画家を知る

型で押して、量産する——ボストン・アンド・サンドウィッチ・ガラス

網目模様の皿

七点目は、型押しである。

皿
ボストン・アンド・サンドウィッチ・ガラス製造所《皿》1830〜50年。レース状の型押しガラス。直径23.2センチ。メトロポリタン美術館蔵。チャールズ・W・グリーン夫人の寄贈、故チャールズ・W・グリーン博士を記念して、1951年。この作品は、ほとんど色のない古い記録写真で公開されている。ボストン・アンド・サンドウィッチ・ガラス社《》メトロポリタン美術館蔵

八角形の皿である。

中央に、円い区画がある。

そして、その中に花の模様。

周囲に、渦と葉の模様が並ぶ。

縁は、細かい波形である。

背景全体に、細かい粒の模様がある。

レース状という呼び名

技法欄を見たい。

レース状の型押しガラス、とある。

つまり、細かい粒の背景を持つ型押しである。

八角という形

皿の形を見たい。

八角形である。

そして、縁が波打つ。

つまり、円ではない。

型押しだから、こうした形も作れる。

粒の背景

背景の粒を見たい。

小さな点が、一面に並ぶ。

そして、光を細かく反射する。

つまり、白く曇って見える。

なぜ、粒を入れるか

型押しの初期には、表面に筋が出やすかった。

そして、粒の模様がそれを隠す。

つまり、技術上の工夫でもある。

もっとも、館の記録は理由を示さない。

中央の花

中央を見たい。

円い区画の中に、花の模様がある。

そして、放射状に広がる。

つまり、中心が決まっている。

模様の密度

模様を見たい。

余白がほとんどない。

そして、隅々まで埋まる。

つまり、密度が高い。

型を、彫る仕事

型押しの模様は、金属の型に彫られる。

つまり、彫る職人がいる。

そして、その型から何百枚も作られる。

直径二十三センチ

寸法を見たい。

直径23.2センチである。

つまり、九点の中で最も大きい皿である。

一枚の型から

同じ模様の皿が、多数存在する。

つまり、これは唯一の品ではない。

美術館にあるのは、そのうちの一枚である。

カップ・プレート
ボストン・アンド・サンドウィッチ・ガラス製造所《カップ・プレート》1832年。レース状の型押しガラス。直径8.9センチ。メトロポリタン美術館蔵。エミリー・ウィンスロップ・マイルズ夫人の寄贈、1946年。この作品も、ほとんど色のない古い記録写真で公開されている。ボストン・アンド・サンドウィッチ・ガラス社《カップ・プレート》メトロポリタン美術館蔵

小さな円い皿

八点目は、直径8.9センチである。

つまり、手のひらほどである。

中央に、鳥の姿がある。

周囲に、葉と渦の模様。

そして、縁が波形である。

カップ・プレートとは

題を見たい。

カップ・プレートとある。

つまり、茶碗を置くための小皿である。

縁の波形

縁を見たい。

細かい山形が、連なる。

そして、その数が多い。

つまり、型の彫りが細かい。

使い方

熱い茶を、受け皿に移して冷ます習慣があった。

そして、その間、茶碗を置く小皿が要る。

つまり、この皿の用途である。

暮らしの道具

美術館にあると、鑑賞の品に見える。

しかし、もとは日々の道具である。

そして、多数作られた。

周囲の模様

周囲を見たい。

葉と渦が、交互に並ぶ。

そして、外周にも別の模様がある。

つまり、三層の構成である。

中央の鳥

中央の模様を見たい。

翼を広げた鳥がいる。

そして、その周りに星のような形。

つまり、意匠として選ばれた図像である。

制作年が、確定する

制作年は、一八三二年である。

つまり、幅ではなく一年である。

型に年が入っていたのかもしれない。

もっとも、館の記録は根拠を示さない。

ミニチュアの皿
ボストン・アンド・サンドウィッチ・ガラス製造所《ミニチュアの皿》1835〜50年。レース状の型押しガラス。幅4.9センチ。メトロポリタン美術館蔵。エミリー・ウィンスロップ・マイルズ夫人の寄贈、1946年。この作品も、ほとんど色のない古い記録写真で公開されている。ボストン・アンド・サンドウィッチ・ガラス社《ミニチュアの皿》メトロポリタン美術館蔵

五センチの器

九点目は、きわめて小さい。

幅4.9センチである。

つまり、指先ほどの器である。

浅く、楕円形をしている。

縁が、細かい波形である。

ミニチュアという分類

題を見たい。

ミニチュアの皿とある。

つまり、小型に作られた品である。

何のために作るか

小さな器の用途は、いくつか考えられる。

子どもの玩具。

あるいは、見本。

または、飾りとしての品。

館の記録は、示していない。

小さくすると、どうなるか

模様を小さくすると、彫るのが難しくなる。

そして、硝子も型の隅まで届きにくい。

つまり、技術の限界に近づく。

型の縮小

型押しでは、型を作れば大きさは自由である。

つまり、小さな型を彫れば小さな器ができる。

そして、模様も縮小される。

縁の波形

縁を見たい。

細かい山形が、連なる。

そして、それが五センチの器にある。

つまり、型の彫りが細かい。

横から、撮る

九点目の撮り方を見たい。

真上からではなく、斜め横からである。

そして、器の深さが分かる。

つまり、形を示す撮り方である。

黒い背景

九点目の画像を見たい。

背景が黒い。

そして、器が白く浮かぶ。

つまり、他の八点とは撮り方が違う。

撮影の条件が、揃わない

九点の画像を並べると、背景が違う。

灰色、白、黒。

そして、色があるものとないもの。

つまり、撮影の時期がばらばらである。

九点の内訳

九点をまとめたい。

型押しが四点、吹きガラスが五点。

そして、色のある画像が四点、色のないものが五点。

二つの技法

型押しと吹きガラスを比べたい。

型押しは、同じ形を量産できる。

そして、吹きガラスは一点ずつ違う。

つまり、性格が正反対である。

年代の分布

年代を並べたい。

一八三〇年代から五〇年代が四点。

そして、一八八〇年代が四点。

さらに、一八五〇から七五年が一点。

つまり、二つの時期に分かれる。

前半と、後半

前半は、型押しの時期である。

そして、後半は吹きガラスの時期である。

つまり、作るものが変わっている。

なぜ、変わったか

型押しは、安価な量産品である。

そして、後には他の工場との競争が激しくなる。

だから、手のかかる装飾品へ移ったのかもしれない。

もっとも、館の記録は事情を示さない。

一人の寄贈者

来歴を見たい。

九点のうち七点が、同じ人物の寄贈である。

そして、年は一九四六年。

つまり、まとまった収集が館へ渡った。

硝子を、集める

硝子器だけを集める収集家がいる。

そして、その収集が館へ入る。

つまり、美術館の硝子の部門は、そうして作られた。

道具を、美術館で見る

最後に、この九点の性格に触れたい。

いずれも、日々の道具である。

花を挿し、水を注ぎ、茶碗を置く。

そして、多数作られた。

唯一でないものを、見る

絵画は、一点しかない。

しかし、これらは同じものが多数ある。

つまり、唯一性が価値ではない。

何を、見るか

では、何を見るのか。

型の彫りの細かさ。

糸を巻く手の速さ。

そして、色の作り方。

つまり、技術そのものである。

九点は、その記録である。

RELATEDあわせて読みたい

画家を知るの記事一覧