の記録にはその説明がない。

だから、当サイトは題に記された地名を伝えるにとどめる。

八点を、並べて見る

最後に、八点の共通点を挙げたい。

まず、色数が少ない。

緑と黒、白と灰色、茶と暗い茶。

いずれも、限られた組み合わせである。

次に、輪郭が弱い。

人物の縁が、背景に溶ける。

そして、布や光が主役になる。

顔の表情は、あまり語らない。

提供元による違い

八点の所蔵先にも、触れておきたい。

五点はメトロポリタン美術館である。

そして、三点はスミソニアン協会である。

館が違えば、記録の書き方も違う。

制作年の示し方、寸法の単位、来歴の詳しさ。

いずれも、館ごとの方針がある。

当サイトでは、各館の記録をそのまま伝える。

見えないものを、描く

この画家は、見えにくさを使う。

暗さで隠し、光で溶かす。

つまり、はっきり描かないことで、何かを伝える。

《休息》の白い布、《六月》の白い室内。

そして《働く人》の暗い室内。

いずれも、細部を追わせない。

代わりに、画面全体の調子が残る。

見終わったあとに覚えているのは、形ではない。

色と、明るさの記憶である。

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