額装込みの寸法が、併記される——シカゴ美術館の絵画九点

横長の大きな画面である。
上辺が、ゆるく弧を描く。
左下に、白い建物の角がある。
窓と鎧戸が見える。
その手前に、低い塀が横に走る。
塀の手前は、黄色い花の群れである。
中央から右へ、緑の斜面が広がる。
斜面には、細い木が縦に並ぶ。
奥は、黄と緑の帯が横に重なる。
右上に、遠い丘が青くかすむ。
画面全体が、細かい筆の点で埋まる。
輪郭の線は、ほとんどない。
上辺が、まっすぐでない
いま見た一点の上辺は、弧を描いている。
つまり、長方形ではない。
建物の壁に合わせて作られたのだろう。
寸法の欄には、縦と横の数字しかない。
弧については、何も書かれていない。
前の回の記事で、寸法の欄が形を書かない例を何度も見た。
楕円の絵、八角形の絵、扇の形の絵。
いずれも、形の情報は数字に入らない。
そして、額装込みの数字も長方形として書かれる。
写真を見なければ、弧があることは分からない。
額の厚みが、五点に書かれる
九点のうち五点には、三つ目の数字がある。
額の厚み、つまり奥行きである。
6.4センチから10.2センチまで。
四センチほどの幅がある。
大きな絵ほど、額も厚い。
支えるための強度が要るからだ。
しかし、厚みが書かれない件も四点ある。
測っていないのか、書き落としたのか。
館は、注記を置かない。
前の回の記事で、欄の抜けについて何度も書いてきた。
抜けていることも、記録の一部である。

横長の大きな画面である。
中央から右へ、卓が横たわる。
卓の上に、獲物が積み重なる。
鹿らしい獣が、頭を下にして掛かる。
その周囲に、鳥が幾羽も並ぶ。
羽根の色が、一羽ずつ違う。
手前に、白い鳥が翼を広げる。
左には、男が立つ。
赤い上着を着て、左手に籠を持つ。
籠には、果物が盛られる。
右手を上げ、獲物を指す。
右下に、野菜が積まれる。
額の差が、四十センチある
いま見た一点では、額込みの縦が251.5センチ。
画面は212センチである。
差は四十センチ近い。
つまり、上下に二十センチずつの枠が回る。
前に見た大きな一点では、差が十センチしかなかった。
同じくらいの大きさでも、額の幅が違う。
額は、作られた時代と趣味で決まる。
十七世紀の絵には、太い額が合う。
十九世紀の絵には、細い額が合う。
館の記録は、額がいつ作られたかを書かない。
数字だけを置いている。
数字の差から、額の性格を推測するしかない。

縦長の大きな画面である。
中央に、若い女性が立つ。
白い衣に、桃色の大きな布を掛ける。
布は左肩から腰へ流れる。
顔は下を向き、目を伏せる。
両手で、平たい皿を支える。
皿の上に、切り落とされた首が載る。
その手前に、若い従者がひざまずく。
緑の衣を着て、皿を下から支える。
左に、女性が二人並ぶ。
背後は暗く、幕が垂れる。
光は、中央の女性の衣に集まる。
主題が、聖書の場面である
いま見た一点は、聖書に語られる出来事を描いている。
処刑された人物の首が、皿に載せられる場面だ。
館の記録は、題にその名を書くだけである。
場面の説明も、解釈も書かない。
前の回の記事で、記録が暴力の場面を題だけで示す例を見た。
同じ扱いである。
そして、九点のうち二点が暴力の場面を含む。
もう一点は、追いはぎを撃つ場面だ。
いずれも、題に短く書かれるだけである。
記録は、描かれた内容に立ち入らない。

横長の小さな板である。
左に、修道服の男が立つ。
褐色の衣を着て、腰に縄を巻く。
両手で、長い銃を構える。
銃口から、白い煙が出る。
中央に、白い馬が走り去る。
馬は右を向き、脚を伸ばす。
右に、もう一人の男がいる。
上体を前に倒し、両手を広げる。
黄色い脚衣を履く。
背景の左に、石の壁がある。
地面は褐色で、平らである。
板とカンヴァスが、半々である
九点の技法の欄を並べてみる。
板に油彩が四点。
カンヴァスに油彩が三点。
板にテンペラと金が一点。
そして、板に油彩が一点。
つまり、板が五点、カンヴァスが三点、その他が一点。
年の欄と照らすと、板は古い件に多い。
1396年、1460年、1490年、1504年、1515年。
カンヴァスは、1614年、1639年、1899年。
前の回の記事で、支持体が時代で移る話を書いた。
こちらの九点でも、同じ傾向が出ている。

縦長の板である。
左に、翼のある人物が立つ。
緑の衣に、金の縁飾りが付く。
右手を上げ、指を二本立てる。
左手に、細い杖を持つ。
翼は白と青で、背後に広がる。
右に、女性がひざまずく。
濃い青の外套をまとう。
両手を胸の前で開く。
その前に、机がある。
机の上に、開いた本が置かれる。
二人のあいだに、白い鳥が舞う。
床は、白と褐色の市松である。