名画の楽しみ方

番号が、二つの数字でできている——シカゴ美術館

年と通し番号。シカゴ美術館の作品番号は、数字が二つで足りる。ただし九点の番号は七通りの形をとる。文字の枝番、番号の範囲、そして年が最後に来る貸与の番号。番号の設計を、館ごとの違いから読みたい。紀元前の器と二十世紀の図面が、同じ形式で並ぶ。

ヴェネツィア、サン・マルコ聖堂の内部
デイヴィッド・ダルホフ・ニール《ヴェネツィア、サン・マルコ聖堂の内部》シカゴ美術館蔵

番号が、二つの数字でできている

1887.232。

シカゴ美術館の作品番号は、この形をとる。

点で区切られた数字が二つ。

前は受け入れた年、後はその年の何点目かである。

ここまでは、これまで見てきた館と似ている。

違うのは、数字が二つしかないことだ。

ワシントンの館では、年、受入の番号、作品の番号の三つだった。

シカゴでは、年と通し番号の二つで済ませる。

受入の単位を、番号に反映させない。

その分、番号は短くなる。

短い番号と、長い番号

番号を短くすると、読みやすくなる。

しかし、失われる情報もある。

三つの数字なら、同じ受入の作品がすぐ分かった。

二つの数字では、それが分からない。

1887.232と1887.233が同じ寄贈かどうか、番号からは読めない。

出所の行を見て、確かめるしかない。

どちらの作りにも、利点と欠点がある。

館ごとに、どちらを取るかが違う。

九点の番号を並べると、その設計が見えてくる。

ヴェネツィア、サン・マルコ聖堂の内部
デイヴィッド・ダルホフ・ニール《ヴェネツィア、サン・マルコ聖堂の内部》1869年。カンヴァスに油彩。館の記録では、縦184.2センチ、横148.9センチとされる。番号は1887.232。シカゴ美術館蔵。デイヴィッド・ダルホフ・ニール《ヴェネツィア、サン・マルコ聖堂の内部》シカゴ美術館蔵

九点でいちばん番号の古い一点である。

金色の重い額に収められている。

画面には、聖堂の内部が描かれる。

天井は高く、暗い。

奥に向かって、太い柱が並ぶ。

柱のあいだから、金色の壁が見える。

中央には、細長い燭台が横一列に並ぶ。

蝋燭の小さな火が、点になって続く。

その手前に、人物が数人立つ。

いずれも小さく、背中を見せる。

床には赤い布らしいものが敷かれる。

上部の丸天井には、金地の装飾が見える。

暗さの中に、金と火だけが光る。

枝番が、文字で付く

九点のうち三点は、番号の末尾に文字が付く。

1889.22a-b。

1959.398a-b。

1956.80a-b。

いずれも、aとbが並び、その間を短い線でつなぐ。

これは、二つの部分からなる一件を示す。

蓋のある器なら、本体と蓋。

対になる布なら、二枚で一組。

ワシントンの館では、枝番は点で区切られていた。

シカゴでは、点を使わず、文字を直接つなげる。

同じ考え方でも、記号の使い方が違う。

蓋物
クレイユ陶器製作所《蓋物》1810年から1820年。転写装飾のある陶器。館の記録では、全体が縦22.9センチ、横34.3センチとされる。番号は1959.398a-b。シカゴ美術館蔵。クレイユ陶器製作所《蓋物》シカゴ美術館蔵

白い陶の器である。

楕円の胴に、左右へ弧を描く把手が付く。

把手は細く、上へ大きく曲がる。

胴の中央には、円い枠が描かれる。

その中に、人物と動物の場面が入る。

線だけの図で、色は入っていない。

胴の上部と下部には、帯状の文様が回る。

葉と唐草を並べた文様である。

蓋は低く、中央に小さなつまみが付く。

つまみは、花のような形をしている。

蓋の縁にも、同じ帯の文様がある。

寸法の欄には、三つの数字が並ぶ。

全体と、蓋と、器の本体である。

寸法の欄が、部分ごとに書かれる

いま見た一点の寸法の欄には、三つの数字がある。

全体、蓋、そして本体。

枝番がaとbに分かれているのと、対応している。

aが本体、bが蓋だと考えられる。

寸法の欄が、番号の構造をそのまま写している。

四枚の板と、同じ作りである。

あちらは四つの寸法が一つの欄に並んでいた。

こちらは三つである。

番号と寸法の欄は、こうやって連動する。

部門の欄が、あわせて書かれる

シカゴ美術館の記録には、部門の欄がある。

その作品がどの部門に属するかを示す。

九点の部門を並べると、七つに分かれる。

アメリカの美術。ギリシア・ローマ・ビザンティンの美術。

ヨーロッパの応用美術。近代美術。

ヨーロッパの絵画と彫刻。建築とデザイン。そして染織。

一つの館の中に、これだけの分野がある。

そして、番号の体系は分野で分かれていない。

絵画も、土器も、布も、同じ形の番号を持つ。

年と通し番号で、すべてを通す。

分野で分けないほうが、管理は簡単になる。

分野は別の欄で示せばよい。

番号と部門の欄が、役割を分けている。

三つの番号を、線でつなぐ

九点のうち一点は、さらに変わった形をとる。

1891.77-79。

77から79までの三つの番号を、線でつないでいる。

つまり、三点で一件として扱われている。

内容を見ると、顔の型と、両手の型である。

顔が一つ、右手が一つ、左手が一つ。

三つで一組の作品だ。

文字の枝番ではなく、数字の範囲で示している。

同じ館の中で、二つの書き方が併用されている。

文字は部分を示し、数字の範囲は独立した点数を示す。

その使い分けは、記録には説明されていない。

リンカーンの手と顔の生き写し
レナード・ウェルズ・ヴォーク《リンカーンの手と顔の生き写し》。1860年に石膏で型を取り、1888年までに銅で鋳造された。館の記録では、顔の型が縦24.1センチ、横21センチとされる。番号は1891.77-79。シカゴ美術館蔵。レナード・ウェルズ・ヴォーク《リンカーンの手と顔の生き写し》シカゴ美術館蔵

三つの物が、並べて写されている。

中央に、人の顔の型がある。

目は閉じ、口は結ばれる。

頬はこけ、顎の骨が張る。

耳の形まで、はっきり残る。

その左右に、握った手の型が置かれる。

左は指を丸め、掌の中に何かを握るような形だ。

右は指がやや開き、関節が浮く。

いずれも銅で鋳られ、褐色に光る。

手首の断面が、切り口として見える。

寸法の欄には、三つの数字が並ぶ。

顔、右手、左手。

それぞれの縦横と、奥行きまで書かれる。

彫刻なので、三つ目の数字が要る。

平面と立体で、寸法の欄が変わる

九点のうち三点は、彫刻である。

彫刻の寸法の欄には、奥行きが加わる。

縦、横、そして奥行き。

平面の作品では、二つで足りる。

厚みが問題になるときだけ、三つ目が書かれる。

別の記事でも、板の厚みが書かれた例を見た。

物の性質によって、必要な数字の数が変わる。

記録の欄は、対象に合わせて伸び縮みする。

同じ形式に押し込めないのが、この種の記録の特徴だ。