額装込みの寸法が、併記される——シカゴ美術館の絵画九点
画面の大きさと、額装した状態の大きさ。九点のうち八点に、この二段目がある。額の差は点によって違い、四十センチ開く一点もある。表と裏で寸法が違う一点も併せて読みたい。額のない一点も、九点の中にある。年の欄は、六百年に散らばっている。

寸法の欄に、額装込みの数字がある
絵画を九点、別の館の記録で並べてみる。
寸法の欄は、いずれも二段になっている。
画面の大きさ。
そして、額装した状態の大きさ。
九点のうち八点に、この二段目がある。
前の回の記事で、額の寸法を書く例を何度か見た。
しかし、こちらの館ではほぼ全点に付いている。
方針として、額を測っている。
そして、そのうち五点には三つ目の数字がある。
奥行き、つまり額の厚みである。
額の差が、点によって違う
九点の一段目と二段目を比べてみる。
小さい絵ほど、差の比が大きい。
縦34センチの絵が、額込みで52.7センチになる。
一・五倍を超える。
一方、縦249.2センチの絵は、額込みで259.4センチ。
一割も増えない。
つまり、額の幅は絵の大きさに比例しない。
十センチ前後の枠を、どんな絵にも回す。
小さい絵ほど、額の占める割合が大きくなる。
前の回の記事で、掛軸の表装について同じことを書いた。
小さな画面ほど、周りを厚く取る。
理由は違うが、結果は似ている。

縦長の小さな板である。
九点でいちばん小さい画面だ。
中央の下に、裸の幼児が横たわる。
白い布の上に置かれる。
その右に、女性がひざまずく。
青い外套をまとい、両手を合わせる。
顔は下を向く。
左には、男性がひざまずく。
赤い衣を着て、杖を持つ。
背後に、崩れた石の柱が立つ。
上部の空に、天使が三人舞う。
いずれも衣をなびかせる。
表と裏で、寸法が違う一点
九点のうち一点は、寸法の欄が三段になっている。
画面の大きさ。
裏面の大きさ。
そして、額装した大きさ。
裏面の縦が、表より五ミリ長い。
同じ板なのに、なぜ違うのか。
板の縁が、斜めに削られているのだろう。
額に嵌めるために、表側を落とす。
すると、表と裏で寸法が変わる。
館は、その差を数字で残している。
前の回の記事で、表と裏を別々に登録する例を見た。
こちらは、一つの記録の中で表と裏を測っている。

縦長の小さな板である。
濃い青の背景に、男性が胸から上で描かれる。
顔はやや左を向く。
髪は黒く、額の上で切りそろえられる。
耳を覆う長さで、まっすぐ垂れる。
目は大きく、下を見る。
鼻は細く、口は小さい。
首もとに、白い襟が細く見える。
上着は黒く、背景に近い暗さである。
下部に、両手が合わされる。
指は細長く、爪まで描かれる。
左手の薬指に、指輪がある。
題に、表と裏が書かれる
いま見た一点の題は、二つに分かれている。
括弧に表と書かれた部分と、裏と書かれた部分。
つまり、一つの題の中に二つの図がある。
裏には、紋章が描かれているという。
しかし、公開画像は表しか見せない。
前の回の記事で、両面を持つ作品を何度か見てきた。
別々の番号を与える館もあった。
こちらは、一つの番号と一つの題で扱っている。
そのかわり、題の中に両方を書く。
同じ問題に、館ごとに違う答えがある。
そして、どちらの答えでも、画像は片面しか見せない。
一つの番号に、二つの部分がある
九点のうち一点は、寸法の欄が変わっている。
二つの部分の大きさが、別々に書かれている。
一方は縦257センチ、横669.9センチ。
他方は縦116.3センチ、横290.9センチ。
大きさがまるで違う。
前者は祭壇の背後に立てる板。
後者は祭壇の前面を覆う板である。
もとは、一つの祭壇を構成していた。
だから、一つの番号で数えられている。
前の回の記事で、まとまりを一件とする数え方を何度も見た。
こちらでも、同じ原則が働いている。

二つの板が、上下に離して写される。
上の板は、横に非常に長い。
横は六メートル半を超える。
面が、格子状に区切られる。
上段に、七つほどの場面が並ぶ。
下段にも、同じ数の場面がある。
いずれも、人物が数人ずつ描かれる。
地は金で、輪郭が細い線で引かれる。
衣は赤、青、緑に塗り分けられる。
下の板は、上の五分の一ほどの大きさだ。
こちらにも、場面が四つほど並ぶ。
枠には、細かい文様が回る。
作者の欄に、国の名だけがある
いま見た一点の作者の欄には、国の名しかない。
スペイン、とだけ書かれている。
人の名も、工房の名もない。
前の回の記事で、作者の欄に地域と世紀が入る例を見た。
こちらは、地域だけである。
年の欄に1396年と一年で書かれているから、世紀は不要なのだろう。
なぜ、年が一年に定まるのか。
祭壇には、寄進の年が書かれることがある。
館は、根拠を書かない。
書かれるのは、四桁の数字だけである。
そして、作った人の名は、永久に分からない。
大きさが、二十倍に散らばる
九点の画面の縦を並べてみる。
いちばん小さいのが34センチ。
いちばん大きいのが257センチ。
横でいえば、24.5センチから669.9センチまで。
二十七倍の差がある。
同じ絵画という分類の中に、これだけの幅がある。
小さい一点は、手に持って見る。
大きい一点は、建物の一部である。
館の記録は、その差を寸法の数字だけで示す。
品名の欄には、いずれも絵画とあるだけだ。
前の回の記事で、分類の名が中身の均質さを保証しない話を書いた。
ここでも、同じことが起きている。