画家を知る

大理石に似せた、硝子——チャリナー・テイラー社

紫と白が渦を巻く。色硝子を混ぜきらずに型へ流すと、石のような模様が出る。量産の技法でありながら、一点ずつ模様が違う。安く石を真似るという十九世紀の工夫を、九点でたどる。石を真似た他の例と並べると、その狙いがはっきりする。

紫の大理石模様のガラスの蓋物
チャリナー・テイラー社《紫の大理石模様のガラスの蓋物》メトロポリタン美術館蔵

大理石に、似せた硝子

一点の硝子から始めたい。

紫の大理石模様のガラスの蓋物
チャリナー・テイラー社《紫の大理石模様のガラスの蓋物》1870〜90年。型押しの紫の大理石模様ガラス。高さ21センチ、直径22.2センチ。メトロポリタン美術館蔵。エミリー・ウィンスロップ・マイルズ夫人の寄贈、1946年。この作品は、ほとんど色のない古い記録写真で公開されている。チャリナー・テイラー社《紫の大理石模様のガラスの蓋物》メトロポリタン美術館蔵

丸い脚の上に、鉢が乗る。

そして、その上に蓋がある。

蓋の頂きに、尖った摘み。

胴に、縦の筋が並ぶ。

表面に、渦を巻く模様がある。

渦を巻く模様

表面を見たい。

濃い部分と、淡い部分が混ざる。

そして、その境が渦を巻く。

つまり、大理石の模様に似る。

技法欄の名

技法欄を見たい。

紫の大理石模様のガラス、とある。

つまり、色と模様が名になっている。

どうやって、作るか

色の違う硝子を、混ぜきらずに使う。

そして、型に落として押す。

すると、混ざり残りが模様になる。

色の作り方

紫の硝子は、金属の成分で発色させる。

そして、白い硝子と混ぜる。

つまり、二種類を用意する。

混ぜきらない

普通は、色を均一にする。

一方、この硝子は混ぜきらない。

つまり、不均一が目的である。

偶然を、生かす

模様は、完全には制御できない。

そして、一点ずつ違う。

つまり、偶然が装飾になる。

型押しという技法

技法欄には、型押しとある。

つまり、溶けた硝子を型に落として押す。

そして、同じ形が何個でも作れる。

押し棒という道具

型の内側に入る棒がある。

そして、硝子を型の壁へ押しつける。

つまり、外側は型、内側は棒が形を決める。

量産と、偶然

形は同じでも、模様は違う。

つまり、量産と一点性が同居する。

大理石を、真似る

大理石は、高価な材料である。

そして、その模様を硝子で作る。

つまり、安く似せる技術である。

石を、真似る他の例

陶器で石を模す例もある。

そして、木目を描く塗りもある。

つまり、材料を似せる工夫は広い。

当サイトで、触れた主題

似せる技術については、繰り返し触れてきた。

磁器で大理石の彫刻を作る例もあった。

つまり、材料を似せる工夫は各所にある。

色のない画像

この一点の画像は、灰色の階調だけである。

つまり、古い記録写真とみられる。

だから、紫の色は分からない。

記録が、色を示す

もっとも、技法欄には紫とある。

つまり、記録が画像を補っている。

脚の形

足元を見たい。

円い台が、外へ広がる。

そして、そこにも模様がある。

つまり、全体が同じ硝子である。

蓋の摘み

蓋の頂きを見たい。

尖った形の摘みがある。

そして、面が切られている。

つまり、切子のような形である。

縦の筋

胴を見たい。

縦の筋が、いくつも並ぶ。

そして、光の当たり方が変わる。

つまり、型の彫りである。

大きさ

寸法を見たい。

高さ21センチ、直径22.2センチ。

つまり、卓に置く大きさである。

一九四六年の寄贈

来歴を見たい。

九点すべてが、同じ人物の寄贈である。

そして、年は一九四六年。

一人の収集

同じ人物の名が、九点すべてに並ぶ。

つまり、この分野を集めた収集家である。

そして、その収集が公共の収蔵になった。

紫の大理石模様のガラスの蓋物
チャリナー・テイラー社《紫の大理石模様のガラスの蓋物》1870〜90年。型押しの紫の大理石模様ガラス。高さ21センチ、直径22.2センチ。メトロポリタン美術館蔵。エミリー・ウィンスロップ・マイルズ夫人の寄贈、1946年。チャリナー・テイラー社《紫の大理石模様のガラスの蓋物》メトロポリタン美術館蔵

同じ品、違う写真

二点目は、一点目と同じ形である。

そして、寸法もまったく同じ。

つまり、対の品だろう。

同じ日に、撮らなかった

対の品が二点あっても、撮影は別である。

一方が新しく撮られ、他方は古いまま。

つまり、館の撮影は品ごとに進む。

一方は白黒、他方は色

もっとも、画像が違う。

一点目は色がなく、二点目は色がある。

つまり、撮影の時期が違う。

比べられる、貴重な例

同じ品の色付きと白黒が並ぶ。

これは、めったにないことである。

そして、何が失われるかが分かる。

蓋の色

蓋を見たい。

濃い紫と、淡い部分が混ざる。

そして、胴より暗い。

つまり、部分ごとに濃さが違う。

色が、示すもの

二点目を見たい。

紫と、白と、青みが混ざる。

そして、渦を巻く。

つまり、三色以上が混在する。

白黒では、分からないこと

一点目では、濃淡だけが見える。

そして、色の種類は分からない。

つまり、この硝子の要点が失われる。

記録の限界

技法欄には、紫とある。

しかし、白や青の混在は書かれない。

つまり、記録も完全ではない。

当サイトの扱い

白黒の一点目については、色を語らない。

そして、記録の「紫」だけを伝える。

つまり、見えないものは書かない。

二つを、合わせる

色のある二点目と、記録の紫。

そして、白黒の一点目。

つまり、三つを合わせて読む。

対で、作られる

蓋物は、対で作られることがある。

そして、卓の両端に置く。

つまり、左右対称に飾る。

花瓶
チャリナー・テイラー社《花瓶》1870〜90年。型押しの紫の大理石模様ガラス。高さ11.4センチ、直径8.6センチ。メトロポリタン美術館蔵。エミリー・ウィンスロップ・マイルズ夫人の寄贈、1946年。この作品も、ほとんど色のない古い記録写真で公開されている。チャリナー・テイラー社《花瓶》メトロポリタン美術館蔵

筒形の花瓶

三点目は、筒に近い形である。

上が広く、下がすぼまる。

そして、口の縁が波打つ。

胴に、四角い区画が並ぶ。

その中に、花の模様。

上の縁

口の近くを見たい。

模様のない帯がある。

そして、その下から区画が始まる。

つまり、枠が作られている。

区画の模様

胴を見たい。

縦の帯で、区画が分かれる。

そして、その中に細かい模様。

つまり、型の彫りが細かい。

二種類の模様

区画の中を見たい。

花の模様と、格子の模様がある。

そして、交互に並ぶ。

つまり、変化が付けられている。

小さな鉢

寸法を見たい。

高さ4.4センチ、直径10.2センチ。

つまり、九点の中で最も小さい。

縁の波

口の縁を見たい。

細かい山形が、連なる。

そして、その数が多い。

つまり、型の彫りが細かい。

花瓶という用途

題は、花瓶である。

つまり、花を挿す器である。

そして、口が広い。

小さめの品

寸法を見たい。

高さ11.4センチ、直径8.6センチ。

つまり、九点の中では小さいほうである。