画家を知る

同じ庭が、同じ題で二点ある——カミーユ・ピサロ

残る三点

港の船と、英国の草地と、自宅の庭。

つまり、主題が分かれる。

七点目

港の船である。

ルーアン港の蒸気船
カミーユ・ピサロ《ルーアン港の蒸気船》1896年。カンヴァスに油彩。館の記録では、縦45.7センチ、横54.6センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。ノイマーク氏の寄贈、1958年。カミーユ・ピサロ《ルーアン港の蒸気船》メトロポリタン美術館蔵

横長の画面である。

手前に、船の帆柱が立つ。

その右に、白い蒸気が上がる。

奥に、川と町が広がる。

空は、明るい灰色である。

条件が、ない

季節も天候も、書かれない。

つまり、四点の一つになる。

題に、時刻がない

船と、港の名だけである。

つまり、条件が入らない。

面積の差

最も大きい一点と比べたい。

つまり、半分ほどになる。

九点で、最も小さい

縦45.7センチ、横54.6センチ。

つまり、最も小さい一点になる。

二点の内訳

朝の眺めと、港の船。

つまり、同じ町を二度描いている。

五点目と、同じ年

いずれも1896年である。

つまり、同じ町の同じ年になる。

国が、変わる

英国での制作である。

つまり、旅先になる。

八点目

草地の眺めである。

ハンプトン・コートの草地
カミーユ・ピサロ《ハンプトン・コートの草地》1891年。カンヴァスに油彩。館の記録では、縦54.3センチ、横73センチとされる。額を含むと、縦76.2センチ、横95.2センチ、奥行き9.5センチになる。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。カミーユ・ピサロ《ハンプトン・コートの草地》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

横長の画面である。

手前に、広い草地が広がる。

中ほどに、人が数人立つ。

奥に、木立と赤い屋根がある。

空に、白い雲が浮かぶ。

草地という主題

広い芝と、遠い木立。

つまり、街ではない。

別の国

この地名は、英国にある。

つまり、外国での制作になる。

二点だけ

九点のうち、二点である。

つまり、少数になる。

別の館

この一点と九点目は、別の館にある。

つまり、記録の作法が違う。

三つの数字

縦、横、そして奥行き。

つまり、立体として測る。

額の寸法

寸法の欄に、二行目がある。

つまり、額を含む数字が書かれる。

館ごとの決まり

何を測るかは、館が決める。

つまり、揃わない。

七点までは、ない

同じ館の記録でなければ、書式も違う。

つまり、当然である。

最後の一点

九点目を見たい。

つまり、私的な場所になる。

九点目

画家自身の庭である。

エラニーの画家の庭
カミーユ・ピサロ《エラニーの画家の庭》1898年。カンヴァスに油彩。館の記録では、縦73.4センチ、横92.1センチとされる。額を含むと、縦94センチ、横113.4センチ、奥行き10.2センチになる。ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵。カミーユ・ピサロ《エラニーの画家の庭》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

横長の画面である。

手前に、耕された畝が並ぶ。

その奥に、花と木が茂る。

左に、家の屋根が見える。

右下に、人がかがむ。

自分の土地

住まいの庭を描いている。

つまり、旅先ではない。

題に、画家の庭

自分の庭だ、と書かれる。

つまり、私的な場所になる。

四点目の同じ布

チュイルリーの三点と、ほぼ同じである。

つまり、揃っている。

寸法が、近い

73.4センチ、92.1センチである。

つまり、初めの三点とほとんど同じになる。

数字を、並べる

73.7、73.3、73.3、73.4センチ。

つまり、四ミリの幅に収まる。

四点が、同じ大きさ

チュイルリーの三点と、この一点。

つまり、同じ規格の布らしい。

布は、買うもの

画材屋で売られる規格の布である。

もっとも、記録には書かれない。

別の館なのに

館が違っても、寸法は揃う。

つまり、布の規格が共通していた。

断定しない

館の記録に、規格の説明はない。

つまり、こちらでは決めない。

数えると

五点と、四点である。

つまり、ほぼ半々になる。

九点の題

時刻や天候が入るものが五点。

そして、入らないものが四点。

季節が、入るもの

冬が三点、春が一点である。

つまり、冬が多い。

五点の内訳

冬の午後が二点、春の朝が一点。

冬の朝が一点、そして朝と曇りが一点。

組み合わせ

季節と時刻が両方入るのは、四点である。

つまり、多数になる。

季節と、時刻

季節だけ、時刻だけ、そして両方。

つまり、組み合わせが分かれる。

描き分ける

同じ場所を、何度も描く。

つまり、区別が必要になる。

何のためか

同じ場所を、条件を変えて描くためである。

つまり、区別が要る。

題が、区別になる

条件が題に入れば、見分けられる。

つまり、実務の必要から来ている。

二点だけ

九点のうち、二点である。

つまり、例外になる。

それでも、重なる

二点は、条件まで同じである。

つまり、題では分けられない。

番号が、代わる

そのときは、収蔵番号で区別する。

つまり、機能が移る。

年の並び

1891、1896、1896、1897、1898、1898、1899、1899、1899年。

つまり、後半に集まる。

九点の年

1891年から1899年まで。

八年の幅

最も早い年と、最も遅い年の差である。

つまり、短い期間になる。

晩年の作

いずれも、画家の後半の作である。

もっとも、記録に生没年はない。

四つの土地

パリ、ルーアン、英国、そしてエラニー。

つまり、四か所になる。

場所の内訳

パリが四点、ルーアンが三点。

そして、英国と自宅の庭が一点ずつ。

都市が、多い

九点のうち、七点が街の眺めである。

つまり、都市の絵が多い。

高い位置

窓や、宿の上階からの眺めである。

つまり、視点が高い。

見下ろす眺め

そのうち五点が、上から見下ろす。

つまり、窓からの眺めになる。

宿と、窓

街を描くには、高い窓が要る。

もっとも、記録に説明はない。

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同じ画家については、都市と畑の、あいだに立つでも扱っている。

そちらでは、農村の絵を見た。

読み方の提案

題の中の季節と時刻を、見てほしい。

そこに、区別のための工夫がある。

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