年の欄が、四通りに書かれる——ニューイングランド・ガラス製造所
二つの年をつなぐもの。ころ、を付けるもの。以降、とだけ書くもの。世紀で止まるもの。同じ会社の九点で、年の書き方が四通りに分かれる。百年の幅を二つの年で書いた記録もある。年の欄を読みたい。器の種類は、六通りに分かれる。

年の欄が、四通りに書かれる
九点の年の欄を並べると、書き方が四通りに分かれる。
二つの年を横棒でつなぐもの。
ころ、という語を付けて一つの年を書くもの。
以降、という語を付けて一つの年を書くもの。
そして、世紀だけを書くもの。
なお、百年の幅を二つの年で書いた記録もある。
同じ館の、同じ会社の、同じ材料の九点である。
それでも、年の書き方はそろわない。
九点を順に見ながら、年の欄を読んでいきたい。

九点の内訳
先に、九点の中身を確かめておく。
皿が二点、平皿が二点、鉢が二点。
花器が一点、杯が一点、水差しが一点。
技法は、吹いた硝子が四点、型で押した硝子が二点、型に吹き込んだ硝子が一点。
さらに二点は、細かい粒の地を持つ、型で押した硝子である。
年は、記録の上では1813年から1900年までに散る。
九点とも、同じ一つの会社の名に結びつけられている。
年の欄は、何のためにあるか
年の欄は、いつ作られたかを示す。
それだけのようだが、実際には多くのことに使われる。
同じ時期の他の品と比べる。技法の移り変わりを追う。
作った人の仕事の順序を組み立てる。
年が分からなければ、これらはすべてできない。
だから、館は分かる範囲で年を書く。
分からないときも、分からないなりに書く。
その書き分けが、七通りの形になっている。
最も古い記録
いま見た一点の年は、1813年から1825年である。
十二年の幅がある。
書き方を見ると、後ろの年が二桁に略されている。
前の年の千と百の位が、そのまま続くという読み方である。
九点のうち三点が、この略し方をしている。
読み違えることはまずない。
しかし、正式な書き方かというと、そうではない。
型に吹き込む
この一点の技法は、型に吹き込んだ硝子である。
型の中で息を吹き込み、内側から型に押し当てて形を作る。
型で押す方法とは違う。
押す方法では、上から棒で押し込む。
吹き込む方法では、空気の圧力で広げる。
薄く軽い器ができるが、同じ形をそろえるのは難しい。
画面の一点は、八角形に近い平面の器である。
側面には細かい格子と、縦の筋が刻まれている。
略さない書き方
九点のうち、後ろの年を略さず四桁で書く記録もある。
1800年から1900年という記録が、それにあたる。
もし略していれば、1800年から00年となる。
これでは意味が通らない。
略せる場合と、略せない場合がある。
書式が分かれる理由の一つは、こうした事情である。
十二年という幅
なぜ1813年から1825年なのか。
この会社が始まったのが1818年だと伝えられる。
しかし記録の年は、それより五年前から始まっている。
前身の工場の時期を含めているのかもしれない。
あるいは、型の使われた期間を書いたのかもしれない。
記録には理由が書かれていない。
読む側は、幅の意味を推し量ることしかできない。

白い面と、光
不透明な白い硝子は、光を通さない。
そのため、模様は影で見える。
透明な硝子では、光が抜けて模様が輝く。
同じ型を使っても、硝子の性質が変われば見え方は変わる。
この一点の縁の飾りが柔らかく見えるのは、そのためだろう。
ころ、という語
いま見た一点の年は、1830年ごろと書かれる。
ころ、という語は、館の推定であることを示す。
証拠のある年ではない。
九点のうち二点が、この書き方をとる。
推定であることを隠さないのは、良い書き方である。
数字だけを置けば、確かな年に見えてしまう。
不透明な白い硝子
この一点の技法の欄には、不透明な白い硝子と書かれる。
透けない白い硝子は、原料に別の成分を加えて作る。
陶磁器に似た見た目になる。
高価な白い食器の代わりとして使われた。
画面は白黒だが、この一点については色が記録されている。
記録が画像を補っている例である。
白い硝子の理由
十九世紀の前半、白い食器は陶磁器で作られていた。
輸入品は高く、手に入りにくい。
硝子で似た見た目を作れば、安く売れる。
不透明な白い硝子は、そうした需要に応えたものだろう。
ただし、硝子は陶磁器より割れやすい。
安いかわりに、長くは持たない。
縁の飾り
この一点の縁には、細かい飾りが帯になって並ぶ。
葉のような形が連なり、そのあいだに粒が入る。
中央は、輪が二重に描かれるだけである。
飾りを縁に集め、中央は空けている。
皿として使うなら、中央に物が載る。
そこに細かい模様があっても、見えなくなる。

寸法のない一点
いま見た一点だけ、寸法の欄に数字がない。
不明である、と書かれている。
年は1835年から1845年で、十年の幅である。
年は書けても、寸法は書けない。
年は他の資料から推定できるが、寸法は物を測るしかない。
推定できるものと、測るしかないものの差が出ている。
十年という幅
この一点の年は、十年の幅で書かれている。
九点の中では、真ん中くらいの精度である。
最も狭いものが三年、最も広いものが百年。
その間に、十年、十二年、十一年の幅が並ぶ。
幅の広さは、そのまま情報の少なさを表している。