同じ名字が、五通りに書かれる——ポール・メロン

先の一点と同じ受入番号1983.1に属する。
しかし出所の行は、夫妻ではなく、単独の名になる。
画面には、舞台の場面が描かれる。
上部と左右に、青い幕が垂れる。
中央の舞台には、石造の壁と鉄格子がある。
その前に、人物が並ぶ。
中央の男は赤い上着で、両腕を左右へ広げる。
その左右に、白い衣の女が一人ずつ。
いずれも男のほうへ体を向ける。
左手前には、青い衣の女が座る。
右手前には、暗い色の衣の男たちが集まる。
奥にも人が並び、こちらを見ている者もいる。
舞台の上の観客も一緒に描かれている。
芝居と、それを見る人が、一つの画面に入る。

薄暗い室内である。
右の壁に、人の影が大きく映る。
その影を、女が壁になぞる。
手には細い道具を持ち、輪郭を追う。
女は黄土色の衣をまとい、立ち膝の姿勢を取る。
その手前に、男が横たわる。
眠っているように見える。
男の衣は緑と黄土で、体は斜めに置かれる。
床には犬が伏せる。
右奥には、赤く光る炉のような場所がある。
そこに人影が小さく見える。
光は炉と、影を作る灯りの二方向から来る。
影を写し取るという行為が、この絵の主題である。
板とカンヴァスと、大きさの幅
九点の技法の欄を見ると、板が二点、カンヴァスが七点である。
板の二点は、いずれも十七世紀初めのフランドルの静物だ。
小さいほうは縦18.1センチ、大きいほうは縦55.2センチ。
カンヴァスの七点は、十八世紀から十九世紀に散らばる。
いちばん大きいのは、縦198.5センチの肖像である。
いちばん小さい板絵と比べると、縦で十倍以上ひらく。
面積では、およそ七十倍になる。
同じ出所の行の下に、これだけの幅がある。
集めた側が、大きさで選んでいなかったことが分かる。
小さな静物も、背丈を超える肖像も、同じ棚に入る。
その並べ方を決めているのは、番号だけである。
夫人だけの名になる年
九点のうち三点は、1992年の受入である。
その三点の行には、夫の名が消えるものがある。
ポール・メロン夫人のコレクション。
夫妻ではなく、夫人だけになっている。
これは、贈った時点の所有者が誰だったかを示す。
館は、贈られた時点の名を書く。
かつて夫妻の共有だったとしても、その時に単独なら単独で書く。
行は、贈与の瞬間を写すものである。
そのため、同じ家からの寄贈でも、年によって形が変わる。
五通りの書き分けは、時間の経過そのものでもある。

川面が、画面の大部分を占める。
水は緑と青が混ざり、細かい筆で刻まれる。
手前に、細長い小舟が斜めに進む。
漕ぎ手は麦藁帽をかぶり、白い上着を着る。
両手で櫂を持ち、水を掻く。
櫂の水かきが、水面の上に大きく出る。
その先に、もう一艘が同じ向きで進む。
奥にも小さな舟が見える。
両岸には濃い緑の木立が続く。
木の影が、水面に長く落ちる。
空はほとんど見えない。
視点は水面に近く、低い。
見る者が舟に乗っているような角度である。

九点でいちばん小さい画面である。
縦18.1センチ、横22.8センチ。手のひらに乗る。
台の上に、浅い籠が置かれる。
籠には桃、葡萄、洋梨が積まれる。
上には青い皿のようなものが立てかけられる。
その縁に模様が入る。
籠の手前には、果物が転がる。
洋梨が二つ、桃が二つ、さくらんぼが数粒。
殻のついた実も見える。
背後は暗く、上部に葉が数枚残る。
一つずつの果物に、光が当たる。
皮の張り、傷、影まで描かれる。
寸法の欄には、追加を含む全体の数字も書かれている。
板の縁が、後から足されているという意味である。

横長の板に、平らな台が描かれる。
中央に、編んだ籠が置かれる。
籠には花が山盛りに入る。
薔薇、チューリップ、白い小花。
色は赤、桃色、白、黄が混ざる。
右には、細いガラスの花瓶が立つ。
花瓶にも花が数本入る。
台の上には、切り花が横たわる。
チューリップが二本、左右に置かれる。
背景は暗い褐色で、何も描かれない。
花は一輪ずつ、重ならないように配置される。
葉の一枚ずつに、葉脈が描かれる。
咲く時期の違う花が、一つの画面に集まる。