美術史・技法

三つで、一つと数える——後藤家の三所物

笄、目貫、小柄。三つの金具を揃いで作り、一件として登録する。番号の末尾が部品の数を示し、公開画像は一部品しか写さない。三つで一つという単位が、記録にどう残るかを読みたい。寸法の欄に、明らかな誤りが残る一件もある。

三所物
後藤通乗《三所物》メトロポリタン美術館蔵

三つで一つ、と数える

刀の金具を九件、記録の欄で並べてみる。

九件のうち八件は、品名が同じである。

三所物(みところもの)。

三つの場所に付ける金具を、揃いで作ったものだ。

笄(こうがい)、目貫(めぬき)、小柄(こづか)。

この三種類を、同じ人が同じ意匠で作る。

美術館の記録では、これが一つの番号になる。

三種類あって、一件。

しかも目貫は左右で二つあるから、実際は四点ある。

四点で一件と数えられている。

番号の末尾が、部品の数を示す

八件の番号を見ると、末尾に小文字が並ぶ。

aからdまで、あるいはaからeまで。

四つか、五つである。

四つのものは、笄、目貫二つ、小柄。

五つのものは、それにもう一つ加わる。

何が加わるのかは、番号だけでは分からない。

しかし、技法の欄を見ると手がかりがある。

五つある一件の技法の欄に、墨と紙とある。

金属の名が並んだあとに、墨と紙。

これは、金具の材料ではない。

鑑定を記した紙が、いっしょに納められているのだ。

つまり五つ目は、書付である。

三所物の八件のうち、五つある例は三件だけだ。

品そのものではないものが、番号の枝を持っている。

三所物
後藤通乗《三所物》17世紀後半から18世紀初め。館の記録では、赤銅(銅と金の合金)、金、銀、墨、紙。笄の長さ21センチ、目貫の長さ3.2センチと3.3センチ、小柄の長さ9.7センチ。番号は45.24.61。メトロポリタン美術館蔵。後藤通乗《三所物》メトロポリタン美術館蔵

公開されている画像には、笄だけが写る。

細長い棒状の道具である。

左端に、黒い赤銅の面がある。

その面に、金で草花が密に彫られる。

小さな花が幾つも重なり、葉が入り混じる。

面の左端に、丸い頭が付く。

右へ向かって、金色の棹が伸びる。

棹は先へ行くほど細くなる。

先端は、平たく尖って終わる。

黒い面と金の棹の境が、はっきりと分かれる。

長さ二十一センチのうち、黒い部分は五分の一ほどである。

写真は、一部品しか写さない

いま見た一件で、画像に写っているのは笄だけである。

目貫も小柄も、写っていない。

これは、八件のうち五件に共通する。

番号は四つに分かれ、寸法の欄も三種類ぶん書かれる。

ところが写真は、一枚だけ。

分けて数え、まとめて一枚で見せる。

前の回の記事で、対の鐔でも同じことを見た。

館の公開画像は、代表の一枚であることが多い。

すべての部品を撮る余裕は、どの館にもない。

だから、記録の欄と画像の情報量が食い違う。

欄を読まずに画像だけを見れば、これは笄一点に見える。

欄を読めば、四点あることが分かる。

二つを突き合わせないと、正しく数えられない。

三所物
後藤宗乗《三所物》15世紀後半から16世紀初め。館の記録では、赤銅、金。笄の長さ21.1センチ、目貫の長さ各3.4センチ。番号は45.24.52。メトロポリタン美術館蔵。後藤宗乗《三所物》メトロポリタン美術館蔵

こちらの画像には、四点が写る。

上に、短い黒い板が横たわる。

その中央に、金の花の塊が付く。

右に、小さな金の飾りが二つ並ぶ。

これが目貫である。

どちらも花の形で、厚く盛り上がる。

二つの形は似ているが、同じではない。

下に、笄が一本横たわる。

左端が黒い面で、そこにも金の花が付く。

右へ、金色の棹が細くなって伸びる。

四点が、白い地の上に間隔をあけて置かれる。

九件でいちばん古い、十五世紀の一件である。

目貫は、左右で大きさが違う

寸法の欄をよく見ると、目貫の書き方が二通りある。

各3.8センチ、というように一つの数字で書くもの。

一方が4.6センチ、他方が3.5センチ、と分けて書くもの。

後者では、左右の大きさが違う。

一センチ以上の差がある。

目貫は、柄の表と裏に付ける。

表と裏で、手の当たり方が違う。

だから、形も大きさも変えることがある。

対でありながら、同じではない。

館の記録は、その差を数字で残している。

同じと書けば、この差は消えてしまう。

分けて書くことで、対の性格が伝わる。

三所物
後藤延乗《三所物》18世紀なかば。館の記録では、赤銅、金。笄の長さ21.1センチ、目貫の長さ4.6センチと3.5センチ、小柄の長さ9.7センチ。番号は45.24.63。メトロポリタン美術館蔵。後藤延乗《三所物》メトロポリタン美術館蔵

画像には、笄だけが写る。

左端の黒い面に、金の亀が一匹いる。

甲羅は丸く、細かい格子が刻まれる。

頭を左へ出し、四肢を短く伸ばす。

尾のあたりから、細い毛のような線が広がる。

その周囲は、黒い地のままである。

面の左端に、小さな頭が付く。

右へ、金色の棹が長く伸びる。

棹の断面は平たく、中ほどで幅が最大になる。

先端は細く尖る。

金と黒の対比が、九件でもっとも簡素である。

寸法の欄に、明らかな誤りがある

八件の寸法の欄を並べると、一点だけ数字が合わない。

小柄の長さが、四センチと書かれている。

小柄の長さが書かれた他の六件は、いずれも9.7センチである。

小柄は、規格のある道具だ。

四センチでは、柄として使えない。

同じ欄の中で、目貫の長さも四センチとある。

つまり、目貫の数字が小柄の欄にも入っている。

写し間違いだろう。

館の記録も、人が作ったものである。

数万点を扱えば、こういう傷は残る。

前の回の記事で、同じ種類の傷をいくつか見てきた。

見つけたときは、静かに読み替えておけばよい。

そして、記録を絶対のものとして扱わない。

三所物
後藤寿乗《三所物》18世紀前半からなかば。館の記録では、赤銅、金、銀。笄の長さ21.4センチ、目貫の長さ各4センチ。番号は45.24.62。メトロポリタン美術館蔵。後藤寿乗《三所物》メトロポリタン美術館蔵

画像には、笄だけが写る。

左端の黒い面に、小さな金の形がいくつか散る。

鳥のようにも、花のようにも見える。

判別できるほど大きくは写っていない。

面の左端は、青みを帯びた色をしている。

そこから右へ、黒い部分がしばらく続く。

途中から、金色に変わる。

黒と金の境が、なだらかに移る。

ほかの一件では、この境がはっきり分かれていた。

同じ道具でも、作りが違う。

棹の先は、細く長く尖る。

笄は、何をする道具か

笄は、細長い棒の形をした道具である。

刀の鞘の脇に、小柄と反対側に差す。

髪を整えるために使われたとされる。

先が細く尖るのは、そのためだろう。

ただし、用途については諸説ある。

館の記録は、品名の欄に髪を整える道具と書く。

その一語で、用途を示している。

一方、実際にどう使われたかは書かない。

書けば、それは解釈になってしまう。

品名は、分類のための名である。

説明のための文章ではない。

短い一語に、どこまで含めるか。

その判断が、記録の性格を決めている。

黒い面と、金の棹

七件の笄には、共通の作りがある。

左端の一部だけが黒く、残りが金色である。

黒い部分は、赤銅で作られる。

そこに図を彫り、金を象嵌する。

金色の棹は、別の金属だろう。

技法の欄には、赤銅と金と銀しか並ばない。

棹が何でできているかは、書かれていない。

金めっきかもしれないし、真鍮かもしれない。

写真からは、判断できない。

判断できないことを、書かない。

ただ、七件のうち六件で同じ作りになっている。

その一致は、規格があったことを示す。

揃いで作る、ということ

三所物という単位は、揃いで作ることを前提にしている。

同じ人が、同じ材料で、同じ意匠で三種類を作る。

刀の拵えの、離れた三か所に付く。

離れているのに、意匠を揃える。

これは、注文する側の要求だろう。

一振りの刀を、統一された姿にしたい。

作る側からすれば、寸法も形も違う三種類である。

平たい棒、小さな塊、細長い板。

その三つに、同じ図を彫り分ける。

大きさが違えば、図の細かさも変えるしかない。

揃えることと、変えることが同時に求められる。

前の回の記事で、大小の鐔について同じことを書いた。

揃いの道具では、この二つが常に併走する。

三所物
後藤程乗《三所物》17世紀。館の記録では、赤銅、金、銀。笄の長さ21.1センチ、目貫の長さ各3.8センチ、小柄の長さ9.7センチ。番号は45.24.59。メトロポリタン美術館蔵。後藤程乗《三所物》メトロポリタン美術館蔵

画像には、笄だけが写る。

左端に、金の頭が付く。

その右に、黒い面が続く。

面の中央に、細長い金の札のような形が立つ。

札の上下に、小さな黒い点がいくつか散る。

札の表面には、細い縦の線が入る。

面の右端で、黒が終わり、金色の棹になる。

棹は緩やかに細くなり、先端で尖る。

黒い面の長さは、全体の四分の一ほど。

この比は、六件でおおむね共通する。

笄の長さが、六件でほぼ同じ

七件の笄の長さを並べてみる。

21センチ、21.1センチ、21.1センチ、21.1センチ。

21.1センチ、21.3センチ、21.4センチ。

差は、いちばん大きくても四ミリである。

四百年近い隔たりのある七件が、この範囲に収まる。

理由は、小柄と同じだ。

鞘に彫られた溝の寸法が決まっている。

笄も小柄も、そこに差し込む。

だから、長さを変えられない。

館の記録は、この事情を書かない。

書かないが、六つの数字の一致が示している。

前の回の記事で、小柄の寸法が揃うことを見た。

三所物でも、同じ規格が働いている。

一件だけ、中身が違う

八件のうち一件は、含まれる部品が違う。

番号の枝は五つだが、内訳が変わる。

寸法の欄に、鐔と栗形という語が入る。

鐔は、刀身と柄のあいだの板である。

栗形は、鞘に付ける小さな突起だ。

どちらも、三所物の三種類ではない。

つまり、この一件は別の組み合わせである。

それでも、品名の欄は三所物になっている。

館が、便宜的に同じ品名を当てたのだろう。

分類の名と、中身が食い違っている。

こういうことは、記録では珍しくない。

分類の枠は限られており、品の実際は多様だからだ。

揃いの刀装具
ギンショウテイ・トウメイ《揃いの刀装具》19世紀。館の記録では、鉄、金、四分一(銅と銀の合金)。鐔は縦6.7センチ、横6センチ。番号は17.208.32。メトロポリタン美術館蔵。ギンショウテイ・トウメイ《揃いの刀装具》メトロポリタン美術館蔵

五つの部品が、灰色の地の上に並ぶ。

左に、細長い板が縦に立つ。

中央に、楕円形の部品が二つ並ぶ。

いずれも、上に金の稲穂が付く。

その下に、細く短い板が横たわる。

右に、大きな鐔がある。

角の丸い方形で、中央に縦長の穴。

その左右に、小さな穴が二つ。

鐔の面にも、金の稲穂が斜めに走る。

五点すべてに、同じ稲穂の図が使われる。

大きさが違うので、穂の数が違う。

揃いの図が、部品の大きさで変わる

いま見た一件は、五点の図が同じ主題である。

しかし、同じ図ではない。

大きい鐔には、穂が数本走る。

小さな部品には、穂が一本か二本しかない。

面積が違えば、置ける量が違う。

主題を揃え、量を変える。

これが、揃いの金具の作り方である。

前の回の記事で、同じ図を二度作る鐔を見た。

あちらは、同じ大きさのものを二枚作っていた。

こちらは、違う大きさに同じ図を割り付けている。

問題の立て方が、少し違う。

図の主題が、代ごとに違う

七件の笄に彫られた図を並べてみる。

草花。蟹。亀。小さな鳥。細長い札。

そして、花の塊が二件。

主題に共通するものは、ほとんどない。

前の回の記事で、同じ家の小柄を九点見た。

あちらでも、図だけが自由だった。

寸法と材料は動かせず、図は動かせる。

三所物でも、同じ構造になっている。

家の決まりが及ぶ範囲と、及ばない範囲がある。

その線は、四百年にわたって動いていない。

三所物
後藤真乗《三所物》19世紀初め。館の記録では、赤銅、金、銀。笄の長さ21.3センチ、目貫の長さ各3.5センチ、小柄の長さ9.7センチ。番号は45.24.65。メトロポリタン美術館蔵。後藤真乗《三所物》メトロポリタン美術館蔵

画像には、笄だけが写る。

七件でいちばん新しい一件である。

左端に、小さな金の頭が付く。

その右に、黒い面が続く。

面の上に、金の枝が斜めに走る。

枝の先に、小さな葉がいくつか付く。

その下に、雲のような形が横たわる。

雲は薄く、黒い地から少しだけ浮く。

面の右端で、黒が終わる。

そこから金色の棹が伸び、細くなる。

図の量は少なく、地の黒さが目立つ。

十五世紀の一件と、作りの原理が変わらない。

目貫だけの一件

九件のうち一件は、目貫だけである。

左右二つで、一件になる。

技法の欄は、金の一語で終わる。

赤銅も銀も使われていない。

そして、重さの欄がある。

各8.5グラム。

三所物の八件には、重さの欄がない。

一件だけに重さがあるのは、受入が新しいからだ。

2004年の購入である。

八件は、1945年と1917年の受入。

近年の受入ほど、計測の欄が細かくなる。

前の回の記事で、兜の重さについて同じことを書いた。

同じ現象が、部門をまたいで起きている。

目貫一対
ツ・ジュンポ《目貫一対》1750年ごろ。館の記録では、金。長さ各5センチ、幅各1.3センチ、重さ各8.5グラム。番号は2004.459。メトロポリタン美術館蔵。ツ・ジュンポ《目貫一対》メトロポリタン美術館蔵

小さな金の飾りが、二つ並ぶ。

上下に、間をあけて置かれる。

どちらも、細長い舟の形をしている。

舟は両端が尖り、中ほどが低い。

その中に、小さな人が数人乗る。

人は身を寄せ合い、丸くうずくまる。

一部に、赤みの強い色が残る。

舟の縁には、細い線が刻まれる。

上下の二つは、向きが左右に分かれる。

長さは五センチ、幅は一センチ余り。

白い布の上に置かれ、上から撮られている。

作者の欄に、同じ家の名が並ぶ

九件のうち七件は、同じ家の人の作である。

前の回の記事で見た、代々続く金工の家だ。

その七件は、いずれも同じ年に館へ入っている。

番号の頭も同じである。

つまり、一つの収集がそのまま移ってきた。

家の仕事を、代ごとに揃えて集めた人がいた。

その意図までは、記録に書かれない。

しかし、揃い方が意図を示している。

十五世紀から十九世紀まで、代が飛ばずに並ぶ。

偶然でこうはならない。

出所の行が、二つしかない

九件の出所の行を並べると、三つになる。

基金による購入、1945年。これが七件。

館の理事による寄贈、1917年。これが一件。

別の基金による購入、2004年。これが一件。

つまり、九件のほとんどが一度に入っている。

八十年前の一度の購入が、この記事の土台である。

もしその購入がなければ、こう並べられなかった。

美術館の収蔵品は、こういう固まりでできている。

一点ずつ均等に集まるのではない。

大きな群がいくつかあり、そのあいだを個別の受入が埋める。

前の回の記事で、二千点を超える群を見た。

規模は違うが、成り立ちは同じである。

番号の枝が、揃わない理由

七件の番号の枝は、45.24.52から65まで散らばる。

52、59、61、62、63、64、65。

連続していない部分がある。

抜けている番号には、別の品が入っている。

目貫だけの一件、小柄だけの一件。

前の回の記事で見た小柄も、同じ群の中にあった。

つまり、この群は品種ごとにまとまっていない。

一つの収集が、そのまま番号を振られている。

並べ替えずに、受け入れた順に番号を付ける。

だから、品種は入り混じる。

番号順に並べても、整理された一覧にはならない。

整理は、後から読む側の仕事である。

一件に、何人が関わったか

九件の作者の欄には、八つの名がある。

いずれも、一件につき一人だけである。

しかし、三所物は三種類の道具からなる。

平たい棒を打つ仕事。

小さな塊を作る仕事。

細長い板を組む仕事。

それぞれ、別の技術が要る。

さらに、地を粒で埋める作業がある。

そして、金を象嵌する作業。

一人がすべてを担ったかどうかは、分からない。

工房の主の名が、代表として書かれているだけである。

三所物
後藤桂乗《三所物》18世紀なかばから後半。館の記録では、赤銅、金、銀、銅。笄の長さ21.1センチ、目貫の長さ各3.8センチ、小柄の長さ9.7センチ。番号は45.24.64。メトロポリタン美術館蔵。後藤桂乗《三所物》メトロポリタン美術館蔵

画像には、笄だけが写る。

七件のうち、この一点だけ棹が黒い。

ほかの六件は、棹が金色である。

左端の黒い面に、赤い蟹らしい形が一つ。

その隣に、金色の小さな塊がある。

貝か、あるいは別の生き物か。

判別できるほど、大きくは写らない。

黒い面が終わったあとも、棹は黒いままだ。

先へ向かって細くなり、鋭く尖る。

赤銅の色が、そのまま出ている。

金を着せていないぶん、地味に見える。

三つで一つ、を記録が保つ

最後に、この数え方の意味を考えたい。

三所物は、本来ばらばらにできる。

笄だけ、目貫だけを売ることもできる。

実際、九件のうち二件は、三種類が揃っていない。

目貫だけの一件と、別の組み合わせの一件である。

揃っていたものが、どこかでばらされたのだろう。

館は、揃っているものを一件として数える。

ばらされたものは、そのまま一件として数える。

館に入ってきた形を、そのまま保つ。

もとの形に戻そうとはしない。

戻せば、いつ揃ったのかが分からなくなるからだ。

記録は、いまある姿を書く。

あるべき姿を書く欄は、どこにもない。

最後に、九件をまとめて数え直してみる。

番号は九つ。しかし部品の数は、三十を超える。

番号の枝を合計すると、三十八になる。

一つの番号が、平均して四つの部品を抱えている。

美術館が数える単位は、品の数ではない。

受け入れたときの、まとまりの数である。

まとまりが崩れれば、数え方も変わる。

揃いの道具は、そこがいちばん動きやすい。

三つで一つ、という言い方は、崩れやすい前提の上にある。

崩れる前の姿を、番号の枝が覚えている。

aからeまでの小文字が、その記憶である。

記録は、失われやすいものほど細かく書く。

細かく書かなければ、戻せなくなるからだ。

三所物という言葉自体が、その記憶を含んでいる。

三つの場所、という数え方が名になっている。

名が数を含むのは、道具としては珍しい。

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