九つの顔を、鎖でつなぐ——トマス・セア・カミングス
楕円の一枚
七点目も、色のない画像である。

楕円の画面である。
年配の男性が描かれる。
髪は、白く、額が広い。
暗い上着に、白い襟。
背景は、暗い。
楕円の中の顔
画面を見たい。
顔が、画面の中央にある。
そして、肩が下部で切れる。
つまり、胸から上である。
細密画の基本の切り取り方である。
「額の内側」という寸法
寸法の記録に、注目したい。
額の内側で測った寸法とある。
つまり、見える範囲の寸法である。
象牙の板そのものの寸法ではない。
測れるものを、測る
額に嵌まった細密画は、外せない。
外せば、傷める恐れがある。
だから、見える範囲を測る。
館の記録は、その事情を隠さない。
一族の肖像
同じ姓の二枚が、同じ寄贈で入る。
つまり、家に伝わった二枚である。
そして、離れずに残った。
対や組の肖像は、散逸しやすい。
六点目との関係
六点目と七点目を並べたい。
いずれも、同じ姓の人物である。
そして、同じ寄贈で館へ入っている。
つまり、一家の肖像がまとめて渡った。
一九二三年の寄贈
来歴を見たい。
館の記録では、一九二三年の寄贈である。
そして、二枚が同時である。

台紙ごと、撮る
八点目の画像を見たい。
暗い色の台紙の上に、額が置かれる。
そして、額の上部に金の飾りがある。
つまり、額と台紙を含めて撮影されている。
台紙の色
台紙を見たい。
暗い紫がかった色である。
そして、平らである。
つまり、撮影のために置かれたものだろう。
額の飾り
上部の飾りを見たい。
葉の形をしている。
そして、吊るすための輪が付く。
つまり、身に着けるための仕立てである。
描かれているもの
画面を見たい。
若い男性が、こちらを向く。
暗い赤茶の上着。
そして、白い襟。
背景は、暗い。
額の縁
額を見たい。
金色で、内側に細かい刻みがある。
そして、幅が狭い。
つまり、絵を大きく見せる作りである。
赤茶の上着
上着の色を見たい。
暗い赤茶である。
そして、光の当たる面が明るい。
一点目の黒い上着とは、違う。
一八二七年ごろ
制作年は、一八二七年ごろとされる。
作者は、二十三歳ごろになる。
一点目の自画像と、近い時期である。
若い時期の二枚
一点目と八点目は、いずれも二十代の仕事である。
そして、いずれも小さな楕円である。
つまり、初期の形式が揃っている。

八角形の枠
九点目の画像を見たい。
枠が、八角形である。
つまり、楕円でも四角でもない。
そして、上部に吊るすための金具。
上部の金具
枠の上を見たい。
小さな金具が付く。
そして、輪の形をしている。
つまり、吊るすためのものである。
八角という形
八角形の枠は、珍しい。
九点のうち、これだけである。
つまり、形式に幅がある。
描かれているもの
画面を見たい。
若い女性が、こちらを向く。
髪は、両側で長く巻かれる。
そして、肩が広く開く。
衣は、明るい色である。
肩の描写
肩を見たい。
広く開き、白く明るい。
そして、下部でぼかされる。
つまり、輪郭を作らずに消している。
細密画で、よく使われる方法である。
巻いた髪
髪を見たい。
顔の両側で、螺旋状に巻かれる。
そして、肩まで垂れる。
つまり、十九世紀中ごろの髪型である。
小さな画面
寸法を見たい。
縦5.6センチ、横4.2センチ。
つまり、九点の中で最も小さい。
制作年に幅がある
年代を見たい。
一八四〇年から五〇年とされる。
つまり、十年の幅がある。
装いから推定したのだろう。
九点の内訳
九点をまとめたい。
すべて、象牙に水彩の細密画である。
そして、寸法は5.6センチから18.7センチ。
さらに、首飾りが一つ含まれる。
寸法の幅
寸法を並べたい。
小さいものは、5.6センチ。
そして、大きいものは18.7センチ。
つまり、三倍以上の差がある。
用途の違い
寸法の差は、用途の差でもある。
小さいものは、身に着ける。
そして、大きいものは、壁に掛ける。
つまり、私的な品と、公の品である。
首飾りという形式
三点目は、その両方から外れる。
九つの絵を、鎖でつなぐ。
そして、身に着ける。
つまり、絵の連作が装身具になっている。
色のない五枚
画像についても、まとめたい。
九点のうち、五点が色のない記録写真である。
そして、四点は色のある写真である。
なぜ、白黒が多いか
細密画は、小さい。
そして、展示の機会も少ない。
だから、撮り直しの順番が後になる。
古い写真が、そのまま使われている。
失われるもの
色が分からないと、何が分からないか。
まず、衣の色である。
次に、背景の色。
そして、象牙の透過による肌の明るさ。
つまり、細密画の要点が失われる。
それでも、残るもの
もっとも、構図と明暗は読める。
そして、寸法と年代は記録されている。
さらに、枠や台紙の形も分かる。
枠まで、写る
九点の画像には、枠が写るものが多い。
金の縁、八角の枠、そして首飾りの鎖。
つまり、絵だけでなく物として撮られている。
物として、見る
細密画は、絵であり、物である。
手に取り、身に着け、開いて見る。
だから、枠や鎖も作品の一部である。
九点の画像は、そのことを伝えている。








