名画の楽しみ方

表と裏に、別の枝番がつく——レオナルドほか

学者たちのあいだのキリスト(表)
ベルナールト・ファン・オルレイ《学者たちのあいだのキリスト(表)》1513年ごろ。板に油彩。館の記録では、画面が縦54.4センチ、横33.3センチとされる。番号は1952.5.47.a。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。ベルナールト・ファン・オルレイ《学者たちのあいだのキリスト(表)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

石造の建物の中に、人物が集まる。

中央の一段高い場所に、少年が座る。

その両側に、年配の男たちが並ぶ。

赤や青の衣が重なり、色の面が密になる。

柱が二本、画面を三つに区切る。

奥には別の部屋が見え、そこにも人がいる。

床は白と黒の石が交互に並ぶ。

手前の床には、細かい草花が描かれる。

右の男の赤い衣の縁には、文字が刻まれる。

館の記録は、その文字を読める範囲だけ写している。

読めない部分は、点で示されている。

ジャック・コーヌの紋章を持つ童子(裏)
ベルナールト・ファン・オルレイ《ジャック・コーヌの紋章を持つ童子(裏)》1513年ごろ。板に油彩。表と同じ板の反対面である。番号は1952.5.47.b。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。ベルナールト・ファン・オルレイ《ジャック・コーヌの紋章を持つ童子(裏)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

こちらは、灰色一色に近い画面である。

壁の窪みの中に、裸の童子が立つ。

翼があり、片手を上げて紐を引く。

紐の先には、盾の形をした紋章が下がる。

紋章には青地に白の帯が入り、星が散る。

床は石で、丸い模様が二つ並ぶ。

彫刻を絵で真似た表現である。

色を抑え、影だけで立体を作っている。

表の色の多さと、裏の色の少なさが対をなす。

閉じたときに見える面は、静かに作られている。

デ・ホンデクーテル家の一員(表)
アントウェルペン、16世紀(おそらく)《デ・ホンデクーテル家の一員(表)》1543年。板に油彩。館の記録では、画面が縦24.5センチ、横18.8センチとされる。番号は1953.3.3.a。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。アントウェルペン、16世紀(おそらく)《デ・ホンデクーテル家の一員(表)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

小さな板である。手のひらに乗る大きさに近い。

黒い帽子をかぶった男が、半身で描かれる。

顔はやや左を向き、目だけがこちらを見る。

黒い上着の下に、白い襟が細く出る。

手には黄土色の物を持つ。手袋のようにも見える。

背景は暗い緑で、上のほうが明るい。

顔の陰影は細かく、頬と鼻の脇に光が入る。

作者の欄には、都市と世紀だけが書かれている。

しかも「おそらく」という語が頭に付く。

誰が描いたかは、二重に留保されている。

兜飾りのある紋章(裏)
アントウェルペン、16世紀(おそらく)《兜飾りのある紋章(裏)》1543年。板に油彩。表と同じ板の反対面で、寸法の欄も同じである。番号は1953.3.3.b。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。アントウェルペン、16世紀(おそらく)《兜飾りのある紋章(裏)》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

裏は、紋章だけの画面である。

中央に盾が置かれ、斜めの帯が入る。

上には兜と、羽根のような飾りが立つ。

左右には葉の飾りが広がる。

上下に、細長い帯が湾曲して置かれる。

その帯に文字が書かれている。

下の帯には、家の名と1543年という年が読める。

作者は分からないが、家の名と年は分かる。

裏の面が、表の人物を特定する手がかりを持っている。

表と裏を別々の番号にしても、二つは離せない。

数字の枝番は、横に並ぶ

もう一つの書き方に移る。

1960.6.30という番号の下に、1から4までの数字が付く。

十五世紀のポルトガルの板絵、四枚である。

これは表と裏ではない。横に並ぶ四枚だ。

もとは一つの大きな衝立の一部だったと考えられている。

寸法の欄を読むと、その構造が分かる。

まず全体として、縦222センチ、横286.6センチ。

そのうえで、板ごとの画面の寸法が四つ並ぶ。

聖ディオニシウスの画面が、縦151.5センチ、横54.5センチ。

聖セバスティアヌスが、縦151.3センチ、横54.7センチ。

四枚の数字が、一つの欄にまとめて書かれている。

そして四つの記録は、すべてこの同じ欄を共有する。

どの番号を開いても、四枚ぶんの数字が出てくる。

聖ディオニシウス
ポルトガル、15世紀《聖ディオニシウス》1475年から1500年ごろ。板に油彩。館の記録では、この板の画面が縦151.5センチ、横54.5センチとされる。番号は1960.6.30.1。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。ポルトガル、15世紀《聖ディオニシウス》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

細長い板の中に、人物が一人立つ。

深い赤の衣をまとい、頭に司教の帽をかぶる。

その足もとに、もう一人が跪く。

跪く人物は小さく、顔を上げて手を合わせる。

背後は暗く、上部に尖った枠が架かる。

枠の上には、装飾の帯が横に走る。

下部には、丸い窓のような形が並ぶ。

金の枠が板を囲み、四枚を通してつながる。

写真では、その枠ごと写されている。

聖セバスティアヌス
ポルトガル、15世紀《聖セバスティアヌス》1475年から1500年ごろ。板に油彩。館の記録では、この板の画面が縦151.3センチ、横54.7センチとされる。番号は1960.6.30.2。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。ポルトガル、15世紀《聖セバスティアヌス》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

こちらは、若い男が一人で立つ。

赤い上着と、赤い脚衣をまとう。

腰に帯を締め、手は体の前で組まれる。

矢を持つ姿では描かれていない。

背後は緑がかった暗い色で、床は石に見える。

上部の枠と下部の飾りは、隣の板と同じ形である。

四枚の枠は、同じ職人が一続きに作ったものだろう。

寸法を見ると、隣の板と二ミリしか違わない。

縦151.5センチと151.3センチである。

聖バルバラ
ポルトガル、15世紀《聖バルバラ》1475年から1500年ごろ。板に油彩。四つの番号は、同じ寸法の欄を共有している。番号は1960.6.30.3。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。ポルトガル、15世紀《聖バルバラ》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

三枚目には、女性が一人立つ。

金と赤の衣が、細かい文様で埋められる。

手には本を持ち、指で頁を押さえる。

頭には冠のような飾りが載る。

背後の壁は暗く、上に赤い帯が渡る。

衣の文様は、他の三枚より密である。

四枚のうち、いちばん装飾が多い板だ。

上の枠の形は、他の三枚とそろっている。

聖ラウレンティウス
ポルトガル、15世紀《聖ラウレンティウス》1475年から1500年ごろ。板に油彩。番号は1960.6.30.4。館の記録では、上の飾り縁の文字は二十世紀初めのものとされる。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。ポルトガル、15世紀《聖ラウレンティウス》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

四枚目の人物は、赤い衣に金の縁飾りを重ねる。

手には格子状の道具を持つ。

その道具が、この聖人を示す目印である。

顔は正面を向き、頭の後ろに光が回る。

背後の壁は緑がかり、上に文様の帯が入る。

四枚を並べると、赤の衣が三枚に出てくる。

色の配分が、意図的にそろえられている。