喜多川歌麿の代表作
ARTIST

喜多川歌麿

Kitagawa Utamaro

生没年
?–1806
国・地域
日本
時代・様式
浮世絵

女性の上半身を大きく捉えた美人大首絵で、表情や手の仕草を主題にした浮世絵師。

細い輪郭線、髪の緻密な摺り、雲母摺りの背景を組み合わせ、顔の角度、視線、指先の動きで人物の気分を描き分けました。

生涯

1750年代前半ごろに生まれたと考えられ、鳥山石燕のもとで学びました。1790年代に版元・蔦屋重三郎と数多くの連作を制作し、江戸の女性を個性ある存在として描きました。画本、花鳥画、物語絵にも幅広く取り組んでいます。

COLUMNS関連コラム

  • 作品を知る

    喜多川歌麿《寛政三美人》の解説——三人は誰で、どこで見られるのか

    喜多川歌麿《寛政三美人》の解説。館の記録では1794年ごろの多色摺の木版画で、クリーヴランド美術館が所蔵する。題は富本豊雛・高島屋おひさ・難波屋おきたの三人を並べる。なぜ顔だけを大きく描いたのか、どこで見られるのかを、館の記録と画像から読む。

  • 美術史・技法

    遺産が、主語になる——「遺産による寄贈」と「相続人たち」と「子孫たち」

    亡くなった人が残した財産の総体が、贈り主として書かれている。似た書き方が三通りあり、いずれも渡した個人の名を書かない。遺贈とどこが違うのか。歌仙図の色紙四枚と歌麿の見開きから読みたい。寸法の欄の数字が入れ替わっている一点にも触れたい。

  • 美術史・技法

    三枚で、一つの絵になる——広重《阿波鳴門之風景》ほか三枚続九点

    同じ大きさの版画を三枚並べ、一つの画面を作る。海の色も波の線も、二本の継ぎ目を越えて続く。番号に枝番を振るものと振らないもの、寸法を三通りに書き分けるもの。記録の揺れごと読みたい。継ぎ目の本数を数えるだけで、そろっているかどうかが分かる。三枚で一件とする判断も読みたい。

  • 名画の楽しみ方

    本の丁が、一枚の版画になる——喜多川歌麿《絵本四季花》

    中央に折り目のある見開きが、木版画として登録されている。文字だけの丁にも番号が付く。一方、ばらされていない絵本は表紙のまま一件である。同じ画家、同じ紙で、記号も分類も分かれる理由を読みたい。折り目の跡だけが、本だったことを示し続けている。

  • 作品を知る

    同じ二人が、三度出てくる——喜多川歌麿

    九点の題を読むと、同じ二人の名が三度現れる。芝居から来た男女である。判型も年も違う三点が、同じ主題を扱う。柱絵という細長い紙も含め、題の担う説明の量を見たい。四組の男女が並ぶ。顔の描き分けにも、目を向けたい。

  • 作品を知る

    虫と貝を、狂歌と一緒に摺る——喜多川歌麿の絵本

    九点に人は一人も出てこない。出てくるのは蜂、蝶、蛍、蛇、蝸牛、そして貝である。一枚ずつ売る版画ではなく、狂歌の会が作った本の頁である。夜を暗く摺った見開きと、水の染みを見たい。版元の名が残る奥付の頁にも触れたい。

  • 画家を知る

    同じ題が、三枚並ぶ——喜多川歌麿の母と子

    六枚のうち三枚が、同じ題で登録されている。図は違うのに、記録の上では区別が付かない。母と子を描いた版画は数が多く、後から題を当てるほかなかったのだろう。寸法と来歴の差を手掛かりに、六枚を並べて読み分けたい。

  • 画家を知る

    同じ図が、二通りに記録される——喜多川歌麿

    まったく同じ図が、一方では三枚続きの右、他方では二枚続きの右と記録されている。題も年も違う。組の枚数が変われば、場面の広さも変わる。台所、刺身、貝取り、漁。働く場面を描いた九枚を、記録の側から読みたい。

  • 画家を知る

    顔だけを、大きく描く——喜多川歌麿の大首絵

    喜多川歌麿は、顔を紙いっぱいに描いた。全身像が主流だった美人画で、なぜ首から上を選んだのか。人相を読む流行、名を書き込まれた実在の女性、雲母を撒いた背景、そして名前を消させた出版統制まで。公開作品八点で、大首絵という発明の中身を確かめる。

  • 美術史・技法

    浮世絵は、西洋の絵に何を渡したのか——《神奈川沖浪裏》からカサットの一枚まで

    ジャポニスムはよく語られるが、実際に渡ったものは何だったのか。北斎の波、広重の雨、ドガの舞台、ホイッスラーの夜、カサットの版画を並べ、画面の切り方・影の扱い・視点の高さ・顔の見せ方という具体で確かめる。渡らなかったものにも触れる。