作品を知る

眠る人は、画面の中心にいる——トラヴェルシ・ホズマー・李公麟ほか九点

ペルシア語の二行詩(表)、眠る若者(裏)
リザー・イェ・アッバースィー《ペルシア語の二行詩(表)、眠る若者(裏)》十六世紀末から十七世紀初め。館の記録では、紙にインク、金、不透明水彩。画面は21×12.4センチ。番号は1944.494。クリーヴランド美術館蔵。リザー・イェ・アッバースィー《ペルシア語の二行詩(表)、眠る若者(裏)》クリーヴランド美術館蔵

縦長の一葉である。

画面は21×12.4センチある。

全体は31.6×20.4センチある。

表には、文字がある。

二行の詩が、斜めに並ぶ。

枠には、金と青の飾りがある。

裏に、絵がある。

地は淡い青緑である。

小さな花が、一面に散る。

上のほうに、細い枝が垂れる。

葉は柳のようである。

画面の中ほどに、人がいる。

人は横たわる。

体は丸められる。

膝が、胸のほうへ寄る。

衣は橙色である。

布は厚く、大きな襞になる。

頭には、布が巻かれる。

顔は伏せられる。

目は見えない。

腕は、体の下にある。

そばに、白い布の包みがある。

館の記録では、これは一枚ものの絵である。

物語を挿すための絵ではない。

館は、そう説明している。

こうした一枚絵は、詩の帖に貼られた。

愛や美について詠んだ詩の集まりである。

その主題は、しばしば神のことを指すという。

館の記録は、そこまで説明している。

つまり、この眠りにも意味がありうる。

ただし、特定の物語ではない。

誰が眠っているのかは、書かれていない。

名も、身分も分からない。

分かるのは、若い人だということだけである。

表の詩と、裏の絵は別のものである。

同じ紙の両面に、別々に作られた。

後から、一枚として仕立てられている。

書物に伏して、賢人が眠る

五点目は、摺物である。

書物に伏して眠る賢人
八島岳亭《書物に伏して眠る賢人》1820年ごろ。館の記録では、木版摺物・紙。20.8×18.6センチ。番号はJP1132。メトロポリタン美術館蔵。八島岳亭《書物に伏して眠る賢人》メトロポリタン美術館蔵

正方形に近い紙である。

20.8×18.6センチある。

周りに、赤い縁の模様がある。

縁は太く、細かい形が並ぶ。

画面の中は、屋外である。

左に、太い幹がある。

幹は斜めに伸びる。

枝には、葉がない。

上に、藁葺きの庇が見える。

右上に、四角い枠がある。

枠の中に、文字が並ぶ。

館の記録では、これは詩である。

画面の中央に、人がいる。

人は机に伏せる。

上半身が、机の上にある。

顔は横を向く。

目は閉じている。

髭が長い。

衣は白く、袖が広い。

机の上に、巻物がある。

巻物は開かれている。

その上に、腕が載る。

読みながら眠ったのだろう。

周りには、誰もいない。

摺物という形について、書いておきたい。

これは売るための版画ではない。

注文で作り、配るものである。

だから、紙も絵具もよい。

縁の細かい模様も、そのために刷られる。

詩が入るのも、この形の特徴である。

絵と詩が、同じ紙の上で並ぶ。

賢人は、中国の故事の人物だろう。

館の記録は、名までは書いていない。

書物に伏す姿は、繰り返し描かれた型である。

学ぶ人が、学びの途中で眠る。

その形が、笑いにも敬いにもなる。

母の腕の中で、赤子が眠る

六点目は、油彩である。

母と眠る赤子
アリス・パイク・バーニー《母と眠る赤子》1911年。館の記録では、油彩・カンヴァス。101.6×73.1センチ。スミソニアン・アメリカ美術館蔵。アリス・パイク・バーニー《母と眠る赤子》スミソニアン協会蔵

縦長の画面である。

101.6×73.1センチある。

背景は、暗い赤褐色である。

筆の跡が、粗く残る。

画面の中央に、女が座る。

女は正面を向く。

顔は面長である。

目は大きく、こちらを見る。

口は結ばれる。

髪は黒く、頭に沿う。

黒い上着を着る。

襟には、白い縁がある。

膝の上に、白い布がある。

布は厚く、広がる。

その上に、赤子がいる。

赤子は横たわる。

顔は上を向く。

目は閉じている。

口は開いている。

眠っている。

腕は、外へ投げ出される。

女の右手が、赤子の体を支える。

手前に、卓がある。

卓の上に、褐色の壺がある。

眠っているのは、赤子だけである。

母は、はっきりと目を開けている。

視線は、こちらへ向く。

赤子は、その反対に目を閉じる。

同じ画面に、開いた目と閉じた目が並ぶ。

筆の速さも、二人で違う。

背景と上着は、粗い筆で塗られる。

赤子の顔だけが、細かく描かれる。

布の白も、丁寧に置かれる。

明るいのは、その布と二つの顔である。

手前の壺は、暗い褐色である。

形は丸く、口が細い。

卓の上で、画面の下を押さえている。

三つのものが、縦に並ぶ構図である。

梅の枝で、鳥が眠る

七点目は、掛幅である。

梅樹に眠る鳥
ヤン・ギフン《梅樹に眠る鳥》1900年代初め。館の記録では、掛幅・絹本墨画。全体は103×112.4センチ。番号は1998.31。クリーヴランド美術館蔵。ヤン・ギフン《梅樹に眠る鳥》クリーヴランド美術館蔵

横長の画面である。

全体は103×112.4センチある。

絹の地は、薄い褐色である。

墨だけで描かれる。

色は使われない。

画面の右に、文字がある。

行は縦に並ぶ。

その下に、赤い印が二つある。

画面の左から、枝が伸びる。

枝は細く、折れ曲がる。

梅である。

小さな花が、点で置かれる。

その右に、竹の葉がある。

葉は細く、鋭い。

数枚だけ描かれる。

枝の途中に、鳥がいる。

鳥は小さい。

体は丸い。

羽は、墨の濃淡で示される。

頭は、下を向く。

嘴が、胸のほうへ埋まる。

目は見えない。

眠っている姿である。

館の記録では、この頭の向きに意味があるという。

時代の不安を表すとされる。

館は、そう説明している。

梅についても、記録がある。

梅は、文人の清らかさを表す木とされた。

ある詩から、その意味が広まったという。

竹と並べて描かれることも多い。

四つの草木を組にする型があった。

この一幅も、その型の中にある。

館の記録では、この画家は官に仕えた人である。

書でも知られていた。

当時の王も、その作を求めたという。

絵は、商いとしても成り立っていた。

鳥は、その画面の中でいちばん小さい。

小さいものに、意味が託されている。