方眼を引いたまま、残る——ケニオン・コックス
転写のための素描
四点目も、制作のための紙である。

横長の紙である。
人物が、横たわる。
そして、両腕を頭の上へ回す。
髪が、周囲に広がる。
画面には、方眼が引かれる。
下部に、文字が書かれる。
「転写用」という記載
技法欄を見たい。
転写用、とある。
つまり、別の面へ写すための紙である。
三十七センチの紙
寸法を見たい。
縦37.1センチ、横50.8センチ。
つまり、四枚の下絵がほぼ同じ大きさである。
同じ紙をまとめて使っていたのだろう。
転写の方法
転写には、いくつか方法がある。
裏に木炭を塗り、線をなぞる方法。
あるいは、方眼で升目ごとに移す方法。
この一枚には、方眼がある。
天井のための絵
題を見たい。
天井装飾のための習作、とある。
つまり、見上げる位置に置かれる絵である。
短縮という技法
短縮について、補いたい。
奥へ伸びる腕や脚は、短く見える。
そして、それを絵で示す必要がある。
天井では、その度合いが強くなる。
見上げる絵の難しさ
天井の絵には、難しさがある。
見る人が、下から見上げるからである。
つまり、人物が短縮して見える。
その補正を、下絵の段階で考える。
横たわる姿勢
この人物は、横たわる。
そして、体が画面を斜めに横切る。
天井では、この形が浮かんで見える。
下部の書き込み
画面の下を見たい。
文字が、二行ほど書かれている。
主題と、用途の記載だろう。
つまり、後で分かるようにしてある。
髪の描写
髪を見たい。
長く、頭の周囲に広がる。
そして、一本ずつ線で描かれる。
つまり、細部が追われている。
四枚の下絵
ここまでで、下絵を四枚見た。
いずれも、方眼が引かれる。
そして、寸法もほぼ同じである。
つまり、同じ作業の中で作られた紙である。
下絵は、残るか
制作用の紙は、捨てられることが多い。
用が済めば、要らなくなるからである。
それでも残ったのは、価値が認められたからだろう。
そして、美術館が受け入れた。
一九一二年の寄贈
来歴を見たい。
館の記録では、一九一二年の寄贈である。
そして、寄贈者は別の画家の名である。
つまり、同業者の手を経て館へ渡った。

色のない一枚
五点目の画像は、灰色の階調だけである。
つまり、古い記録写真とみられる。
だから、色は分からない。
当サイトも、色を語らない。
明暗の差
画面を見たい。
背景の壁は暗い。
そして、顔と手が明るい。
つまり、明暗の差が大きい。
色がなくても、その差は読める。
室内の場面
画面を見たい。
女性が、椅子に腰かける。
そして、大きな竪琴に手を伸ばす。
暗い衣を着ている。
背後の壁に、額に入った絵が並ぶ。
竪琴の上に、鳥の像が見える。
竪琴という道具
楽器を見たい。
高い柱と、湾曲した頭部。
そして、弦が斜めに張られる。
つまり、大きな竪琴である。
画面の高さの大半を占める。
弦を、描く
弦を見たい。
細い線が、いくつも平行に並ぶ。
そして、間隔が下へ行くほど広がる。
つまり、一本ずつ描かれている。
鳥の像
竪琴の上を見たい。
翼を広げた鳥の形がある。
そして、暗い額の上に載る。
彫像だろう。
もっとも、館の記録に説明はない。
壁の絵
背後の壁を見たい。
大きな額が一つ、小さな額が三つ。
つまり、絵の掛かった部屋である。
画家の仕事場かもしれない。
もっとも、館の記録に説明はない。
一九一二年の購入
来歴を見たい。
館の記録では、一九一二年に基金で購入された。
四点目の寄贈と、同じ年である。
つまり、同じ年に二点が館へ入っている。
撮り直されない理由
なぜ、白黒の写真のままなのか。
展示の機会が少ないためだろう。
収蔵庫にある作品は、撮影の順番が後になる。
当サイトでは、繰り返しこの点に触れてきた。
縦長の判型
寸法を見たい。
縦76.2センチ、横45.4センチ。
つまり、縦横の比が一・七に近い。
竪琴の高さを収めるための形だろう。

横長の風景
六点目は、風景である。
横長の画面である。
手前に、枯れた草地。
そして、奥へ丘が続く。
丘の上に、木立が点在する。
空は、灰色がかった青。
手前の草
前景を見たい。
細い茎が、まばらに立つ。
そして、影が長い。
つまり、低い日差しである。
抑えた色
色を見たい。
茶、黄土、灰緑、そして灰青。
つまり、色の幅が狭い。
強い赤や緑はない。
枯れた季節
草地を見たい。
緑ではなく、茶色である。
そして、細い茎が立つ。
つまり、秋か冬である。
空の描き方
空を見たい。
灰色がかった青に、薄い雲。
そして、下部が明るい。
つまり、地平の近くに光がある。
丘の重なり
奥を見たい。
丘が、いくつも重なる。
そして、奥ほど色が淡い。
つまり、距離が色で示される。
一九六四年の寄贈
来歴を見たい。
館の記録では、一九六四年の寄贈である。
つまり、九点の中では遅く館へ入った。
横長という判型
寸法を見たい。
縦40.6センチ、横76.2センチ。
つまり、横が縦の一・九倍ある。
広い眺めを収めるための形である。