画家を知る

影を減らして、速く描く——ウィリアム・マシュー・プライアー

顔に影がほとんどない。立体を作らず、輪郭と色面で人を示す。速く安く描くための方法だったのだろう。もっとも、館の記録はそう説明しない。推測は推測として括りながら、六点の平らな画面を見る。色の数を数えると、その速さの根拠が見えてくる。

バーニッシュ姉妹
バーニッシュ姉妹》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

影の少ない画面

一枚の肖像から始めたい。

バーニッシュ姉妹
ウィリアム・マシュー・プライアー《バーニッシュ姉妹》1854年。油彩、カンヴァス。縦90.2センチ、横101.8センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。バーニッシュ姉妹》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

二人の少女が、並んで立つ。

左は、桃色の衣。

右は、黄色い衣。

いずれも、肩が広く開く。

左の子は、花を持つ。

右の子は、玩具の車を押す。

足元に、花の入った籠。

背景は、緑がかった灰色。

影が、少ない

顔を見たい。

頬に、わずかな赤みがある。

しかし、影がほとんどない。

つまり、平らに見える。

顔の輪郭

顔の輪郭を見たい。

丸く、はっきりしている。

そして、背景との境が明確である。

つまり、線で区切られている。

髪の描き方

髪を見たい。

塊として描かれる。

そして、一本ずつは追われない。

つまり、面で示している。

立体を、作らない

普通の肖像では、明暗で立体を作る。

そして、鼻の脇や顎の下に影を置く。

この絵では、それが少ない。

平らという選択

影を減らせば、面が平らになる。

そして、輪郭が強く出る。

つまり、線で見せる絵になる。

なぜ、影を減らすか

影を作るには、時間がかかる。

薄い層を重ね、境をぼかす。

つまり、手間である。

制作の時間

肖像の制作には、時間がかかる。

そして、その時間が値段に反映する。

つまり、速さは商いの条件である。

速く、描く

影を省けば、速く描ける。

そして、速ければ、安くできる。

つまり、値段に関わる。

推測は、推測として

もっとも、これは画面からの推測である。

館の記録は、値段や制作の速さを示していない。

だから、当サイトは断定しない。

輪郭の強さ

衣の輪郭を見たい。

はっきりした線で囲まれる。

そして、内側が平らに塗られる。

つまり、色の面が並ぶ。

色の数

画面の色を数えたい。

桃色、黄色、白、緑、そして黒。

つまり、五色ほどである。

そして、いずれも混色が少ない。

混ぜない色

色を混ぜれば、濁る。

そして、時間もかかる。

つまり、そのまま置くほうが速い。

色の面

桃色、黄色、そして白。

いずれも、まとまった面である。

そして、その面が隣り合う。

床の影

足元の床を見たい。

わずかに暗い部分がある。

つまり、影である。

もっとも、輪郭ははっきりしない。

白い下衣

二人の衣の下を見たい。

白い布が覗く。

そして、縁に飾りがある。

つまり、下に着た衣である。

玩具の車

右の子が押すものを見たい。

四輪の台に、白い動物が乗る。

つまり、玩具である。

二人の姉妹

題を見たい。

姉妹とある。

つまり、二人の関係が分かる。

そして、家名も記されている。

顔の描き分け

二人の顔を見比べたい。

いずれも、丸く、目が大きい。

そして、輪郭がよく似る。

つまり、型で描かれている。

子どもと、玩具

子どもの肖像に玩具を描くのは、型である。

そして、その子の暮らしを示す。

つまり、道具が説明になる。

花の籠

足元を見たい。

籠に、花が盛られる。

そして、色が多い。

つまり、画面の下に色の点を置いている。

横長の画面

寸法を見たい。

縦90.2センチ、横101.8センチ。

つまり、横が縦より長い。

二人を並べるための形である。

一人あたりの費用

二人を一枚に描けば、一枚分で済む。

そして、二枚描くより安い。

つまり、注文主の判断でもある。

六点の中で、最も大きい

面積を比べたい。

この一枚が、最も大きい。

つまり、二人を描くぶん、大きくなる。

一八五四年という年

制作年は、一八五四年である。

そして、六点の中では遅い時期にあたる。

麦わら帽子を持つ子ども
ウィリアム・マシュー・プライアー《麦わら帽子を持つ子ども》1846〜73年ごろ。油彩、カンヴァス。縦76.5センチ、横60.5センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。麦わら帽子を持つ子ども》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

二十七年の幅

年代を見たい。

一八四六年から一八七三年ごろとされる。

つまり、二十七年の幅がある。

二十七年の意味

一八四六年と一八七三年では、装いが違う。

そして、様式も変わる。

それでも絞れないのは、手がかりが少ないからだろう。

装いから、絞る

装いの流行は、年代の手がかりになる。

もっとも、子どもの衣は変化が緩やかである。

つまり、絞りにくい。

なぜ、絞れないか

制作年を絞るには、根拠が要る。

署名の年、注文の記録、あるいは装いの流行。

そして、それがなければ幅が残る。

幅を、そのまま書く

館は、無理に絞らない。

そして、幅を持たせて記す。

つまり、確からしさの度合いを示している。

帽子を、持つ

画面を見たい。

子どもが、立っている。

そして、大きな麦わら帽子を持つ。

帽子には、飾りが付く。

もう一方の手に、小さな本。

足元に、玩具らしきもの。

飾りの描写

帽子の飾りを見たい。

白い布と、丸い飾りがある。

そして、細かく描かれる。

つまり、手が込んでいる。

帽子の大きさ

帽子を見たい。

顔より大きい。

そして、画面の下半分を占める。

つまり、目を引く要素である。

帽子の描き方

帽子の表面を見たい。

同心円の筋が並ぶ。

つまり、編んだ跡である。

そして、その筋が丁寧に描かれる。

本という持ち物

もう一方の手を見たい。

小さな本を持つ。

そして、表紙に模様がある。

つまり、学びを示す持ち物である。

細部の差

顔は平らで、帽子は細かい。

つまり、力の入れどころが違う。

型で、描く

顔を型で描けば、速い。

そして、似せる必要はある。

つまり、型と個別性の折り合いである。

何に、時間をかけるか

顔を速く描き、持ち物に時間をかける。

これは、意外に思える。

もっとも、顔は型で描けるからだろう。

背景の左

背景の左を見たい。

木立と、遠くの建物が見える。

つまり、窓か、あるいは風景の一部である。

赤い幕

背景の上を見たい。

赤い布が垂れる。

つまり、幕である。

肖像の背景として、繰り返し使われる。

靴の描写

足元を見たい。

黒い靴に、紐が付く。

そして、光る部分がある。

つまり、革だろう。

足元の玩具

床を見たい。

小さな玩具が転がる。

つまり、遊びの跡である。