飲む絵は、注ぐところで止まる——バサヴァナ・豊信・サージェントほか九点
飲むことを扱った九点を数えると、器が口に触れていたのは二点だけだった。多くはただ注ぎ、受け取り、掲げている。中身の見える器は一つもなく、飲むという行いは、器の形と手の動きだけで示されていた。宴も、警告も同じである。

天幕の下で、宴が開かれる
写本の一頁である。

縦長の頁である。
頁は28×18.1センチある。
周りに、装飾の枠がある。
画面の上に、赤い天幕がある。
天幕は、斜めに張られる。
その下に、白い衣の人が座る。
座る場所には、敷物がある。
奥に、建物の壁がある。
壁には、青と白の模様がある。
画面の中ほどに、赤い布が広がる。
布は縦縞で、大きい。
その上に、人が並ぶ。
服は黄、緑、青、白である。
頭には、巻いた布がある。
手に、椀や瓶を持つ人がいる。
一人は、瓶を傾ける。
一人は、器を受け取る。
下のほうにも、人がいる。
馬が二頭、画面の下端にいる。
全部で、三十人以上いる。
館の記録では、これは宴の場面である。
北から来た人を迎えるための宴だという。
館は、こうも書いている。
酒宴と饗宴は、天幕の中で開かれた。
そこで贈り物が交わされ、同盟が結ばれた。
戦いと同じくらい、国づくりに重要だったという。
館の記録は、そこまで説明している。
細部にも、記録が及ぶ。
世話役が、給仕に指示を出している。
匙を運び、卓を整えさせているという。
館は、そこまで書いている。
頁の裏には、文字がある。
これは日記の写本である。
館の記録は、その一節も訳す。
多くの贈り物が献じられた、という文である。
その年、川はどれも水かさを増していた。
舟を浮かべて、人々を渡らせたという。
宴の頁の裏に、旅の記録が続く。
絵と文が、交互に現れる本である。
外側の余白は、後から付け足されている。
飲むことは、九つの場所に現れる
このコラムでは、飲む絵を九点並べる。
九点は、館も年代も技法も違う。
細密画があり、油彩があり、版画があり、素描がある。
陶があり、磁器があり、銀器もある。
共通するのは、館の記録に飲む語があることだけである。
数えるのは、器が口に触れているかどうかである。
森の中で、狩りの一行が休む
二点目は、油彩である。

縦長の画面である。
59.1×49.5センチある。
上のほうは、木と空である。
木は高く、葉が茂る。
空は青灰色で、雲が流れる。
奥に、天幕らしい布が見える。
画面の中央に、人が集まる。
十数人はいる。
中心に、女が座る。
女は黄色の衣を着る。
裾は、地面に大きく広がる。
その手に、小さな器がある。
隣に、男が座る。
男は青い上着である。
手には、瓶を持つ。
瓶を、傾けかけている。
周りに、立っている人がいる。
一人は、器を掲げる。
一人は、皿を運ぶ。
地面には、白い布が敷かれる。
布の上に、食器が並ぶ。
犬が、二匹いる。
犬は、食べ物のほうを見る。
奥には、馬もいる。
館の記録では、これは狩りの休息である。
飲むことが、その中心にある。
館の記録では、題は狩りの休息である。
狩りそのものは、描かれていない。
獲物も、弓も、銃も見えない。
あるのは、食器と、犬と、馬だけである。
休むことが、主題になっている。
画面の色を見ておきたい。
いちばん明るいのは、女の黄色い衣である。
次に明るいのが、地面の白い布である。
その二つが、画面の中央で重なる。
人はみな、そこを向いている。
食事の場が、光の中心でもある。
木の緑と空の青は、それを囲む。
囲まれた明るさに、器が並ぶ。
豪傑が、大杯を傾ける
三点目は、版画である。

横長の紙である。
18.4×28.9センチある。
画面の右に、家の内がある。
障子と、縁側がある。
上に、松の枝が下がる。
左は、外である。
流れが、白い線で描かれる。
画面の中央に、男が座る。
男は、片膝を立てる。
体は大きい。
衣は赤く、太い線で模様が入る。
顔は赤みを帯びる。
眉は太い。
口は開く。
その口へ、器を近づける。
器は平たく、大きい。
両手で、それを支える。
隣に、鎧をつけた人が立つ。
その人は、竹の筒を持つ。
腰には、刀がある。
床には、布と道具が広がる。
九点のうち、器が口に触れている一点である。
館の記録では、これは伝説の豪傑である。
力の強さで知られた人物だという。
芝居にも、繰り返し登場する。
大きな杯を干す場面は、その力を示す。
飲む量が、そのまま強さの証しになる。
体の描き方も、それに合う。
肩は張り、腕は太い。
衣の線は、太い墨で引かれる。
細い線は、松の葉にしか使われない。
太い線と細い線の差が、画面を作る。
口を開けた顔は、正面に近い。
見る人のほうへ、飲む姿を見せている。
兵士が、水を飲む
四点目は、素描である。