画家を知る

卓の上の、果物と硝子——ラファエル・ピール

青い背景の一枚

七点目は、色がある。

紳士の肖像
ラファエル・ピール《紳士の肖像》1800年ごろ。水彩、象牙。縦7.3センチ、横5.9センチ。メトロポリタン美術館蔵。グロリア・マニーの寄贈、2006年。ラファエル・ピール《紳士の肖像》メトロポリタン美術館蔵

楕円の画面である。

若い男性が、こちらを向く。

髪は、暗く、巻いている。

黒い上着に、白い襟巻き。

胸に、小さな釦が並ぶ。

背景は、淡い青。

枠が、写っていない

画像を見たい。

枠が写っていない。

つまり、額から外して撮影されている。

画面の全体

枠がなければ、画面の隅まで見える。

そして、象牙の形も分かる。

つまり、情報が増える。

外して、撮る

細密画を額から外すのは、手間がかかる。

そして、傷める恐れもある。

それでも外して撮れば、画面全体が見える。

縁の状態

画面の縁を見たい。

わずかに欠けている。

そして、象牙の地が見える。

つまり、外して撮ったから分かる。

背景の青

背景を見たい。

淡い青で、上が濃い。

そして、下へ行くほど淡くなる。

つまり、空の色である。

釦の並び

胸元を見たい。

小さな釦が、縦に並ぶ。

そして、光を受けて明るい。

つまり、金属だろう。

首元の黄色

襟巻きの下を見たい。

黄色い布が、わずかに見える。

つまり、下に着た衣である。

小さな色の点である。

紳士の肖像
ラファエル・ピール《紳士の肖像》1800年ごろ。水彩、象牙。縦6.7センチ、横5.3センチ。メトロポリタン美術館蔵。デール・T・ジョンソン基金による購入、2006年。ラファエル・ピール《紳士の肖像》メトロポリタン美術館蔵

七点目と、似た一枚

八点目は、七点目とよく似ている。

若い男性が、こちらを向く。

黒い上着に、白い襟巻き。

そして、淡い青の背景。

つまり、同じ形式である。

何が違うか

髪の色を見たい。

七点目は暗く、八点目は赤みがある。

つまり、髪で描き分けている。

二枚の寸法

寸法を比べたい。

七点目が7.3センチ掛ける5.9センチ。

八点目が6.7センチ掛ける5.3センチ。

つまり、七点目のほうがやや大きい。

顔の向き

顔の向きも見たい。

いずれも、わずかに斜めを向く。

そして、視線はこちらへ来る。

つまり、角度が揃っている。

型が、あるということ

同じ形式が繰り返される。

つまり、型がある。

そして、その型の中で顔だけが変わる。

型の中の差

もっとも、二枚は同じではない。

髪の色、顔の輪郭、そして目の形。

つまり、顔だけが変わる。

型の利点

型があれば、制作が速い。

そして、注文主も結果が予想できる。

つまり、商いとして成立する。

枠の色

八点目の枠を見たい。

金色で、幅が狭い。

そして、平らである。

つまり、簡素な形式である。

P・F・ロンボー
ラファエル・ピール《P・F・ロンボー》1821年。水彩、象牙。縦6.2センチ、横5.2センチ。メトロポリタン美術館蔵。グロリア・マニーの寄贈、2006年。この作品も、ほとんど色のない古い記録写真で公開されている。ラファエル・ピール《P・F・ロンボー》メトロポリタン美術館蔵

色のない、もう一枚

九点目も、灰色の階調だけである。

そして、円い覆いの中に絵がある。

上部に、吊るすための金具。

覆い越しに、撮る

細密画には、硝子の覆いが付くことが多い。

そして、その覆いごと撮影されている。

つまり、反射が写ることがある。

覆いの反射

画像の縁を見たい。

明るい弧が走る。

つまり、覆いの表面が光を反射している。

撮影の条件が、そのまま残っている。

一八二一年という年

制作年は、一八二一年である。

九点の中で、最も遅い。

そして、作者は四十七歳ごろになる。

晩年の一枚

作者は一八二五年に没している。

つまり、没年の四年前である。

六点の細密画

細密画の寸法を並べたい。

5.6センチから8.7センチ。

つまり、三センチほどの幅に収まる。

いずれも、手のひらに載る。

名が、記録される

題を見たい。

人名が入る。

つまり、誰かは分かっている。

九点の内訳

九点をまとめたい。

静物が三点、細密画が六点。

そして、静物は板、細密画は象牙である。

寸法の幅

寸法を並べたい。

最小が5.6センチ、最大が57.8センチ。

つまり、十倍の差がある。

二つの分野

静物と、肖像の細密画。

つまり、まったく違う分野である。

そして、同じ画家が両方を手がける。

共通する手つき

もっとも、共通するものもある。

果実の一粒、髪の一房。

いずれも、細部を省かない。

細部を、追う

静物では、木の実の数だけ筆を置く。

そして、細密画では、髪の線を一本ずつ描く。

つまり、同じ執着である。

制作年の分布

年代を並べたい。

一七九九年、一八〇〇年が二点。

一八〇〇年ごろが二点、一八〇五年ごろ。

そして、一八一四年、一六年、二一年、二二年。

前半と、後半

一八〇〇年前後に、細密画が集中する。

そして、一八一〇年代以後に、静物が集中する。

つまり、仕事が移っている。

なぜ、移ったか

理由は、記録にない。

細密画の需要が減ったのかもしれない。

あるいは、静物に関心が移ったのかもしれない。

だから、当サイトは断定しない。

分かるのは、年だけ

分かるのは、制作年の分布である。

そして、その分布が仕事の変化を示す。

理由は、絵の外にある。

色のない二点

画像についても、まとめたい。

九点のうち、二点が色のない記録写真である。

そして、七点は色のある写真である。

静物は、色がある

静物の三点は、いずれも色がある。

つまり、果実の色が読める。

橙、黄、赤、そして緑。

静物と、色

静物では、色が主題の一部である。

だから、色のない画像では成立しにくい。

三点とも色があるのは、幸いである。

見る順序

最後に、見方を提案したい。

まず、静物を離れて見てほしい。

品の配置と、明暗の流れが見える。

次に、近づいてほしい。

木の実の一つずつに、光の点がある。

そして、細密画も同じである。

離れて見て、近づいて見る。

その往復が、この画家の絵の楽しみである。

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