画家を知る

象牙ではなく、銅に七宝で——ウィリアム・ラッセル・バーチ

真珠の並ぶ枠

七点目は、枠が華やかである。

紳士の肖像
ウィリアム・ラッセル・バーチ《紳士の肖像》1795年ごろ。七宝、銅。縦3.7センチ、横3.2センチ。メトロポリタン美術館蔵。グロリア・マニーの寄贈、2006年。紳士の肖像》メトロポリタン美術館蔵

楕円の絵を、枠が囲む。

そして、その枠に白い珠が並ぶ。

真珠だろう。

上部に、金色の吊り金具。

真珠の数

珠を数えたい。

三十ほどある。

そして、等間隔に並ぶ。

つまり、手の込んだ細工である。

装身具としての仕立て

吊り金具があれば、身に着けられる。

そして、真珠の枠は装飾である。

つまり、宝飾品に近い。

費用の内訳

細密画の費用を考えたい。

まず、銅板と釉薬。

次に、作り手の手間。

そして、枠の金と真珠。

つまり、絵だけの値段ではない。

描かれているもの

画面を見たい。

男性が、こちらを向く。

髪は、白く、耳の上で膨らむ。

暗い衣に、白い襟巻き。

背景は、青である。

青い背景

背景を見たい。

明るい青である。

つまり、空を思わせる色である。

顔の描写

顔を見たい。

頬に赤みがあり、口元が引き締まる。

そして、目に光が入る。

つまり、三・七センチの中でこれが読める。

七宝の青

青は、七宝でよく使われる色である。

そして、鮮やかに発色する。

つまり、材料の性質が生きている。

題に、名がない

題を見たい。

《紳士の肖像》である。

つまり、名が分からない。

八点のうち、一点

名のない肖像は、これだけである。

つまり、七点は名が残っている。

名が、残る理由

肖像の人物の名は、家に伝わる。

そして、七宝は堅牢である。

つまり、傷まずに伝わりやすい。

切り株(ライスダールに倣う)
ウィリアム・ラッセル・バーチ《切り株(ライスダールに倣う)》1815年。七宝を施した銅。縦7.6センチ、横6.4センチ。メトロポリタン美術館蔵。デール・T・ジョンソン基金による購入、2006年。この作品も、ほとんど色のない古い記録写真で公開されている。切り株(ライスダールに倣う)》メトロポリタン美術館蔵

肖像ではない一点

八点目は、風景である。

つまり、他の七点とは主題が違う。

「〜に倣う」という記録

題を見たい。

括弧の中に、ある画家の名がある。

そして、その画家に倣う、とある。

誰に、倣うか

括弧の中の名は、十七世紀の風景画家である。

そして、その画家は木を主題にした。

もっとも、館の記録はそれ以上を示さない。

もとの絵が、ある

つまり、既存の絵にもとづく。

そして、それを七宝で作り直している。

複製という仕事

有名な絵を、小さな七宝に写す。

つまり、複製である。

そして、それが商品になる。

小さくする

大きな油彩を、七センチの七宝に写す。

つまり、寸法が大きく変わる。

そして、細部を選び直す必要がある。

なぜ、複製するか

大きな絵は、買えない人が多い。

一方、小さな七宝なら手に入る。

つまり、名画を身近にする方法である。

当サイトで、触れた主題

複製については、繰り返し触れてきた。

版画、磁器の像、そして七宝。

つまり、方法は違っても目的は同じである。

描かれているもの

画面を見たい。

中央に、大きな木が立つ。

そして、その脇に折れた幹。

手前に、道と小さな人影。

奥に、空と雲。

空の描写

上部を見たい。

雲が広がる。

そして、明暗が付く。

つまり、小さな画面でも空が描かれる。

折れた幹

題を見たい。

切り株とある。

そして、画面の中央右に折れた幹がある。

つまり、それが主題である。

枯れた木という主題

枯れた木や折れた幹は、風景画でよく描かれる。

そして、時間の経過を示す。

つまり、意味を持つ要素である。

額ごと、撮る

画像を見たい。

装飾のある額が写る。

そして、その中に小さな画面がある。

つまり、額を含めて撮影されている。

八点の内訳

八点をまとめたい。

肖像が七点、風景が一点。

そして、すべて七宝である。

寸法の幅

寸法を並べたい。

最小が2.7センチ、最大が11センチ。

つまり、四倍の差がある。

制作年の分布

年代を並べたい。

一七八五年、九五年が二点、一八一五年。

一八一七年、三〇年ごろ、三三年ごろ、三三年以後。

つまり、四十八年に分布する。

長い活動

作者は、七十九年生きた。

そして、八点は三十歳から七十八歳ごろまでの仕事である。

つまり、生涯にわたる。

七宝という選択

なぜ、七宝を選んだか。

色が褪せないこと。

そして、堅牢であること。

つまり、長く残る。

堅牢という価値

美術館にとって、堅牢さは重要である。

展示でき、貸し出せるからである。

つまり、材料が扱いを決める。

二百年を経て

最も早い一点は、一七八五年である。

つまり、二百四十年前である。

そして、いまも色が残っている。

色のない画像が、五点

もっとも、画像は色のないものが多い。

八点のうち、五点が白黒である。

撮影の時期

五点が白黒なのは、撮影の時期による。

そして、小さな品は順番が後になる。

当サイトでは、繰り返しこの点に触れてきた。

皮肉なこと

七宝は、色が褪せない材料である。

しかし、公開画像では色が失われている。

つまり、材料の利点が伝わらない。

記録が、補う

技法欄には、七宝と記される。

つまり、色があるはずだと分かる。

そして、色のある三点がそれを示す。

三点で、確かめる

色のある三点を見れば、七宝の発色が分かる。

赤い頬、青い背景、そして白い衣。

つまり、五点の失われた色も想像できる。

記録と、残された三点が、それを支えている。

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