九点とも、寸法が一ミリも違わない——ジョージ・カトリン
訳された名
名の意味を訳すのは、簡単ではない。
音を写しただけでは、意味が伝わらない。訳せば、音が消える。
だからこの題は、両方を並べている。音写と、訳を、続けて書く。
ただし、訳が正確かどうかは確かめようがない。
聞き取り、書き取り、訳す。三つの段階で、それぞれずれが生じうる。
音を、文字にする難しさ
音を別の言語の文字で写すのは、いつも近似になる。
英語にない音は、近い文字に置き換えるしかない。
符号を付けて長さや強さを示すこともある。九点の題にもその符号が見える。
日本語に訳すときは、その近似をもう一度移し替えることになる。
二重の近似になるので、もとの音からは遠ざかる。
綴りについて
九点の名の綴りは、十九世紀の記録のままである。
いまの表記とは違う。母音の上に符号が付く形も見える。
これは、聞いた音を英語の綴りで写そうとした跡である。
館は綴りを直していない。直せば読みやすくなるが、いつの記録かが分からなくなる。
ここでも、館の題をそのまま訳し、注意書きを添えることにした。

胸から上を描いた画面である。
顔の全面が赤く塗られている。目の周りだけが地の肌色である。
頭には黒と白の羽根が数本立つ。左右に広がる。
耳には輪の飾りが下がる。
衣は白に近い革で、胸に円い模様が並ぶ。赤と黄の細かい飾りである。
肩から袖にかけて、黒い房が長く垂れる。
右手に、黒い筒状のものを持つ。
背景は淡い緑と灰で、平らに広がる。
顔の赤は、九点のなかで最も強い色である。
持ち物の種類
九点の人物が手に持つものを数えてみる。
槍が三点、矢が一点、斧のような道具が一点、旗が一点、杖が一点。
何も持たない人物は、九点のうち二人だけである。
持ち物は、その人の立場や役割を示すと考えられる。
ただし、館の記録には持ち物の説明がない。ここでは形だけを書いた。
顔に塗る色
九点のうち二点で、顔に赤い色が塗られている。
装いの一部である。式や戦いの場で用いられたと伝えられる。
絵の側から見れば、これは強い視覚の要素になる。
背景が淡いので、赤い顔がいっそう際立つ。
ただし、その意味を絵は説明しない。館の記録も書いていない。

胸から上を描いた画面である。
頭髪は短く刈られ、中央だけが赤く逆立つ。
顔の右半分に、赤い色が塗られる。左半分は肌の色である。
耳には細長い白い飾りが下がる。二本ずつある。
首には青と赤の珠の飾りが幾重にも巻かれる。
胸に、白く丸い貝の飾りが下がる。
肩から白い毛皮の布が掛かる。両手でその布を押さえる。
背景は黄土色で、上部が明るい。
顔の左右で色が違うのは、塗り分けているからである。
耳と首の飾り
九点の人物は、いずれも装身具を着けている。
耳飾りが六点、首飾りが七点、胸に下げる丸い飾りが四点ある。
素材は、貝、骨、金属、珠のように見える。画像からは断定できない。
こうした細部は、絵でしか残らないことが多い。
文字の記録では、色も配置も伝わらない。
名の意味と、姿
題の訳を読んでから画面を見ると、結びつけたくなる。
熊捕り、という名の人が、熊の毛皮らしい布をまとっている。
しかし、それが名の由来である証拠はない。
絵と題を結びつけて読むのは、見る側の癖である。
館の記録は、その結びつきを保証していない。

九点で最初の全身像である。
人物が立ち、頭から足まで画面に入る。
頭には羽根の飾りが載り、背中を通って足元まで垂れる。羽根の数は数十本ある。
衣は淡い黄褐色の革で、胸に飾りが並ぶ。
肩からは暗い色の布が下がる。
右手に長い槍を持つ。先が上へ伸びる。
背景の右に、円錐形の住居が小さく描かれる。数は三つほどである。
地面は緑がかった色で、平らである。
全身が入るぶん、顔は小さい。目鼻は簡略になる。
全身にすると、何が変わるか
全身を描けば、装いの全体が見える。
羽根の飾りが足元まで届くことも、履物の形も分かる。
かわりに、顔は小さくなる。表情は読み取りにくい。
九点の四点が全身なのは、装いを見せる必要があったからだと考えられる。
同じ布の上で、何を優先するかが分かれている。

全身を描いた画面である。
人物は白い布を体に巻く。肩から足元まで覆う。
布には、暗い色の帯が縦に入る。
頭は剃られ、中央に赤い房が立つ。
耳から白い飾りが下がる。胸にも丸い飾りがある。
右手に、柄の長い道具を持つ。頭部が斧のような形である。
そこから羽根が二本、下に垂れる。
背景は薄い紫と灰で、雲のような広がりがある。
足元の地面は淡く、影がほとんどない。
白い衣が、五点
九点の衣を見ると、白か淡い黄褐色のものが五点ある。
革をなめしたものだと考えられる。表面に飾りが縫い付けられる。
暗い色の衣は二点、鮮やかな青の上衣が一点である。
淡い衣は、淡い背景の中では埋もれやすい。
そこで、輪郭に細い線を入れて切り出している。九点に共通する処理である。