画家を知る

寄せ集めだと、題に書く——ヴォルフガング・グロースシェーデル

一領に見える甲冑の題は、寄せ集め、である。産地の欄には二つの町の名が並び、喉当てだけがイタリアと記される。館は隠さずに書く。組から外れた六つの部品とあわせ、記録が何を残し何を残さないかを見たい。左右で材の欄が食い違う例もある。

寄せ集めの甲冑
ヴォルフガング・グロースシェーデル《寄せ集めの甲冑》メトロポリタン美術館蔵

甲冑という工芸

甲冑は、身を守る道具である。

そして、同時に金属の工芸品でもある。

館の記録も、その両方を残している。

一領に、見える

一点から始めたい。

寄せ集めの甲冑
ヴォルフガング・グロースシェーデル《寄せ集めの甲冑》1550年から1580年ごろ。鋼、金、革、織物、銅合金。館の記録では、重さ23.25キログラムとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1904年。ヴォルフガング・グロースシェーデル《寄せ集めの甲冑》メトロポリタン美術館蔵

台の上に、人の形が立つ。

頭から足まで、金属で覆われる。

そして、顔の部分だけが黒く空く。

腕が下がり、手甲まで揃う。

腰から下も、板が重なる。

一領の甲冑に見える。

立たせるための台

足の下に、黒い台がある。

そして、その上に立つ。

つまり、展示のための道具である。

館の記録は、台に触れない。

だから、当サイトも作品としては数えない。

ところが、題が違う

館の題を見たい。

寄せ集めの甲冑、とある。

つまり、一組で作られたものではない。

なぜ、集めるか

戦いや年月で、部品は散らばる。

そして、揃った一領は稀になる。

だから、集めて姿を復元する。

つまり、見せるための組み立てである。

部品を、集めて組む

別々に作られた部品を集める。

そして、一つの姿に組み立てる。

つまり、後の時代の仕事である。

喉当てという部品

喉当ては、首の前を守る板である。

そして、胴と兜のあいだに入る。

つまり、境目を埋める部品である。

産地が、三つ書かれる

館の記録の産地欄を見たい。

ドイツの二つの町の名がある。

そして、喉当てだけがイタリアと書かれる。

つまり、部品ごとに出どころが違う。

隠さないという判断

一領に見せて売ることもできる。

もっとも、館はそうしない。

そして、題そのものに書く。

つまり、最初に断っている。

分かるように、書く

館は、寄せ集めであることを隠さない。

そして、どの部品がどこの物かを記す。

つまり、これは誠実な記録である。

年代の幅

年の欄を見たい。

1550年から1580年とある。

つまり、三十年の幅がある。

生没年は、ない

生まれた年と没した年は書かれない。

つまり、分かっていない。

そして、活動した期間だけが記録される。

これは、古い時代の職人によくある。

作者の活動期

作者の記録を見たい。

ラントシュートで1517年ごろから1562年ごろまで活動、とある。

数字が、合わない

年代の下限は1580年である。

そして、活動期の終わりは1562年ごろ。

つまり、十八年ずれる。

三十年という幅

三十年あれば、様式は変わる。

つまり、幅の広さは寄せ集めの証でもある。

幅を、そのまま書く

館は、確かな年を一つ選ばない。

そして、幅のまま残す。

つまり、分からないところを分からないと書く。

ずれの理由

寄せ集めなら、後の部品が混じる。

だから、幅が広がる。

もっとも、館の記録はそう説明しない。

重さだけ

寸法の欄を見たい。

重さしか書かれていない。

つまり、身長にあたる数字がない。

部位で、分かれる重さ

一領の重さは、部位に分散する。

そして、足元ほど軽くする。

つまり、動けるように配る。

もっとも、館の記録はそこまで書かない。

23.25キログラム

その重さは、23.25キログラムである。

つまり、米袋の半分ほど。

そして、これを身に着けて動く。

材の並び順

技法の欄は、量の多い順に並ぶことが多い。

つまり、鋼が最も多い。

もっとも、館の記録は順の意味を書かない。

五つの材

技法の欄を見たい。

鋼、金、革、織物、銅合金。

つまり、金属だけではない。

銅合金という材

銅合金は、真鍮などを指す。

そして、鋲や飾りに使う。

つまり、鋼より柔らかい部分である。

革と織物の役目

板と板は、革の帯でつなぐ。

そして、内側に布を当てる。

つまり、当たりを和らげる。

二点目は、右肩

右肩と右腕の防具
ヴォルフガング・グロースシェーデル《右肩と右腕の防具》1555年から1560年ごろ。鋼、革、銅合金。館の記録では、肩と腕を合わせた高さがおよそ71.1センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1932年。ヴォルフガング・グロースシェーデル《右肩と右腕の防具》メトロポリタン美術館蔵

丸い板が、覆いかぶさる。

そして、その下に細い板が続く。

蔓草という図柄

茎が曲がり、葉が伸びる。

そして、途切れずに続く。

つまり、帯を埋めるのに向く図柄である。

模様が、彫られる

表面を見たい。

蔓草の模様が、帯になって走る。

そして、花の形が中心にある。

粒の数

写真で数えたい。

縁の粒は、二十を超える。

そして、間隔がそろう。

金色の粒

縁に沿って、金色の粒が並ぶ。

つまり、鋲の頭だろう。

そして、等間隔である。

記号という書き方

記号は、部品を指す符号である。

そして、収蔵番号にも同じ記号が付く。

つまり、番号と寸法が対応する。

二つで、一点

寸法の欄を見たい。

記号のついた項目が二つある。

つまり、肩の部分と腕の部分。

別々にも、合わせても

肩だけの寸法と重さがある。

そして、二つを合わせた寸法と重さもある。

つまり、二通りの測り方が並ぶ。

二段構えの記録

部品ごとの数字と、合わせた数字。

つまり、二つの見方が残る。

そして、後から分けても分かる。

966.7グラム

肩だけで966.7グラムである。

そして、腕まで入れて2523.1グラム。

同じ日の受入

二点目と三点目は、同じ年に入った。

そして、番号も続いている。

つまり、対として扱われている。

三点目は、左肩

左肩と左腕の防具
ヴォルフガング・グロースシェーデル《左肩と左腕の防具》1555年から1560年ごろ。鋼。館の記録では、長さおよそ71.1センチ、重さ2438.1グラムとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1932年。ヴォルフガング・グロースシェーデル《左肩と左腕の防具》メトロポリタン美術館蔵

右肩と、対になる。

そして、形もよく似る。

左右は、対称でない

人の腕は、左右で使い方が違う。

だから、防具の形も変わることがある。

もっとも、館の記録はそう書かない。

重さの差

右は2523.1グラムである。

そして、左は2438.1グラム。

つまり、85グラム違う。

差の理由

部品の欠けか、作りの差か。

館の記録は、説明していない。

だから、当サイトは推測しない。

二つの数字を、突き合わせる

右肩の合計は2523.1グラム。

そして、肩だけで966.7グラム。

つまり、腕は1556.4グラムになる。

左右を、並べて読む

同じ日に、同じ場所から来た二点である。

そして、同じ職人の作とされる。

つまり、記録の書き方だけが違う。

材の欄が、違う

もう一つ、右と左で違う点がある。

革が、要る場所

板と板をつなぐには、革が要る。

そして、それが失われやすい。

つまり、残り方に差が出る。

右は、三つの材

右の技法欄には、鋼、革、銅合金とある。

左は、鋼だけ

左の技法欄には、鋼としかない。

食い違いを、直さない

当サイトは、記録を書き換えない。

そして、食い違いをそのまま伝える。

つまり、読む人が判断できるようにする。

対になる部品なのに

同じ組の左右である。

そして、材の記述が食い違う。

展示という目的

組めば、大きさが伝わる。

そして、部品のままなら、作りが見える。

つまり、伝わることが違う。

どちらが正しいか

革の帯が失われたのかもしれない。

あるいは、記録の書き方が違うだけかもしれない。

館の記録は、そこまで書かない。

だから、当サイトは断定しない。

寸法の書き方も、違う

右は、高さ・幅・奥行きが並ぶ。

そして、左は長さと幅だけ。

つまり、項目の数が合わない。

概数という書き方

左肩の寸法には、およそ、という語が付く。

つまり、正確には測れていない。

そして、それも記録に残る。

揃わない項目

高さ、幅、奥行き、長さ。

館の記録では、部品ごとに項目が違う。

つまり、形に合わせて選んでいる。

記録は、一度に作られない

測る人と時期が違えば、書き方も変わる。

つまり、揺れは避けにくい。

そして、揺れも情報である。

記録の項目を、数える

右肩の寸法欄には、七つの数字がある。

そして、左肩には三つしかない。

つまり、二倍以上の差がある。

四点目は、腿と膝

右の腿と膝の防具
ヴォルフガング・グロースシェーデル《右の腿と膝の防具》1555年から1560年ごろ。鋼。館の記録では、長さ50.8センチ、幅21.6センチ、重さ1445.8グラムとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1932年。ヴォルフガング・グロースシェーデル《右の腿と膝の防具》メトロポリタン美術館蔵

細長い筒のような形である。

そして、下の端が丸く張り出す。

曲がる場所と、曲がらない場所

腿は、一枚でよい。

そして、膝は動く。

つまり、必要な場所だけを分割する。

横の筋

表面を見たい。

横向きの筋が、何本も走る。

つまり、板を重ねている。

内側の革帯

板をつなぐのは、内側の革である。

そして、それが切れると外れる。

つまり、弱い部分は見えない場所にある。

板を、滑らせる

板は、互いに重なって滑る。

そして、伸び縮みする。

つまり、鎧の関節である。

重ねる理由

一枚の板では、曲がらない。

そして、膝は曲げる場所である。

つまり、板を分けて動かす。

縁の丸み

板の端を見たい。

角が落とされている。

つまり、擦れても引っかからない。

板の数

写真で数えたい。

十本以上ある。

もっとも、重なりで正確には数えられない。

揃いという考え方

同じ模様を、部品ごとに繰り返す。

そして、組んだときに一続きに見える。

つまり、最初から一組で設計されている。

縁の模様

縁に沿って、細い彫りがある。

そして、腿の部品にも同じ模様が走る。

つまり、揃いの装飾である。

内側は、見えない

写真は外側だけである。

つまり、裏の当て布は分からない。

だから、当サイトは書かない。

鋲の頭

小さな丸い点が、点々と並ぶ。

つまり、留め具である。

五点目は、顔の下

兜の下がり顎当て
ヴォルフガング・グロースシェーデル《兜の下がり顎当て》1555年から1560年ごろ。鋼。館の記録では、高さ19.1センチ、幅16.5センチ、重さ481.9グラムとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1932年。ヴォルフガング・グロースシェーデル《兜の下がり顎当て》メトロポリタン美術館蔵

顎から喉を覆う部品である。

そして、上へ跳ね上げられる。

跳ね上げる仕組み

下がり顎当ては、上げ下げできる。

そして、上げれば顔が出る。

つまり、戦いの前後で切り替える。

細い切れ目

前面を見たい。

短い切れ目が、四つずつ二段に並ぶ。

つまり、息のための穴である。

二段に分ける

切れ目は、上下二段に並ぶ。

つまり、位置を変えても息が通る。

穴の大きさ

切れ目は、細く短い。

つまり、刃先が入らない幅である。

そして、それでも息は通る。

息と、視界

顔を覆えば、息がしにくい。

そして、見えにくい。

つまり、穴は必要である。

帯という区切り

模様を帯に収める。

そして、他の面は無地にする。

つまり、飾る場所を決めている。

中央の帯

前の真ん中に、縦の帯がある。

そして、そこに蔓草の模様が入る。

上の縁

上の縁を見たい。

外側へ折り返されている。

つまり、縁を補強している。

左右の対称

模様は、帯を軸に左右へ広がる。

つまり、中心を決めて彫っている。

写真に、物差しが写る

画像の下を見たい。

目盛りのついた棒が置かれている。

つまり、寸法を示すための道具である。

札の文字

札の文字は、館の名らしい。

もっとも、画像では読み切れない。

だから、当サイトは断定しない。

館名の札も、写る

その右にも、白い札がある。

そして、館の名らしき文字が見える。

古い写真であること

画面の粒が粗い。

そして、色がほとんどない。

つまり、撮られてから時間が経っている。

目盛りの意味

物差しが写れば、寸法が確かめられる。

つまり、写真そのものが記録になる。

記録のための写真

これは、資料として撮られた写真である。

つまり、見せるためではない。

そして、当サイトはそれをそのまま伝える。

六点目は、細い板

腰の帯板
ヴォルフガング・グロースシェーデル《腰の帯板》1555年から1560年ごろ。鋼。館の記録では、高さ6.35センチ、幅33センチ、重さ141.7グラムとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1932年。ヴォルフガング・グロースシェーデル《腰の帯板》メトロポリタン美術館蔵

細長い、湾曲した板である。

そして、中央がへこむ。

帯板という部品

腰の周りを、細い板が何枚も回る。

そして、それが重なって動く。

つまり、腰を曲げられる。

へこみの意味

腰の前で、下へ落ちる形になる。

つまり、腹に沿わせる。

模様の向き

葉は、同じ向きに並ぶ。

そして、中央で折り返す。

つまり、左右対称になっている。

縁の彫り

下の縁に、細かい模様が走る。

そして、葉の形が並ぶ。

湾曲の向き

板は、外へ向かって反る。

つまり、体に沿う面が内側になる。

磨かれた面

斑のない部分は、明るく光る。

つまり、地の鋼が出ている。

そして、光を反射する。

表面の斑

黒っぽい斑が、点々とある。

つまり、錆の跡だろう。

もっとも、館の記録は書かない。

二枚を、並べる

六点目と七点目は、続けて登録されている。

そして、写真の写り方もよく似る。

つまり、同じときに撮られたのだろう。

七点目も、腰の帯板

腰の帯板
ヴォルフガング・グロースシェーデル《腰の帯板》1555年から1560年ごろ。鋼。館の記録では、高さ6.4センチ、幅33センチ、重さ85グラムとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1932年。ヴォルフガング・グロースシェーデル《腰の帯板》メトロポリタン美術館蔵

題も、形も、同じである。

つまり、対になる板だろう。

寸法も、ほぼ同じ

高さは6.35センチと6.4センチ。

そして、幅はどちらも33センチ。

数字の桁

一方は小数第一位まである。

そして、もう一方は整数である。

つまり、測り方が違う。

重さが、違う

141.7グラムと、85グラム。

つまり、六割ほどしかない。

二枚で、一組か

腰の板は、複数枚で一組になる。

つまり、この二枚も並んでいたのだろう。

もっとも、館の記録は組を示さない。

同じ寸法で、違う重さ

厚みが違うのかもしれない。

あるいは、片方が欠けているのかもしれない。

館の記録は、説明していない。

だから、当サイトは断定しない。

六点の受入番号

二点目から七点目までを見たい。

同じ年、続きの番号

いずれも1932年の受入である。

そして、番号の末尾が1から6まで続く。

基金という買い方

六点とも、同じ基金で購入されている。

そして、一点目も同じ基金である。

つまり、寄贈ではなく買い入れである。

一括して、館へ

つまり、六点は一度に入った。

そして、もとは一組だった可能性が高い。

揃わないまま、残す

館は、足りない部品を補わない。

そして、あるものだけを登録する。

つまり、事実の範囲で止めている。

何が、ないか

胴、兜、手甲、脛当て。

つまり、揃えるには足りない部品が多い。

組から、外れた部品

胴も、兜も、この六点にはない。

つまり、揃っていない。

散らばりやすい理由

甲冑は、部品ごとに外せる。

そして、外れたまま売られる。

つまり、分かれて流通する。

部品だけが、残る

甲冑は、部品ごとに散らばりやすい。

そして、残った部分だけが館に来る。

番号の付け方

一点目の番号は、一つである。

そして、六点は末尾が分かれる。

つまり、扱いが違う。

数え方の違い

一点目は、多くの部品で一点である。

そして、六点は部品ごとに一点である。

つまり、数え方が逆になる。

一領と、部品

一点目は、一領に組まれていた。

そして、六点は組まれないままである。

二つの扱い

組めば、姿が見える。

そして、組まなければ、部品として残る。

どちらが正しいか

館は、どちらも収蔵している。

つまり、判断を一つにしていない。

分類が、細かい

膝の防具には、専用の分類がある。

そして、兜の部品にも別の分類がある。

つまり、部位ごとに枠が用意されている。

分類の欄

分類欄を見たい。

人用の甲冑、甲冑の部品、膝の防具、兜の部品。

つまり、四通りに分かれる。

部品にも、名がある

肩、腕、腿、膝、顎、腰。

そして、それぞれに専用の語がある。

語の数

七点の題に出る部位の名は、六つある。

つまり、それだけ細かく分かれている。

名が、細かい理由

作る人が分業していたためだろう。

もっとも、館の記録はそう書かない。

金の使い方

金は、彫った線に埋め込むことが多い。

そして、線が浮き上がって見える。

もっとも、写真では確かめられない。

金は、一点だけ

技法の欄に金があるのは、一点目だけである。

そして、六点は鋼が中心である。

つまり、装飾の格が違う。

装飾という共通点

七点とも、縁に模様がある。

つまり、守るためだけの道具ではない。

装飾の位置

模様は、外から見える面にある。

そして、隠れる面にはない。

つまり、見せる場所を選んでいる。

見せるための金属

戦いの場でも、身なりは示される。

そして、彫りは持ち主の格を語る。

一領と、六点

一点目は組まれた姿で買われた。

そして、六点は部品のまま買われた。

つまり、買う時点で状態が違う。

買われた年

一点目は1904年、六点は1932年である。

つまり、二十八年の差がある。

そして、同じ基金で買われている。

記録が残す範囲

分かるのは、寸法・重さ・材・受入である。

そして、分からないのは、誰が着たかである。

空白は、空白のまま

館の記録には、着用者の名がない。

だから、当サイトは補わない。

当サイトの
鋼に金で描き、重さまで記録するでも、
同じラントシュートの甲冑を扱った。

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