美術史・技法

白い地に、黒い渦を巻く——古代プエブロの土器

千年以上前の南西部で焼かれた壺と鉢である。釉薬は使わず、鉱物の顔料で直接描く。作った人の名は残らないが、その子孫にあたる人々はいまも暮らしている。館の記録が示すことと示さないことを、六点で確かめる。来歴の欄が空白であることの意味も、あわせて考えたい。

渦の帯を巡らせた貯蔵壺
《渦の帯を巡らせた貯蔵壺》シカゴ美術館蔵

渦の帯が、巻く

一点の土器から始めたい。

渦の帯を巡らせた貯蔵壺
古代プエブロ(作者不詳)《渦の帯を巡らせた貯蔵壺》875〜1130年。陶器と顔料。高さ43.2センチ、直径45.7センチ。シカゴ美術館蔵。ティリー・C・コーン基金による購入。《渦の帯を巡らせた貯蔵壺》シカゴ美術館蔵

球に近い形の壺である。

そして、口が上部にある。

胴の上半分に、模様が巡る。

大きな渦が、連なる。

その渦を、黒い帯がつなぐ。

帯の縁は、細かい鋸歯である。

下半分は、素地のままである。

白と黒の土器

色を見たい。

白い地に、黒い模様。

つまり、二色である。

そして、その二色だけで模様が作られる。

口の形

上部を見たい。

口は、胴より小さい。

そして、縁が水平である。

つまり、中身がこぼれにくい形である。

素地と、彩色

胴の下半分を見たい。

模様がなく、土の色である。

つまり、上半分だけが白く塗られている。

見える面を、飾る

なぜ、上半分だけか。

床や棚に置けば、下は見えない。

つまり、見える面だけを飾る。

合理的な判断である。

白い地

白い部分を見たい。

土そのものの色ではない。

つまり、白い泥を塗っている。

その上に、黒で描く。

渦という模様

模様を見たい。

渦が、左右に連なる。

そして、互いに組み合う。

つまり、連続する帯である。

帯の作り方

渦のあいだを、黒い帯が縫う。

そして、その帯の縁に細かい歯がある。

つまり、二種類の線が組み合わさる。

筆の道具

この地域では、植物の繊維を束ねて筆にした。

そして、その先で細い線を引く。

もっとも、館の記録は道具を示さない。

だから、当サイトは断定しない。

手で、描く

これらの線は、手で描かれている。

そして、定規は使えない。

つまり、目と手で間隔を揃えている。

顔料という材料

技法欄を見たい。

陶器と顔料とある。

つまり、焼いた土に、顔料で描く。

顔料の材料

黒い顔料は、鉱物か植物から作られる。

そして、焼くと定着する。

つまり、簡単には落ちない。

釉薬ではない

釉薬は、焼くと硝子の膜になる。

一方、顔料は表面に載るだけである。

つまり、艶が出ない。

焼き方の違い

この地域の土器は、低い温度で焼かれる。

そして、窯ではなく、地面で焼くこともある。

つまり、大がかりな設備を要しない。

焼く場所

窯がなければ、地面に穴を掘る。

そして、燃料と器を積んで焼く。

つまり、温度は均一にならない。

大きな壺

寸法を見たい。

高さ43.2センチ、直径45.7センチ。

つまり、六点の中で最も大きい。

貯蔵という用途

題を見たい。

貯蔵の壺とある。

つまり、穀物や水を入れる器である。

重さを、支える形

球に近い形は、力が分散する。

そして、割れにくい。

つまり、形にも理由がある。

日々の道具

美術館にあると、鑑賞の品に見える。

しかし、もとは日々の道具である。

そして、使うために作られた。

作者が、分からない

館の記録を見たい。

作者は不明とされる。

そして、集団の名だけが記される。

地域の記録

館の記録には、地域名がある。

現在のアリゾナ州の北東部とされる。

つまり、出土した地域が分かる。

「古代プエブロ」とは

この語は、現在のプエブロの人々の祖先を指す。

つまり、いまも続く人々の先祖である。

過去に閉じた存在ではない。

子孫が、いま生きている

このことは、書いておきたい。

これらの器は、遺跡から出たものである。

そして、その作り手の子孫は現在も暮らしている。

集められた経緯

こうした品が、どう集められたか。

いま、各地の館で問い直されている。

もっとも、館の公開記録は経緯を示していない。

だから、当サイトも断定しない。

一点だけの購入

来歴を見たい。

この一点だけが、基金による購入である。

そして、他の五点は寄贈である。

つまり、入り方が違う。

記録にないことを、書かない

用途や意味についても、同じである。

館の記録は、形と模様の説明にとどまる。

だから、当サイトも見えるものを書く。

大胆な白地黒彩の菱形と稲妻の模様の鉢
古代プエブロ(作者不詳)《大胆な白地黒彩の菱形と稲妻の模様の鉢》950〜1400年。陶器と顔料。高さ10.8センチ、直径24.1センチ。シカゴ美術館蔵。ジェームズ・W・エルズワースの寄贈。《大胆な白地黒彩の菱形と稲妻の模様の鉢》シカゴ美術館蔵

浅い鉢

二点目は、浅い鉢である。

高さ10.8センチ、直径24.1センチ。

つまり、平たい。

そして、内側に模様がある。

縁の帯

縁を見たい。

細い帯が、一周する。

そして、その内側から模様が始まる。

つまり、枠が作られている。

内側を、飾る

模様の位置を見たい。

鉢の内側である。

つまり、上から覗いたときに見える面である。

一点目とは、飾る面が違う。

用途と、装飾の面

壺は、外から見る。

そして、鉢は、上から覗く。

つまり、見る向きが装飾の位置を決める。

稲妻という形

稲妻形を見たい。

直角に折れ曲がる線である。

そして、鋭い角を持つ。

つまり、曲線を使わない。

模様の構成

内側を見たい。

大きな菱形が、いくつか配される。

そして、そのあいだを稲妻形が埋める。

さらに、縁に沿って帯が巡る。

白と黒の配分

白い面と黒い面を見たい。

ほぼ同じ量である。

つまり、どちらが地とも言いにくい。

二色でできること

色が二つしかないと、工夫が要る。

面積の配分、線の太さ、そして空白。

つまり、色以外の要素が働く。

図と地の反転

黒を模様と見るか、白を模様と見るか。

見方によって、両方が成り立つ。

つまり、図と地が入れ替わる。

中央の空白

鉢の中心を見たい。

丸く、模様がない。

そして、白い面が残る。

つまり、意図して空けてある。

対称と、非対称

模様の配置を見たい。

完全な対称ではない。

そして、区画ごとに形が違う。

つまり、繰り返しの中に変化がある。

空白の役割

模様を詰めると、目が休まらない。

そこに空白があれば、視線が落ち着く。

つまり、余白も設計である。

縁の欠け

鉢の縁を見たい。

一部が欠けている。

そして、そのまま公開されている。

つまり、修復して隠していない。

浅い形

形を見たい。

高さが直径の半分以下である。

つまり、浅い。

食べ物を盛る器だろう。

千年を経た器

制作年を見たい。

九五〇年から一四〇〇年とされる。

つまり、千年以上前の器である。

年代の幅

もっとも、その幅は四百五十年ある。

つまり、いつ作られたかは絞れていない。

地域の記録

館の記録には、地域名がある。

現在のニューメキシコ州の中西部とされる。

つまり、一点目とは別の地域である。

なぜ、幅が広いか

年代は、出土の状況や様式から推定される。

そして、記録がなければ幅が残る。

館は、無理に絞らない。

大きな三角の模様

三点目も、浅い鉢である。

点線と菱形、段状の組み合い模様のある鉢
古代プエブロ(作者不詳)《点線と菱形、段状の組み合い模様のある鉢》950〜1400年。陶器と顔料。高さ12.7センチ、直径22.9センチ。シカゴ美術館蔵。ジェームズ・W・エルズワースの寄贈。《点線と菱形、段状の組み合い模様のある鉢》シカゴ美術館蔵

内側に、大きな三角形の区画がある。

そして、その中に点の線が並ぶ。

その線が、平行に走る。

区画の外は、階段状の模様。

縁に沿って、細かい歯の帯。

点の数

点を数えたい。

数えきれないほどある。

そして、一つずつ打たれている。

つまり、時間のかかる仕事である。

点で、面を作る

三角形の中を見たい。

小さな点が、線になって並ぶ。

そして、その線が何本も平行に走る。

つまり、点の集まりで面を作っている。

塗るのではなく、点を打つ

面を黒く塗ることもできる。

しかし、ここでは点を打っている。

つまり、質感が変わる。

線の平行

点の線を見たい。

いずれも、平行に走る。

そして、間隔がほぼ揃う。

つまり、目測で揃えている。

濃さの調整

点の間隔を変えれば、濃さが変わる。

つまり、灰色の階調が作れる。

二色でありながら、中間が生まれる。

階段状の模様

区画の外を見たい。

直角に折れる線が、組み合う。

そして、階段のような形になる。

直角という選択

曲線ではなく、直角を使う。

つまり、幾何学的である。

一点目の渦とは、対照的である。

縁の歯

縁を見たい。

細かい三角が、連なる。

そして、内側を向く。

つまり、鋸歯の帯である。

一点目にも、同じ帯があった。

二つの原理

渦と、階段。

つまり、曲線と直線である。

同じ地域の器に、両方がある。

表面の摩耗

器の表面を見たい。

模様が、部分的に薄い。

そして、素地が透ける。

つまり、擦れている。

浅い形

寸法を見たい。

高さ12.7センチ、直径22.9センチ。

つまり、二点目とほぼ同じ大きさである。

使われた跡

摩耗は、使われた跡である。

つまり、飾られていたのではない。

日々、手に取られていた。

「おそらく」という記録

館の記録を見たい。

様式の名に「おそらく」が付く。

つまり、分類が確定していない。

様式の名

考古学では、土器に様式の名を付ける。

そして、その名で年代や地域を推定する。

つまり、分類のための道具である。

分類の名は、後の言葉

様式の名は、考古学者が付けたものである。

つまり、作った人々の言葉ではない。

そのことも、覚えておきたい。

名前が、推定を支える

様式が決まれば、年代が絞れる。

しかし、決まらなければ幅が残る。

三点目の年代が広いのも、そのためだろう。

組み合う稲妻と段状の模様のある柄杓
古代プエブロ(作者不詳)《組み合う稲妻と段状の模様のある柄杓》1000〜1300年。陶器と顔料。長さ28.6センチ、幅5.7センチ、高さ13.3センチ。シカゴ美術館蔵。ジェームズ・W・エルズワースの寄贈。《組み合う稲妻と段状の模様のある柄杓》シカゴ美術館蔵

柄のついた器

四点目は、形が違う。

丸い椀に、長い柄が付く。

そして、その柄が水平に伸びる。

つまり、柄杓である。

椀の大きさ

椀の部分を見たい。

直径は十センチほどだろう。

そして、柄がその倍近く伸びる。

つまり、柄のほうが長い。

三つの寸法

寸法の記録を見たい。

長さ、幅、高さの三つがある。

つまり、立体として測られている。

他の五点との差

他の五点は、高さと直径だけである。

つまり、円い器として測られている。

四点目だけが、三方向で測られる。

柄の断面

柄を見たい。

平たく、幅が広い。

そして、先が丸い。

つまり、握りやすい形である。

形が、記録を変える

柄があると、円ではない。

だから、三方向で測る必要がある。

記録の書き方が、形を示している。

柄の模様

柄を見たい。

稲妻形の模様が、縦に走る。

そして、椀まで続く。

つまり、柄も飾られている。

柄と椀の境

境目を見たい。

滑らかにつながる。

そして、継ぎ目が見えない。

つまり、一体で作られている。

椀の内側

椀の中を見たい。

階段状の模様が並ぶ。

そして、中心は空いている。

二点目と同じ構成である。

柄は、中空か

柄の断面は分からない。

中空なら、注ぎ口にもなる。

もっとも、館の記録は示していない。

だから、当サイトは断定しない。

題の「または」

題を見たい。

柄杓、または匙とある。

つまり、用途が確定していない。

液体か、粉か

柄杓なら、液体を汲む。

そして、匙なら、粉や粒をすくう。

つまり、扱うものが違う。

形からは、どちらとも言える。

用途が、分からない

形から用途を推定するのは、難しい。

そして、記録がなければ確定しない。

館は、二つの可能性を併記する。

併記という誠実さ

一つに決めれば、読みやすい。

しかし、決められないものは決めない。

館の記録には、こうした慎重さがある。

摩耗の位置

柄の先を見たい。

模様が薄くなっている。

つまり、握られた部分だろう。

使われた跡である。

年代が、やや狭い

制作年を見たい。

一〇〇〇年から一三〇〇年とされる。

つまり、三百年の幅である。

二点目、三点目より狭い。

模様のない鉢

五点目は、これまでと違う。

籠のような肌合いの装飾を持つ鉢
古代プエブロか(作者不詳)《籠のような肌合いの装飾を持つ鉢》900〜1000年。陶器と顔料。高さ8.3センチ、直径17.2センチ。シカゴ美術館蔵。ジェームズ・W・エルズワースの寄贈。《籠のような肌合いの装飾を持つ鉢》シカゴ美術館蔵

外側が、赤茶色である。

そして、表面が細かく波打つ。

内側は、黒く、艶がある。

縁の近くに、黒い帯。

そして、胴に黒い斑がある。

描かない装飾

外側を見たい。

顔料で描いた模様がない。

その代わり、表面に凹凸がある。

つまり、肌合いで飾っている。

波打つ表面

外側の表面を見たい。

細い筋が、横に並ぶ。

そして、その筋が波打つ。

つまり、粘土の紐を巻いた跡だろう。

肌合いという方法

模様には、二つの作り方がある。

色で描く方法。

そして、表面の形を変える方法。

五点目は、後者である。

籠のような肌

題を見たい。

籠のような模様とある。

つまり、編んだ籠の表面に似ている。

紐を、巻いて作る

この地域の土器は、紐作りである。

粘土の紐を巻き上げ、形を作る。

そして、内側を均す。

外側を均さなければ、紐の跡が残る。

籠と、土器

土器の前に、籠があった。

そして、籠に粘土を塗って器にすることもあった。

つまり、籠の肌が土器に残る。

もっとも、館の記録はそこまで示さない。

内側の黒

内側を見たい。

黒く、艶がある。

そして、外側とはまったく違う。

なぜ、内側だけ磨くか

内側は、食べ物に触れる。

つまり、なめらかなほうがよい。

そして、汚れも落ちやすい。

実用の理由がある。

内と外で、変える

内側は、なめらかに磨く。

そして、外側は粗いまま残す。

つまり、面ごとに仕上げを変えている。

磨くという工程

土器を磨くには、石を使う。

そして、乾く前に表面を擦る。

すると、粒が詰まって艶が出る。

艶の程度

内側の艶を見たい。

光を反射している。

つまり、よく磨かれている。

釉薬ではなく、磨きによる艶である。

黒くする方法

黒い色は、焼き方で作る。

つまり、酸素を減らして焼く。

すると、炭素が残って黒くなる。

もっとも、館の記録は方法を示さない。

帰属に「か」が付く

館の記録を見たい。

作り手について、「おそらく」とある。

つまり、古代プエブロかどうかも確定していない。

二重の不確かさ

作者は不明である。

そして、集団の帰属も推定である。

つまり、二重に不確かである。

推定を、推定と書く

「おそらく」を落とせば、断定になる。

そして、誤りが定着する。

だから、そのまま記す。

それでも、記録する

分からないなら、書かない選択もある。

しかし、館は推定を推定として書く。

だから、後の研究が使える。

肌合いの装飾を持つ鉢
古代プエブロか(作者不詳)《肌合いの装飾を持つ鉢》900〜1000年。陶器と顔料。高さ13センチ、直径23.2センチ。シカゴ美術館蔵。ジェームズ・W・エルズワースの寄贈。《肌合いの装飾を持つ鉢》シカゴ美術館蔵

五点目と、同じ作り

六点目は、五点目とよく似ている。

外側が赤茶で、表面に凹凸。

そして、内側が黒い。

つまり、同じ形式である。

縁の形

縁を見たい。

上へ向かって開く。

そして、縁が薄い。

つまり、注ぎやすい形である。

形の違い

もっとも、形は違う。

五点目は、半球に近い。

そして、六点目は、上が広がる。

つまり、円錐台に近い。

寸法の差

寸法を比べたい。

五点目が高さ8.3センチ、直径17.2センチ。

六点目が高さ13センチ、直径23.2センチ。

つまり、六点目のほうが大きい。

黒い斑

外側を見たい。

黒い斑が、不規則に散る。

そして、その形がまちまちである。

斑の位置

斑の位置を見たい。

胴の一方に偏る。

つまり、火が片側から当たった。

積み方が、そのまま跡になる。

焼成の跡

斑は、焼くときにできる。

炎が直接当たった部分が、黒くなる。

つまり、窯を使わない焼き方の跡である。

偶然の模様

斑は、意図された模様ではない。

しかし、結果として画面を作る。

つまり、偶然が装飾になる。

六点の内訳

六点をまとめたい。

貯蔵の壺が一点、鉢が四点。

そして、柄杓が一点である。

用途の推定

六点の用途を考えたい。

貯蔵、盛り付け、そして汲む。

いずれも、台所の道具である。

二つの系統

装飾を見たい。

顔料で描いたものが四点。

そして、肌合いで飾ったものが二点。

つまり、二つの方法がある。

年代の分布

年代を並べたい。

九〇〇年から一〇〇〇年が二点。

八七五年から一一三〇年が一点。

一〇〇〇年から一三〇〇年が一点。

そして、九五〇年から一四〇〇年が二点。

幅の広さ

いずれも、百年から四百五十年の幅がある。

つまり、正確な年は分からない。

土に埋まる

土器は、割れやすい。

しかし、土に埋まれば風化しにくい。

つまり、地中で保たれる。

木や布は、そうはいかない。

千年前の器

それでも、およそ千年前の品である。

そして、割れずに残っている。

土器は脆いが、土に埋まれば残る。

一人の寄贈

来歴を見たい。

六点のうち五点が、同じ人物の寄贈である。

そして、一点は基金による購入。

収集という行為

一人の収集家が、五点を集めた。

そして、館へ渡した。

つまり、まとまって残っている。

集められ方を、問う

こうした品が、どう手に入ったか。

いま、各地の館で問い直されている。

そして、子孫の共同体との関係も問われる。

記録が、示さないこと

館の公開記録は、寄贈者の名を記す。

しかし、それ以前の経緯は示さない。

つまり、分からない部分がある。

分からないことを、書く

当サイトでは、分からないことは分からないと書く。

そして、推測で埋めない。

見えているもの

見えているのは、六点の器である。

白と黒の模様、点で作った面、籠のような肌。

いずれも、千年前の手の跡である。

名のない手

作った人の名は、記録にない。

しかし、線の引き方には癖がある。

そして、間隔を揃える目がある。

名は失われても、手つきは残っている。

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