嘆く人は、顔を隠している——アンフォラ・フラ・アンジェリコ・始興ほか九点

横長に近い画面である。
105.4×92.7センチある。
画面は、中央の柱で二つに分かれる。
柱は、金色の飾りを持つ。
上には、二つの尖った枠がある。
枠の向こうに、町が見える。
町には、塔と屋根がある。
空は青い。
左の枠に、男が立つ。
上半身は裸である。
肩に、緑の布が掛かる。
頭には、茨の冠がある。
手は前で縛られる。
手に、細い棒を持たされる。
顔は、こちらを向く。
右の枠に、女が立つ。
女は、青い衣を着る。
頭から、白い布をかぶる。
布は、顎の下で合わさる。
顔だけが、その中に見える。
目は伏せられる。
口は結ばれる。
両手は、胸の前にある。
一方の手に、閉じた本がある。
二人は、同じ画面にいる。
しかし、互いを見てはいない。
二人のあいだには、柱がある。
柱は、画面を縦に切る。
左右は、別の場面のように見える。
もとは、二枚の板だったのかもしれない。
館の記録では、板からカンヴァスへ移されている。
移し替えは、板が傷んだときに行われる。
絵具の層だけを剥がして、布に貼る。
難しい作業である。
今の状態からは、その痕跡は見えない。
枠の向こうの町も、細かく描かれる。
塔の窓まで、数えられる。
悲しみの場面の背後に、日常の町がある。
布の塊だけが、残っている
五点目は、彩色した石膏である。

浅い浮彫である。
額込みで73.7×59.1×17.8センチある。
厚みは、17.8センチある。
面から、形が持ち上がる。
背景は、暗い赤褐色である。
その前に、大きな布の塊がある。
布は紫と青である。
上から下まで、続いた一枚に見える。
頭のあたりが、丸く盛り上がる。
そこから、布が垂れる。
内側には、白い縁が見える。
顔は、まったく見えない。
俯いているのか、覆っているのかも分からない。
手も、足も出ていない。
あるのは、布の形だけである。
左上に、小さく突き出た部分がある。
館の記録では、これは大きな彫刻の断片である。
もとは、十字架の両脇に二人がいた。
その一方だけが、残っている。
館は、そう説明している。
生前、これは画家による彫刻と呼ばれたという。
絵と彫刻の、あいだにある作である。
形は彫られ、色は塗られる。
どちらの技法も使われている。
館の記録では、この作者は別の画家と親しかった。
その画家の作にも、信仰の主題がある。
館は、その一点の番号まで挙げている。
左上には、書き込みがある。
ある人に宛てた献辞と、署名である。
贈るために作られた作なのだろう。
断片であることは、後から分かった。
もとの全体は、失われている。
残った布の形だけが、館にある。
倒れた人のそばに、立ち尽くす
六点目は、素描である。

縦長の紙である。
紙は27.9×21.3センチある。
絵の部分は、その内側にある。
画面は、灰色の濃淡でできる。
上のほうに、木がある。
枝は細く、上へ伸びる。
奥は、明るい空である。
画面の中央に、男が立つ。
男は長い衣を着る。
衣は足元まである。
顔は、下を向く。
片手を、顔のあたりに当てる。
もう一方の腕は、下がる。
体は、わずかに前へ屈む。
その足元に、人が横たわる。
倒れた人は、こちらへ足を向ける。
体は、地面に沿う。
顔は、よく見えない。
そばに、水の流れらしい線がある。
下の余白に、文字がある。
館の記録では、画家自身が書いた題である。
物語の一場面だという。
死んだ直後の場面である、と館は書く。
館の記録は、物語の筋も書いている。
旅の途中で会った友人が、死ぬ。
魔女に喉を傷つけられたためだという。
この絵は、その直後を選んでいる。
館の記録では、この作者は本来彫刻家である。
しかし、本の挿絵も多く手がけた。
ある出版者のために描いたという。
この物語のための下絵も、いくつか作った。
しかし、本にはならなかった。
刷られなかった絵が、館に残っている。
淡彩の灰色は、版画を思わせる。
白のグワッシュが、光の場所を作る。
顔を覆って、立っている
七点目は、油彩である。

縦長の画面である。
101.5×76.1センチある。
背景は、暗い褐色である。
奥のほうは、ほとんど黒に沈む。
上に、わずかな明るみがある。
画面の中央に、人が立つ。
体は正面を向く。
上半身は裸である。
腰から下は、暗い。
両腕は、顔の前で曲げられる。
手が、顔を覆う。
目も、口も見えない。
頭は、少し傾く。
体の線は、明るく浮かぶ。
背景との差が大きい。
その足元に、もう一人がいる。
その人は横たわる。
体は、画面を横切る。
衣は、赤褐色である。
顔は、こちらへ向く。
目は閉じているように見える。
動きはない。
立っている人は、その体を見ていない。
顔を覆っているからである。
二人の位置を見ておきたい。
立つ人は、画面の上のほうを占める。
横たわる人は、下の端にいる。
上下に、はっきり分かれている。
明るさも違う。
立つ人の体は、光を受ける。
横たわる人は、暗がりに近い。
背景は、ほとんど描かれない。
木も、空もない。
場所が示されないぶん、二人だけが残る。
館の記録には、制作の年しかない。
主題の説明は、付いていない。