硝子に、商品名が付く——ニューイングランド・ガラス製造所
上下で色の変わる硝子には、それぞれ独自の名が付けられた。当時の市場の言葉が、いまも館の記録に残っている。銀を差した帽子掛け、頭文字を刻んだ水差し。分類の欄が素材と合わない一点にも触れる。美術館の記録は、産業の記録でもある。

球の載った花瓶
一点の硝子から始めたい。

画像には、二つの器が並ぶ。
いずれも、細い脚の上に胴がある。
そして、口が波打って開く。
その上に、大きな球が載る。
球にも、器にも、赤と青の線が渦を巻く。
球は、何か
上に載る球を見たい。
中空で、透けている。
そして、下端に小さな口がある。
つまり、蓋のように器に載せてある。
縁の山形
縁を見たい。
尖った山形が、連なる。
そして、その数が多い。
つまり、型の彫りが細かい。
器の形
下の器を見たい。
細い脚の上に、胴が乗る。
そして、口が広く開く。
さらに、縁が波打つ。
つまり、花を挿す器である。
名の由来
題には、その球の呼び名が入る。
館の記録は、その語をそのまま使う。
もっとも、由来の説明はない。
だから、当サイトも語を伝えるにとどめる。
渦を巻く線
線を見たい。
赤、青、白の細い線が、螺旋状に走る。
そして、器の上部で交差する。
つまり、複雑な模様になる。
ねじりの方向
線の傾きを見たい。
いずれも、同じ向きに傾く。
つまり、一方向にねじっている。
そして、上下で角度が変わる。
吹きながら伸ばすと、そうなる。
線の入れ方
色の線を入れるには、方法がある。
まず、色硝子の棒を並べる。
そして、その上に透明な硝子を巻く。
さらに、ねじりながら吹く。
すると、線が螺旋になる。
自由吹きという技法
技法欄を見たい。
自由吹きガラスとある。
つまり、型を使わずに吹く。
高さ三十四センチ
寸法を見たい。
高さ34.3センチである。
つまり、九点の中で最も高い。
球を含めた高さだろう。
型を、使わない
型を使えば、同じ形が量産できる。
一方、自由吹きは一点ずつ違う。
つまり、手の仕事である。
そして、時間がかかる。
同じ形の、二つ
二つの器を見比べたい。
高さも、形も、模様もほぼ同じ。
そして、線の走り方だけがわずかに違う。
つまり、手仕事の差である。
二つ写る画像
ここで、画像について書いておきたい。
この作品の画像には、器が二つ写る。
つまり、一点だけではない。

同じ写真が、二度
二点目の画像を見たい。
一点目と、ほとんど同じである。
同じ二つの器が、同じ配置で写る。
つまり、二つの作品番号に、ほぼ同じ画像が割り当てられている。
なぜ、こうなるのか
二点は、対の品である。
そして、同じ寸法、同じ年、同じ購入。
だから、まとめて撮影されたのだろう。
記録の限界
同じ画像が複数の作品に使われることがある。
当サイトでは、繰り返しこの点に触れてきた。
そして、そのたびに明記している。
見る側が混乱しないためである。
どちらがどちらか
画像だけでは、どちらの番号がどちらの器か分からない。
館の記録も、示していない。
つまり、特定できない。
当サイトは、この状態をそのまま書いておく。
技法欄が、違う
もっとも、記録には違いがある。
一点目の技法欄は、色まで細かく記す。
そして、二点目は「吹きガラス」とだけある。
記録の詳しさが、揃わない
同じ対の品でも、記録の詳しさが違う。
つまり、入力の時期や担当者が違うのだろう。
美術館の記録は、そうして少しずつ積み上がる。
一九六九年の購入
来歴を見たい。
館の記録では、一九六九年の購入である。
そして、ある財団の寄付による。
つまり、資金を得て買っている。
対で、作られる
花瓶は、対で作られることが多い。
そして、暖炉の上や卓の両端に置く。
つまり、左右対称に飾る。
対が、揃って残る
対の品は、離れやすい。
相続や売買で分かれるからである。
この二点は、揃って館へ入っている。

喇叭の形
三点目は、細く、背が高い。
下が円い台になる。
そして、そこから細い茎が立つ。
上端が、大きく開いて波打つ。
つまり、喇叭のような形である。
口の波
口の縁を見たい。
三つの山と谷を作る。
そして、外へ反り返る。
つまり、花弁のような形である。
色の移り変わり
色を見たい。
上端が濃い紅である。
そして、下へ行くほど淡くなる。
足元は、ほとんど白い。
名の付いた硝子
技法欄を見たい。
アガタ・ガラスとある。
つまり、特定の名を持つ硝子である。
商品名という記録
商品名は、当時の市場の言葉である。
そして、いまも館の記録に残る。
つまり、産業の記録でもある。
美術館の記録には、こうした側面がある。
硝子に、名が付く
十九世紀の後半、硝子の工場は新しい種類を作った。
そして、それぞれに名を付けた。
つまり、商品名である。
名前が、記録に残る
館の記録は、その名をそのまま記す。
つまり、当時の呼び名が残っている。
工業製品としての側面が、記録に現れる。
足の形
足元を見たい。
円い台になり、平らである。
そして、色が淡い。
つまり、上と下で色が違う。
表面の斑
表面を見たい。
淡い斑が、散っている。
そして、濃い部分と淡い部分が混ざる。
つまり、均一ではない。
その不均一が、この種類の特徴だろう。