画家を知る

影を減らして、速く描く——ウィリアム・マシュー・プライアー

紙に描いた一枚

五点目は、支持体が違う。

青い衣の幼子
ウィリアム・マシュー・プライアー《青い衣の幼子》1845年ごろ。油彩、紙。板に貼られている。描かれた面は縦60.3センチ、横43.2センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。青い衣の幼子》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

技法欄を見たい。

油彩、紙とある。

そして、板に貼られている、と続く。

紙に、油彩

紙に油彩で描くのは、珍しくない。

そして、画布より安い。

つまり、費用を抑えられる。

板に、貼る

紙は、脆い。

そこで、板に貼って支える。

つまり、保存のための処置である。

いつ、貼られたか

制作時か、後の処置か。

館の記録は、示していない。

だから、当サイトは断定しない。

「描かれた面」という寸法

寸法の記録を見たい。

描かれた面、とある。

つまり、紙全体ではない。

縁の余白

紙には、絵の具の載っていない縁があるのだろう。

そして、その内側を測っている。

つまり、測れるものを測る。

描かれているもの

画面を見たい。

幼い子どもが、床に座る。

青い衣を着ている。

そして、両手で白い靴下を持つ。

足元に、糸巻きと本。

本の上に、白い動物の玩具。

背景に、赤い幕と木立。

青という色

衣を見たい。

明るい青である。

そして、大きく広がる。

つまり、画面の中心を占める。

靴下を、脱ぐ

手元を見たい。

白い靴下を持つ。

そして、片足が裸足である。

つまり、脱いだところである。

動作を、描く

静止した肖像ではない。

そして、何かをしている。

つまり、場面が示されている。

糸巻きという細部

床を見たい。

木の糸巻きが転がる。

そして、そこから糸が伸びる。

つまり、遊びの道具である。

本の上の玩具

本を見たい。

緑の表紙で、閉じられている。

そして、その上に白い動物が立つ。

つまり、玩具である。

三つの道具

靴下、糸巻き、そして玩具。

つまり、身の回りの品が並ぶ。

そして、それぞれが細かく描かれる。

クリーヴス坊や
ウィリアム・マシュー・プライアー《クリーヴス坊や》1850年。水性の絵の具、厚紙。縦41.3センチ、横30.3センチ。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。クリーヴス坊や》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

厚紙に描く

六点目は、支持体がさらに違う。

技法欄を見たい。

水性の絵の具、厚紙とある。

厚紙という材料

厚紙は、安い。

そして、軽い。

つまり、費用が抑えられる。

水性の絵の具

技法も、油彩ではない。

水性の絵の具とある。

つまり、水で溶く絵の具である。

乾きの速さ

水性の絵の具は、乾きが速い。

そして、重ね塗りが少なくて済む。

つまり、制作が速い。

安く、速く

安い支持体と、速く乾く絵の具。

つまり、費用を抑える組み合わせである。

誰のための肖像か

肖像は、代金を払える人が注文する。

そして、安くできれば、注文の幅が広がる。

つまり、より多くの家に届く。

推測として、書く

もっとも、これは画面と材料からの推測である。

館の記録は、値段を示していない。

だから、当サイトは断定しない。

描かれているもの

画面を見たい。

子どもが、上半身だけ描かれる。

赤い衣に、細い縦の縞。

そして、腕を胸の前で組む。

手に、小さな人形を持つ。

背景に、暗い幕と木立。

上半身だけ

他の五点は、全身か、膝までである。

そして、この一枚だけが上半身である。

つまり、切り取る範囲が違う。

範囲と、値段

描く範囲が狭ければ、手間が減る。

そして、寸法も小さくなる。

つまり、値段が下がる。

六点の中で、最も小さい

寸法を見たい。

縦41.3センチ、横30.3センチ。

つまり、六点の中で最も小さい。

手に持つ人形

手元を見たい。

小さな人形がある。

そして、緑と赤の衣を着ている。

つまり、玩具である。

玩具が、六点すべてに

六点を振り返りたい。

玩具の車、帽子と玩具、兎らしき玩具。

馬と荷車、糸巻きと動物、そして人形。

つまり、すべてに玩具がある。

なぜ、玩具か

子どもの肖像に、玩具は欠かせない。

まず、持たせれば手の位置が決まる。

そして、その子の年齢や身分を示す。

持たせるという工夫

子どもは、じっとしていない。

そして、何かを持たせれば落ち着く。

つまり、制作の都合でもある。

二つの寸法

館の記録には、二種類の寸法表記がある。

「全体」と「描かれた面」である。

そして、五点目だけが後者である。

表記が、状態を示す

表記の違いは、作品の状態を示す。

つまり、言葉が情報を運ぶ。

六点の内訳

六点をまとめたい。

いずれも、子どもの肖像である。

そして、いずれも赤い幕か木立が背景にある。

支持体の内訳

支持体を見たい。

画布が三点、紙が一点、厚紙が一点。

そして、もう一点も画布である。

つまり、三種類が使われている。

費用の差

画布は高く、紙と厚紙は安い。

つまり、注文主の予算で選ぶ。

記録が、示すこと

館の記録は、支持体を細かく記す。

そして、その差が仕事の性格を示す。

平らな肖像という様式

六点に共通するのは、影の少なさである。

そして、輪郭の強さ。

つまり、平らな画面である。

技量の不足ではない

平らなのは、技量の不足ではない。

玩具や帽子は、細かく描かれている。

つまり、描き分けている。

選ばれた平らさ

顔を平らにし、持ち物を細かくする。

つまり、力の配分が選ばれている。

誰が、買ったか

こうした肖像を買うのは、誰か。

写真がまだ高価だった時期の家庭だろう。

そして、子どもの姿を残したい人々である。

記録としての肖像

六点は、いずれも子どもである。

そして、名の分かるものが四点ある。

つまり、その子がそこにいたことが残っている。

名のない二点

一方、二点目と五点目には名がない。

つまり、《麦わら帽子を持つ子ども》《青い衣の幼子》である。

そして、特徴から題が付けられている。

題が、後から付く

名が分からないとき、題は特徴から付く。

そして、館がそれを採用する。

つまり、後世の命名である。

当サイトでは、繰り返しこの点に触れてきた。

名が、残る

《バーニッシュ姉妹》《フェアフィールド嬢》《クリーヴス坊や》。

つまり、家族の呼び名が題になっている。

そして、それが百七十年後も残っている。

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