画家を知る

九点が、同じ一行で括られる——ティファニーのファブリル硝子

出所の行は九点とも一字も違わず、番号も96.17で始まる。技法の欄はファブリル硝子の一語である。同じ人が点によって役割を変える。一つの寄贈が館の方向を変えたことを読みたい。高さは、五倍以上に散らばる。

花瓶
ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

九点が、同じ一行で括られる

硝子の花瓶を九点、記録の欄で並べてみる。

出所の行は、九点とも一字も違わない。

ある人の寄贈、1896年。

番号も、いずれも96.17で始まる。

そのあとの枝番だけが違う。

技法の欄も、九点とも同じである。

ファブリル硝子、という一語。

年の欄も、八点までが同じだ。

1893年から1896年。

つまり、違うのは番号と寸法と形だけである。

前の回の記事で、家具の金物について同じことを書いた。

一つの群がまとめて入ると、こうなる。

一年で、四十九点以上

番号の枝を見ると、いちばん大きいものが49である。

つまり、この寄贈には少なくとも四十九点が含まれていた。

すべて同じ工房の硝子である。

寄贈されたのは1896年。

そして、作られたのは1893年から1896年。

つまり、できたばかりの品が館へ入っている。

前の回の記事で、作られてから館に入るまでの時間を何度も見た。

百年、二百年かかる例が多かった。

こちらは、三年以内である。

同時代の工芸を、館が即座に収蔵している。

そういう例は、当時としては珍しい。

花瓶
ルイス・C・ティファニー意匠、ティファニー硝子装飾会社製作《花瓶》1893年から1896年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ41.9センチ。番号は96.17.5。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

九点でいちばん背の高い花瓶である。

胴は上下に長く、中ほどがくびれる。

口は広がらず、やや内へすぼまる。

地の色は、上が金褐色である。

下へ行くほど、紫と青が濃くなる。

その上に、細長い葉のような形が立ち上がる。

葉は青紫で、先が尖る。

四本から五本ほど、縦に走る。

葉のあいだに、金の斑が散る。

表面には、虹のような光沢がある。

光の角度で、色が変わって見える。

硝子という材料

九点の技法の欄は、いずれも硝子である。

硝子は、熱いうちに形を作る。

冷めれば、もう直せない。

一度で決めなければならない。

そのぶん、失敗も多い。

窯から出したうちの何割かは、割れるか、形が崩れる。

残ったものだけが、製品になる。

館の記録は、その事情を書かない。

書かれるのは、残った九点の寸法と色だけだ。

前の回の記事で、失われたものは記録されない話を何度も書いた。

作られたが残らなかったものは、数えようがない。

同じ形が、二つある

九点の形を比べると、似た二点がある。

どちらも肩の張った壺の形である。

高さは21.9センチと10.2センチ。

二倍以上違う。

しかし、輪郭の比はよく似ている。

同じ型を使ったのではない。

硝子は、吹いて作るからだ。

型を使う方法もあるが、この工房の品は自由に吹かれている。

それでも、似た形になる。

作る人の手が、同じ動きを繰り返すからだろう。

前の回の記事で、反復の形について何度も書いてきた。

型による反復と、手による反復は違う。

手による反復は、少しずつずれる。

同じ人が、点によって役割を変える

九点の作者の欄には、二つの名がある。

一人の個人と、一つの会社である。

そして、役割の欄はこうなっている。

意匠を担う人と、作る会社。

ところが、九点のうち二点では順序が逆だ。

会社が先、個人が後になっている。

前の回の記事で、同じ現象を三組で見た。

館の記録は、順序に規則を持っていないらしい。

さらに、九点のうち一点は、名が一つしかない。

そして、その一人の役割は、作った人である。

ほかの八点では、同じ人が意匠を担う人と書かれている。

同じ人物の役割が、点によって変わっている。

花瓶
ルイス・C・ティファニー《花瓶》1893年から1896年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ19.4センチ。番号は96.17.42。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

白黒の写真で写される。

下部が球状に大きく膨らむ。

そこから、細い首がまっすぐ上へ伸びる。

首の表面に、縦の襞が走る。

襞は上へ行くほど細く、口で束ねられる。

口は小さく、丸い。

球の部分は、光を受けて明るい。

右下に、影が濃く落ちる。

地の色は、白黒では判別できない。

技法の欄には、ファブリル硝子とあるだけだ。

色については、何も書かれていない。

役割の揺れが、意味すること

一人の人物が、意匠の人であり、作った人でもある。

工房を持ち、自ら吹くこともあっただろう。

しかし、四十九点を一人で作ることはできない。

会社の名が並ぶのは、そのためだ。

では、なぜ一点だけ会社の名がないのか。

その一点だけ本人が作ったのかもしれない。

あるいは、記録を作るときに落ちたのかもしれない。

館は、理由を書かない。

書かれるのは、名と役割だけである。

前の回の記事で、記録の揺れについて何度も書いてきた。

揺れに気づくには、並べるしかない。

花瓶
ルイス・C・ティファニー意匠、ティファニー硝子装飾会社製作《花瓶》1893年から1896年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ28.9センチ。番号は96.17.12。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

胴の下部が、丸く膨らむ。

そこから上へ、細い首が伸びる。

首は上端でわずかに広がる。

地の色は、上が紫、下が金褐色である。

胴の中央に、大きな模様が一つある。

孔雀の羽根に似た形だ。

中心に、濃い青の丸がある。

そのまわりを、細い線が放射状に囲む。

線は金色で、細かく分かれる。

同じ模様が、胴の上部にも小さく現れる。

底に近い部分は、白く濁る。

高さが、五倍以上散らばる

九点の高さを並べてみる。

7.6センチから41.9センチまで。

五倍以上の差がある。

同じ技法、同じ年、同じ寄贈でありながら、大きさがまるで違う。

小さいものは、手のひらに載る。

大きいものは、床に置く。

用途が違うのだろう。

館の記録は、用途を書かない。

品名の欄には、いずれも花瓶とある。

高さ7.6センチの花瓶に、何を挿すのか。

小さな花を一輪だろうか。

記録は、そこまでは書かない。

花瓶
ルイス・C・ティファニー意匠、ティファニー硝子装飾会社製作《花瓶》1893年から1896年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ7.6センチ。番号は96.17.49。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

九点でいちばん小さい花瓶である。

胴は下でふくらみ、上へすぼまる。

短い首が、まっすぐ立つ。

口は小さく、円い。

地の色は、灰青と黄が混ざる。

胴の面に、丸い斑が四つほど散る。

斑は黄で、縁がにじむ。

斑と斑のあいだに、細い筋が走る。

筋は青灰色で、渦を巻く。

表面はつやを抑えた質感である。

黒い地の上に置かれ、輪郭が際立つ。

形の名は、書かれない

九点の品名は、いずれも花瓶である。

しかし、形はまるで違う。

球の上に細い首が立つもの。

杯のように脚が付くもの。

肩の張った壺形のもの。

そして、細長い蕾のような形のもの。

館の記録は、形を書く欄を持たない。

寸法の欄には、高さだけの件が多い。

高さだけでは、輪郭は分からない。

前の回の記事で、寸法の欄が形を書かない例を何度も見た。

別の館では、形の名を寸法の欄に足していた。

館によって、書く項目が違う。

花瓶
ルイス・C・ティファニー意匠、ティファニー硝子装飾会社製作《花瓶》1893年から1896年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ37.5センチ。番号は96.17.38。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

細長い花瓶である。

下に、円い台が広がる。

台は薄く、縁が波打つ。

そこから、細い茎が上へ伸びる。

茎の途中で、いったん膨らむ。

さらに上で、胴が細長く伸びる。

胴の表面に、縦の襞が走る。

襞は上へ行くほど深くなる。

口は、四つの花弁のように開く。

地の色は、明るい琥珀色である。

上部と下部で、濃さが変わる。

全体が、花の蕾を立てたような形をしている。

花瓶
ルイス・C・ティファニー意匠、ティファニー硝子装飾会社製作《花瓶》1893年から1896年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ32.7センチ。番号は96.17.37。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

杯のような形の花瓶である。

下に、円く平たい台がある。

台は淡い緑で、半透明である。

そこから、細い茎が立ち上がる。

茎は青灰色で、上へ行くほど太くなる。

胴は上で大きく開く。

口の縁は、わずかに外へ反る。

胴の地は、暗い紫褐色である。

その中に、青と金の渦が流れる。

渦は不規則で、雲のように広がる。

光が当たる部分だけ、金色に光る。

技法の欄が、一語で終わる

九点の技法の欄は、いずれも同じ一語である。

その工房が名づけた硝子の呼び名だ。

材料の成分も、作り方も書かれていない。

前の回の記事で、合金の名について書いた。

あちらは、成分を先に書き、括弧に呼び名を入れていた。

こちらは、呼び名だけである。

なぜか。

その呼び名が、商標として登録されていたからだろう。

成分は、工房の秘密である。

外から分析しなければ分からない。

館は、名乗られた呼び名をそのまま書く。

分からないことを、分かったように書かない。

光沢が、記録に書かれない

九点の写真を見ると、表面に強い光沢がある。

虹のように、色が角度で変わる。

これは、この工房の硝子の特徴とされる。

しかし、技法の欄には書かれていない。

呼び名だけが置かれる。

その呼び名を知る人には、光沢まで伝わる。

知らない人には、伝わらない。

前の回の記事で、名を知る人にだけ伝わる欄について何度も書いた。

技法の欄は、説明の欄ではない。

分類のための名を置く欄である。

説明は、別の場所に書かれるか、書かれない。

花瓶という品名

九点の品名は、すべて花瓶である。

しかし、花を挿さないものもあっただろう。

飾るためだけの品もある。

館は、形から品名を決めている。

口があり、中が空であれば、花瓶と呼べる。

前の回の記事で、品名が用途の推定を含む例を見た。

儀礼用の鏃、という書き方がそうだった。

花瓶という語も、同じ性格を持っている。

そう使われたと確かめたわけではない。

そう使えるという形から、名が付いている。

分類の名は、しばしばそういう作りをしている。

白黒の三点

九点のうち三点は、公開画像が白黒である。

いずれも、同じ寄贈の同じ群に属する。

つまり、受入の年は同じだ。

それでも、撮り直された点とそうでない点がある。

前の回の記事で、同じことを何度も見てきた。

そして、硝子では色が決定的である。

技法の欄には、色が書かれていない。

白黒の写真では、色の情報が完全に失われる。

記録も画像も、色を伝えない。

三点については、色が分からないまま残る。

花瓶
ティファニー硝子装飾会社製作、ルイス・C・ティファニー意匠《花瓶》1893年から1896年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ33.3センチ。番号は96.17.39。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

白黒の写真で写される。

九点でいちばん細長い花瓶である。

下に、小さく平たい台がある。

台の縁は、細かく波打つ。

そこから、細い胴がまっすぐ上へ伸びる。

胴の表面に、縦の襞が幾本も走る。

襞は下でねじれ、上で真っすぐになる。

胴の幅は、ほとんど変わらない。

口は小さく、わずかに開く。

高さに対して、幅が極端に狭い。

一輪の花を挿すための形だろう。

花瓶
ルイス・C・ティファニー意匠、ティファニー硝子装飾会社製作《花瓶》1893年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ10.2センチ。番号は96.17.45。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

白黒の写真で写される。

肩の張った壺の形である。

胴は下でふくらみ、上へすぼまる。

肩から、短い円筒の首が立つ。

首は太く、口が広い。

地は暗く、ほとんど黒に見える。

表面に、光の反射が細長く走る。

反射の形から、面が滑らかだと分かる。

模様らしいものは、見えない。

九点のうち、この一点だけ年が1893年である。

ほかの八点は、幅を持って書かれる。

一点だけ、年が定まる

いま見た一点の年の欄は、1893年の一年だけである。

ほかの八点は、1893年から1896年。

なぜ、この一点だけ絞れるのか。

底に年が刻まれているのかもしれない。

あるいは、展覧会に出た記録があるのかもしれない。

館は、根拠を書かない。

書かれるのは、結論としての一年だけである。

前の回の記事で、年の根拠について何度も書いてきた。

書かれない根拠を、推測で埋めない。

そして、幅のある八点は、幅のまま残す。

三年の幅を、無理に一年に縮めない。

花瓶
ティファニー硝子装飾会社製作、ルイス・C・ティファニー意匠《花瓶》1893年から1896年。館の記録では、ファブリル硝子。高さ21.9センチ、幅12.7センチ。番号は96.17.17。メトロポリタン美術館蔵。ルイス・カムフォート・ティファニー《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

肩の張った壺の形である。

胴は下でふくらみ、上へすぼまる。

口は小さく、縁が波打つ。

地の色は、上が濃い紫である。

下へ行くほど、緑と褐色が混ざる。

胴の面に、大きな葉のような形が並ぶ。

葉は縦に長く、先が尖る。

その内側に、褐色の筋が走る。

葉と葉のあいだに、白い霞が広がる。

底に近い部分は、水色になる。

色が上から下へ、連続して変わる。

寸法の欄が、二つの数字を持つ二点

九点の寸法の欄を並べてみる。

高さだけの件が七点。

高さと幅の件が二点。

なぜ、二点だけ幅があるのか。

胴が横に張っているからだろう。

細長い花瓶では、幅を書く意味が薄い。

しかし、幅の広いものでは、高さだけでは形が伝わらない。

記録した人が、そう判断したのだろう。

判断の基準は、書かれていない。

前の回の記事で、寸法の書き方が揃わない例を何度も見た。

同じ群の中でも、揃わないことがある。

三年で入るということ

九点は、作られてから三年以内に館へ入っている。

これは、美術館の収蔵としては異例に早い。

ふつう、作品が館に入るのは作者の死後である。

評価が定まってから、収蔵される。

同時代の品を収めるのは、判断を先取りすることだ。

外れることもある。

このときは、外れなかった。

館の記録は、その判断を書かない。

書かれるのは、二つの年だけである。

作られた年と、入った年。

その差が三年であること自体が、判断の速さを示している。

前の回の記事で、受入の年と作られた年の差を何度も見てきた。

百年、二百年が普通だった。

三年という差は、記録の中で際立っている。

寄贈者は、何を見たか

その寄贈者は、当時の絵画も大量に集めていた。

そして、同時代の硝子も同時に集めた。

古い名画と、できたばかりの工芸品。

その二つを、同じ人が集めている。

館の記録は、寄贈者の意図を書かない。

書かれるのは、名と年だけである。

しかし、同じ名が別の部門の記録にも現れる。

複数の部門をまたいで記録を並べれば、その人の好みが見えてくる。

一つの部門の中だけでは、決して見えない。

前の回の記事で、記録を突き合わせる読み方を何度も書いてきた。

部門をまたぐ突き合わせも、その一つである。

一つの寄贈が、館の方向を変える

九点は、同じ人の寄贈である。

その人は、当時の美術品を大量に集めていた。

前の回の記事で見た絵画の遺贈も、同じ家からのものだ。

つまり、この人の収集は分野をまたいでいる。

絵画、版画、そして同時代の硝子。

館の収蔵品の性格は、そういう人の好みで決まる。

四十九点の硝子が一度に入れば、それだけで一つの部門ができる。

そして、その後の収集の方向も変わる。

出所の行の一文は、それを書かない。

書かれるのは、名と年だけである。

しかし、番号の枝の多さが、規模を示している。

番号の枝が、飛んでいる

九点の番号の枝を並べてみる。

5、12、17、37、38、39、42、45、49。

連続していない。

そのあいだの番号には、別の品がある。

同じ寄贈の中の、別の硝子だろう。

つまり、九点はこの群の一部にすぎない。

館は、四十九点以上を一度に受け入れた。

そして、一点ずつ番号を振った。

前の回の記事で、群の中から一部を選んで並べる話を書いた。

選び方を変えれば、見えるものも変わる。

九点で見えたことが、四十九点でも成り立つとは限らない。

そのことは、断っておきたい。

一点に、何人が関わったか

九点の作者の欄には、二つの名しかない。

一人の個人と、一つの会社である。

しかし、硝子は一人では吹けない。

炉を焚く人、種を練る人、竿を回す人。

色を作る人、形を整える人、冷ます人。

少なくとも数人が同時に動く。

会社の名は、その全員をまとめている。

前の回の記事で、工房や製造所の名について何度も書いてきた。

組織の名は、数えられない人数の代わりである。

そして、意匠を担った一人の名だけが個人として残る。

四十九点の硝子を吹いた人たちの名は、記録の外にある。

最後に、九点の高さをもう一度並べておく。

7.6、10.2、19.4、21.9、28.9、32.7、33.3、37.5、41.9。

どれも違う。

同じ工房が、同じ数年のあいだに作った品である。

それでも、二つとして同じ大きさがない。

型で抜いていないからだ。

吹くたびに、大きさが変わる。

前の回の記事で、型による量産について何度も書いてきた。

こちらは、その反対にある。

同じ工房の品でありながら、一点ずつ違う。

寸法の欄の数字が、そのことを示している。

数字が揃っていないことが、作り方を語っている。

九点を閉じて、番号の頭に戻る。

96.17。この五文字が、九点すべてに付く。

1896年に受け入れた、十七番目の群である。

番号は、その品が何であるかを語らない。

いつ、どうやって館に入ったかだけを語る。

それでも、九点を結びつけているのはこの五文字だ。

同じ五文字を持つ品を集めれば、群が復元できる。

群が復元できれば、寄贈者の好みが見えてくる。

番号は、そのための手がかりである。

SAME ARTIST同じ画家のコラム

  • 画家を知る

    高さだけを、測る——ルイス・カムフォート・ティファニー

    硝子の器の寸法欄に、高さしか書かれないことがある。記号の使い方は四通りに分かれ、直径のない記録もある。吹き硝子は、一点ずつ形が違う。情報が減っていく寸法の欄を読みたい。三つの方向を測る記録と、比べて読みたい。

  • 名画の楽しみ方

    美術館はなぜ画像を手放したのか——モネと北斎の公開画像

    作品の著作権が切れていても、その写真の権利は美術館が持つと考えられてきた。方針が変わったのは2010年代である。手放した理由、同じ図を並べて比べられるようになったこと、そして画像の質や権利の限界を、実際の公開記録で確かめる。

  • 美術史・技法

    色を、塗らずに入れる——ルイス・C・ティファニーのガラス

    ティファニーのガラスは、模様を塗っていない。色は素材の内側にあり、熔けたガラスを動かした痕跡が葉や羽根の形になる。値札が残る底、工数を書き込んだ図案、白黒写真しか残らない八点。自然を写すという言葉の中身を十点から考える。

RELATEDあわせて読みたい

画家を知るの記事一覧
  • 画家を知る

    ホイッスラーの代表作と特徴——なぜ題に《ノクターン》と付けたのか

    ホイッスラーの代表作と特徴を、公開中の8点から読む。クリーヴランド美術館の記録では、《ノクターン》という題は後援者フレデリック・レイランドの提案だった。テムズ川の灰色から音楽の題、蝶の署名、版画家としての仕事までを順に見る。

  • 画家を知る

    葛飾北斎の代表作と特徴——なぜ同じ富士を46図も描いたのか

    葛飾北斎の代表作と特徴を、当サイトで公開中の8点から読む。シカゴ美術館の記録では、70歳で始めた『富嶽三十六景』は36図ではなく46図ある。ベロ藍の青、富士の置き方、滝と橋の連作、改名の跡までを、各館の記録とあわせて順に見ていく。

  • 画家を知る

    サージェントの代表作と特徴——なぜ絹とサテンばかりが光るのか

    サージェントの代表作と特徴を、当サイトで公開中の8点から読む。上流社会の等身大肖像で名を上げ、やがて注文を減らして風景と素描へ移った画家である。白いサテン、黒いレース、山の岩。筆の置き方がどう変わったかを、館の記録とあわせて順に見る。