画家を知る

硝子に、商品名が付く——ニューイングランド・ガラス製造所

赤から黄へ

七点目は、蓋のある器である。

蓋つきの壺
ニューイングランド・ガラス製造所《蓋つきの壺》1883〜88年。アンバリナ・ガラスの吹きガラス。高さ21.3センチ、直径10.8センチ。メトロポリタン美術館蔵。エミリー・ウィンスロップ・マイルズ夫人の寄贈、1946年。ニューイングランド・ガラス製造所《蓋つきの壺》メトロポリタン美術館蔵

胴が、円筒形である。

そして、その上に丸い蓋。

蓋の頂きに、小さな摘みがある。

色は、上が濃い赤。

そして、下へ行くほど黄色くなる。

表面に、菱形の模様が並ぶ。

蓋の形

蓋を見たい。

丸く盛り上がる。

そして、縁が胴に嵌まる。

つまり、閉じられる器である。

また、名の付いた硝子

技法欄を見たい。

アンバリナ・ガラスとある。

つまり、これも商品名である。

三つの名

三点目、五点目、七点目を並べたい。

いずれも、名の付いた硝子である。

そして、いずれも上下で色が変わる。

つまり、同じ系統の工夫である。

用途を、考える

蓋のある壺は、何に使うか。

砂糖か、菓子か、あるいは装飾か。

館の記録は、示していない。

だから、当サイトも断定しない。

色の変化が、流行する

十九世紀の後半、色の変わる硝子が流行した。

そして、各社が独自の名を付けた。

つまり、商品として競い合っている。

菱形の模様

表面の模様を見たい。

菱形が、規則的に並ぶ。

そして、その中に色の濃淡がある。

つまり、型で付けた模様だろう。

一九四六年の寄贈

来歴を見たい。

館の記録では、一九四六年の寄贈である。

そして、同じ人物が他の硝子も寄贈している。

つまり、硝子を集めた収集家だろう。

蓋の摘み

蓋の頂きを見たい。

小さな尖った摘みがある。

そして、色が濃い。

つまり、別に作って付けている。

脚つきの鉢
ニューイングランド・ガラス製造所《脚つきの鉢》1850〜70年。型押しガラス。高さ14センチ、直径21センチ。メトロポリタン美術館蔵。アニタ・G・ミュラーの寄贈、1979年。この作品は、ほとんど色のない古い記録写真で公開されている。ニューイングランド・ガラス製造所《脚つきの鉢》メトロポリタン美術館蔵

色のない画像

八点目の画像は、灰色の階調だけである。

つまり、古い記録写真とみられる。

そして、周囲に黒い縁がある。

縁に写る文字

画像の右端を見たい。

手書きの数字が、縦に並ぶ。

そして、上下にもある。

つまり、整理番号だろう。

記録写真の性格

記録写真には、管理の情報が写ることがある。

番号、札、そして原板の縁。

つまり、鑑賞のための画像ではない。

器の形

画面を見たい。

半球形の鉢が、脚の上に載る。

そして、縁が尖った山形に並ぶ。

胴の表面に、菱形が密に並ぶ。

菱形の刻み

胴の模様を見たい。

小さな菱形が、一面に並ぶ。

そして、それぞれが光る。

つまり、面を細かく分けている。

型押しという技法

技法欄を見たい。

型押しガラスとある。

つまり、九点のうちこれだけが型押しである。

他の八点は、吹きガラスである。

脚の形

脚を見たい。

太く、短い。

そして、下が円い台になる。

つまり、重い鉢を支える形である。

量産と、手仕事

型押しは、量産の技法である。

そして、吹きガラスは手仕事である。

つまり、一つの工場が両方を作っていた。

帽子掛け
ニューイングランド・ガラス製造所《帽子掛け》1855〜75年。銀を差した自由吹きガラス。高さ27.9センチ、直径17.8センチ。メトロポリタン美術館蔵。リチャード・T・バトンの寄贈、1978年。ニューイングランド・ガラス製造所《帽子掛け》メトロポリタン美術館蔵

鏡のような表面

九点目は、表面が鏡である。

画像には、三つの器が並ぶ。

左は、球の載った脚つきの台。

中央は、小さな杯。

右は、筒形の器。

いずれも、銀色に光る。

三つの器

画像の三つを見比べたい。

高さも、形も違う。

そして、いずれも銀色である。

つまり、同じ技法の品が並ぶ。

銀を差す技法

技法欄を見たい。

銀を差した自由吹きガラスとある。

つまり、硝子の内側に銀の層を作る。

二重の壁

作り方を考えたい。

硝子を二重に吹き、そのあいだに銀の液を流す。

そして、乾かして密閉する。

すると、外から見ると鏡になる。

帽子掛けという用途

題を見たい。

帽子掛けとある。

つまり、帽子を載せる台である。

中央の杯

中央の器を見たい。

小さく、口が広い。

そして、表面に模様がある。

つまり、別の用途の器だろう。

球の役割

左の器を見たい。

脚の上に、大きな球が載る。

つまり、その球に帽子をかぶせる。

形が、用途に合っている。

分類の欄が、合わない

ここで、館とは別に、当サイトの記録に触れたい。

この作品の分類欄には、繊維とある。

つまり、硝子ではなく繊維に分類されている。

なぜ、そうなるか

帽子掛けは、衣類に関わる品である。

そして、衣類は繊維の部門に入る。

つまり、用途で分類されている。

素材と、用途

分類には、二つの考え方がある。

素材で分けるか、用途で分けるか。

そして、両方が混在すると、こうしたずれが出る。

そのまま、書いておく

当サイトでは、こうしたずれを隠さない。

分類は繊維、素材は硝子である。

つまり、記録どおりに伝える。

三つの器

九点目の画像には、三つの器が写る。

そして、寸法の記録は一つだけである。

つまり、どれがその寸法か分からない。

一点目、二点目と同じ問題である。

九点の内訳

九点をまとめたい。

花瓶が四点、水差しが一点、壺が一点。

そして、鉢が一点、帽子掛けが一点。

さらに、対の花瓶が二点である。

技法の内訳

技法を見たい。

吹きガラスが八点、型押しが一点。

そして、名の付いた硝子が三点。

つまり、手仕事が中心である。

年代の分布

年代を並べたい。

一八五〇年代から七〇年代が四点。

そして、一八八〇年代が四点。

さらに、一八六〇から八〇年が一点。

前半と、後半

前半は、渦の線や刻みが中心である。

そして、後半は名の付いた色硝子が中心である。

つまり、装飾の方法が変わっている。

商品として、作る

十九世紀後半の硝子には、商品名が付く。

そして、新しい種類が次々に出る。

つまり、意匠の競争があった。

名前が、残る

その名が、いまも館の記録に残っている。

つまり、当時の市場の言葉が伝わっている。

美術館の記録は、産業の記録でもある。

画像が、揃わない

最後に、画像について触れたい。

九点のうち、一点は色のない記録写真である。

そして、三点は複数の器が写る。

撮影の事情

小さな品が多数あると、まとめて撮る。

そして、一枚の写真を複数の番号に割り当てる。

つまり、効率の判断である。

見えているもの

見えているのは、器そのものではない。

器を撮った写真である。

そして、その写真がいつ、どう撮られたかで見え方が変わる。

九点を並べると、そのことがよく分かる。

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