花だけを、四十三年——ファンタン=ラトゥールの静物
白い布は、難しい主題である
白い布について、もう少し書いておきたい。
白は、絵具の中でもっとも扱いが難しい色である。
明るさの上限に近いため、それより明るい色を置けない。
だから白の中に段差を作るには、暗い側へ寄せるしかない。
灰、青灰、黄灰、桃灰。わずかに色を含んだ白を並べていく。
差が小さすぎれば平らな面になり、大きすぎれば汚れて見える。
つまり白い布は、明度の判断が最も精密に要求される主題である。
この画家が初期から白い布と白い器を選んだことは、
訓練としての意味を持っていたと考えられる。
同じ課題は、17世紀のオランダの画家も繰り返し扱った。
白い襞襟を描く技術については別のコラムで触れた。
材料も時代も違うが、扱っている問題は同じである。
果物を、皿に三つ置く

さらに小さい。縦19.7センチ、横25.7センチ。
白い皿に、桃が三つ置かれている。
一つは奥に立ち、二つは手前に並ぶ。
皮は黄から赤へ移り、表面に細かい産毛の質感がある。
卓は褐色の木で、木目が縦に走る。
背景は同じ褐色で、境目がほとんどない。
下辺に署名と年記がある。
支持体に注目してほしい。紙を画布に貼ったものである。
小品では、紙に描いて後から画布に貼ることがある。
つまりこれは、手軽な支持体で作られた小さな習作でもある。
器を選ぶという仕事
器についても書いておきたい。
公開分に現れる器は、白い磁器、褐色の陶器、ガラス、金属の壺である。
いずれも装飾の少ない、単純な形である。
つまり器は主張しない。花を支える台として選ばれている。
同時に、器の質感は明度の基準になる。
白い磁器なら、白の最も明るい点が器の縁に来る。
暗い陶器なら、器が影の側の基準になる。
つまり器の選択は、画面の明暗の設計と結びついている。
花瓶を替えるだけで、同じ花が別の絵になる。
花と果物を、同じ卓に置く

同じ1868年の、より大きな一点である。
ほぼ正方形の画面である。
中央に濃紺のガラス器があり、アスターの花が盛り上がっている。
白、桃色、紫、赤。細い花弁の花が密に重なる。
左には白い皿に葡萄。緑と赤紫の粒が混ざる。
右には洋梨が二つ、林檎が二つ。
卓の面は赤褐色で、光が斜めに差している。
背景は灰色。上部が明るく、下部が暗い。
花と果物を一つの画面に置く構成である。
花だけの絵より、色の対比が増える。
配置の工夫も見ておきたい。
器は中央からやや左に置かれ、果物は右に流れている。
つまり左右の重さが釣り合っていない。
そのぶん視線が右へ動き、卓の縁に沿って戻ってくる。
静物画では、この視線の循環が構成の要になる。
四角い画面の中で、目を回す道を作る作業である。
葡萄と、白い布

横長の画面である。
白い布の上に、浅い青白磁の器が置かれている。
器には葡萄が山盛りになっている。緑と黒紫の粒。
器の右には、房が卓の上に流れ出している。
さらに右手前に、赤いカーネーションが一輪、横たわっている。
背景は暗い緑褐色。上部は平らである。
白い布の襞が、器の下で影を作る。
この一点では、白い布が再び主要な要素になっている。
二十年前の食卓の絵と、課題が同じである。
葡萄の粒の描き方も見ておきたい。
一粒ずつ輪郭を描かず、明るい点と暗い面で示している。
粒の頂点に白い点を置き、下に影を落とす。
それだけで球体に見える。
近づけば点の集まりだが、離れれば葡萄になる。
こうした省略の技術は、筆の速い画家に共通している。
筆あとを残す描き方は別のコラムで扱った。
薔薇を、卓に直接置く

横長の小品である。
器はない。薔薇が卓の上に直接置かれている。
花は八輪ほど。桃色、淡黄、白、そして濃い赤が一輪。
葉は暗い緑で、茎が右へ伸びる。
卓は暗褐色。背景も同じ色で、境目がない。
右上に署名と年記がある。
器を省くと、花の塊だけが画面に残る。
支えるものがないため、花は宙に浮いたようにも見える。
背景と卓を同じ色にすることで、その効果が強まっている。
晩年の果物

1896年の作である。
白い皿に、桃が三つと葡萄の房が盛られている。
葡萄は皿から溢れ、卓の上に垂れている。
右手前にも桃が一つ、転がっている。
卓は褐色。背景は灰褐色で、平らである。
右上に署名と年記がある。
構成は1868年の桃の絵とよく似ている。
白い皿、褐色の卓、平らな背景。
三十年近く隔てて、同じ骨格が使われている。
版画の仕事も長く続けた
他の分野にも触れておきたい。
この画家は、石版画を数多く制作している。
主題は音楽と文学に由来するものが多い。
つまり静物画とはまったく別の系統の仕事を並行して続けた。
花の絵で生活を支え、版画で別の主題を追う。
二本立ての活動である。
当サイトの公開分には版画が含まれていないため、その側面は見えない。
公開作品の構成が画家像を左右する例として、覚えておきたい。