眠る人は、画面の中心にいる——トラヴェルシ・ホズマー・李公麟ほか九点

縦長の一葉である。
画面は21×12.4センチある。
全体は31.6×20.4センチある。
表には、文字がある。
二行の詩が、斜めに並ぶ。
枠には、金と青の飾りがある。
裏に、絵がある。
地は淡い青緑である。
小さな花が、一面に散る。
上のほうに、細い枝が垂れる。
葉は柳のようである。
画面の中ほどに、人がいる。
人は横たわる。
体は丸められる。
膝が、胸のほうへ寄る。
衣は橙色である。
布は厚く、大きな襞になる。
頭には、布が巻かれる。
顔は伏せられる。
目は見えない。
腕は、体の下にある。
そばに、白い布の包みがある。
館の記録では、これは一枚ものの絵である。
物語を挿すための絵ではない。
館は、そう説明している。
こうした一枚絵は、詩の帖に貼られた。
愛や美について詠んだ詩の集まりである。
その主題は、しばしば神のことを指すという。
館の記録は、そこまで説明している。
つまり、この眠りにも意味がありうる。
ただし、特定の物語ではない。
誰が眠っているのかは、書かれていない。
名も、身分も分からない。
分かるのは、若い人だということだけである。
表の詩と、裏の絵は別のものである。
同じ紙の両面に、別々に作られた。
後から、一枚として仕立てられている。
書物に伏して、賢人が眠る
五点目は、摺物である。

正方形に近い紙である。
20.8×18.6センチある。
周りに、赤い縁の模様がある。
縁は太く、細かい形が並ぶ。
画面の中は、屋外である。
左に、太い幹がある。
幹は斜めに伸びる。
枝には、葉がない。
上に、藁葺きの庇が見える。
右上に、四角い枠がある。
枠の中に、文字が並ぶ。
館の記録では、これは詩である。
画面の中央に、人がいる。
人は机に伏せる。
上半身が、机の上にある。
顔は横を向く。
目は閉じている。
髭が長い。
衣は白く、袖が広い。
机の上に、巻物がある。
巻物は開かれている。
その上に、腕が載る。
読みながら眠ったのだろう。
周りには、誰もいない。
摺物という形について、書いておきたい。
これは売るための版画ではない。
注文で作り、配るものである。
だから、紙も絵具もよい。
縁の細かい模様も、そのために刷られる。
詩が入るのも、この形の特徴である。
絵と詩が、同じ紙の上で並ぶ。
賢人は、中国の故事の人物だろう。
館の記録は、名までは書いていない。
書物に伏す姿は、繰り返し描かれた型である。
学ぶ人が、学びの途中で眠る。
その形が、笑いにも敬いにもなる。
母の腕の中で、赤子が眠る
六点目は、油彩である。

縦長の画面である。
101.6×73.1センチある。
背景は、暗い赤褐色である。
筆の跡が、粗く残る。
画面の中央に、女が座る。
女は正面を向く。
顔は面長である。
目は大きく、こちらを見る。
口は結ばれる。
髪は黒く、頭に沿う。
黒い上着を着る。
襟には、白い縁がある。
膝の上に、白い布がある。
布は厚く、広がる。
その上に、赤子がいる。
赤子は横たわる。
顔は上を向く。
目は閉じている。
口は開いている。
眠っている。
腕は、外へ投げ出される。
女の右手が、赤子の体を支える。
手前に、卓がある。
卓の上に、褐色の壺がある。
眠っているのは、赤子だけである。
母は、はっきりと目を開けている。
視線は、こちらへ向く。
赤子は、その反対に目を閉じる。
同じ画面に、開いた目と閉じた目が並ぶ。
筆の速さも、二人で違う。
背景と上着は、粗い筆で塗られる。
赤子の顔だけが、細かく描かれる。
布の白も、丁寧に置かれる。
明るいのは、その布と二つの顔である。
手前の壺は、暗い褐色である。
形は丸く、口が細い。
卓の上で、画面の下を押さえている。
三つのものが、縦に並ぶ構図である。
梅の枝で、鳥が眠る
七点目は、掛幅である。

横長の画面である。
全体は103×112.4センチある。
絹の地は、薄い褐色である。
墨だけで描かれる。
色は使われない。
画面の右に、文字がある。
行は縦に並ぶ。
その下に、赤い印が二つある。
画面の左から、枝が伸びる。
枝は細く、折れ曲がる。
梅である。
小さな花が、点で置かれる。
その右に、竹の葉がある。
葉は細く、鋭い。
数枚だけ描かれる。
枝の途中に、鳥がいる。
鳥は小さい。
体は丸い。
羽は、墨の濃淡で示される。
頭は、下を向く。
嘴が、胸のほうへ埋まる。
目は見えない。
眠っている姿である。
館の記録では、この頭の向きに意味があるという。
時代の不安を表すとされる。
館は、そう説明している。
梅についても、記録がある。
梅は、文人の清らかさを表す木とされた。
ある詩から、その意味が広まったという。
竹と並べて描かれることも多い。
四つの草木を組にする型があった。
この一幅も、その型の中にある。
館の記録では、この画家は官に仕えた人である。
書でも知られていた。
当時の王も、その作を求めたという。
絵は、商いとしても成り立っていた。
鳥は、その画面の中でいちばん小さい。
小さいものに、意味が託されている。