同じ図案が、青銅と鉄で作られる——ラファイエット侯の記念章
作者も年も題も同じ二件が、技法の欄と寸法だけで分かれる。青銅と鉄、直径は4.8センチと4.4センチ。記念章は複製される品である。裏面が公開されない理由も含めて読みたい。九件が、同じ一つの寄贈から来ている。

同じ図案が、二つの金属で作られる
記念章を九件、記録の欄で並べてみる。
そのうち二件は、作者も年も同じである。
そして、題も同じだ。
違うのは、技法の欄と寸法だけである。
一方は青銅、他方は鉄。
直径は4.8センチと4.4センチ。
四ミリ違う。
同じ図案を、二つの金属で作っている。
金属が違えば、縮み方が違う。
鋳るときの収縮率の差だろう。
つまり、同じ型から出ても寸法が変わる。
記念章は、複製される
記念章は、一点ものではない。
型を作り、そこから何十枚も打ち出す。
材料を変えれば、値段が変わる。
金や銀は高く、青銅は安く、鉄はさらに安い。
同じ図案で、いくつもの価格帯を用意する。
九件の技法の欄を並べると、その幅が見える。
青銅が四件、鉄が二件、金めっき銀が一件。
金めっき銅が一件。
そして、金属とだけ書かれた一件がある。
前の回の記事で、版画の複製について何度も書いてきた。
記念章も、同じ原理で作られる。

円い金属の板である。
地は褐色で、鈍く光る。
中央に、男性の横顔が浮き出る。
顔は右を向く。
髪は短く巻き、額が広い。
鼻がまっすぐで、顎が張る。
首もとに、高い襟が立つ。
上着の肩の線が、下辺で切れる。
顔のまわりに、文字が弧を描いて並ぶ。
左に数語、右に数語。
文字は縁に沿って、外向きに刻まれる。
下辺の縁近くに、小さな署名らしい文字がある。

前の一件と、図案が同じである。
同じ男性の横顔が、右を向く。
髪の巻き方も、襟の形も変わらない。
文字の配置も同じである。
違うのは、地の色だ。
こちらは暗い灰色で、褐色が混じる。
表面に、錆の斑が広がる。
浮彫の縁が、前の一件よりやや鈍い。
そして、上部に小さな穴が開いている。
紐を通すための穴だろう。
前の一件には、この穴がない。
穴と、吊り環
九件の写真を見ると、上部の作りに差がある。
穴が開いているものが一件。
金属の輪が付いているものが二件。
何も付いていないものが六件。
輪や穴があれば、身に着けられる。
なければ、手に持って見るか、飾るしかない。
館の記録は、この差を書かない。
技法の欄にも、寸法の欄にも出てこない。
写真を見なければ、分からない。
前の回の記事で、記録の欄が書かないことについて何度も書いてきた。
用途に関わる情報が、しばしば欄から落ちる。

暗い灰色の円い板である。
上部に、金属の輪が付く。
輪は太く、縦に立つ。
中央に、男性の横顔が浮き出る。
顔は左を向く。
前の二件とは、向きが逆である。
髪は短く、後頭部で盛り上がる。
首もとに、高い襟が見える。
顔の左右に、四桁の数字が刻まれる。
左が古い年、右が新しい年である。
数字は縁に沿って、縦に並ぶ。
地の表面には、細かい傷が散る。
同じ人物を、別の人が彫る
いま見た一件と、次の一件は主題が同じである。
同じ人物の横顔で、左右に年が並ぶ。
年の欄も、どちらも1830年。
ところが、作者の欄の名が違う。
別の人が、それぞれ別の型を彫った。
同じ人物を記念する章が、同時に複数作られたのだろう。
館は、両方を収めている。
そして、寸法がまるで違う。
一方は直径4.8センチ、他方は2.7センチ。
倍近い差がある。
同じ主題でも、大きさは作り手の判断による。

小さな円い板である。
全体が明るい金色に輝く。
上部に、金色の輪が付く。
中央に、男性の横顔が浮き出る。
顔は左を向く。
髪は巻き、後ろで束ねられる。
肩に、房飾りの付いた肩章が見える。
軍服の姿だろう。
顔の左右に、四桁の数字が並ぶ。
左が古い年、右が新しい年である。
下辺の縁近くに、小さな文字がある。
九件でいちばん小さく、いちばん明るい一件だ。
作者の欄が、二人になる件
九件のうち三件は、作者の欄に二人の名がある。
役割は、どちらも作った人である。
区別が書かれていない。
なぜ二人なのか。
記念章には、表と裏がある。
表に肖像、裏に場面や文字を入れる。
その二つを、別々の人が彫ることがある。
だから、作者が二人になる。
館の記録は、そこまで書かない。
どちらが表でどちらが裏かも、書かれない。
前の回の記事で、役割の欄が仕事を示す例を何度も見た。
ここでは、役割が同じで区別がつかない。

褐色の円い板である。
中央に、男性の横顔が浮き出る。
顔は右を向く。
髪は後ろへ流れ、首筋で束ねられる。
束ねた髪が、下へ垂れる。
顎の下に、二重の輪郭がある。
胸から下は、衣の襞になる。
顔の左右に、文字が弧を描いて並ぶ。
左に短い語、右に長い語。
文字は太く、間隔が広い。
下辺の縁近くに、細い署名が入る。
浮彫は高く、輪郭に深い影が落ちる。
題が、人の名になる
九件の題を並べてみる。
そのうち六件は、人の名を含む。
ラファイエット侯が三件。
ワシントンが一件。ピアースが一件。
そして、ある艦長の名が一件。
残る三件は、題が記念章という一語だけである。
誰の、何のための章か、書かれていない。
写真を見れば、横顔が彫られているのは分かる。
しかし、誰かは分からない。
館は、分かるものだけを題に書く。
分からないものは、品名だけを置く。
前の回の記事で、題が説明になる例を何度か見た。
こちらは、題が短くなる方向である。
情報がなければ、題も短くなる。