野営の中心は、火である——ラインハート・ホーマー・バーナードほか九点
野営には部屋がなく、囲いもない。九点で数えると、火が描かれているのは三点で、その周りに人が円く集まっていた。天幕や覆いは四点。悔悛と特許の綴りで、二点が混じっている。寝る場所が描かれた画面は一点もない。

荷車が輪になり、火が焚かれている
一枚の大きな油彩に、野営がある。
全体で101.6×177.8センチ。
幅が高さの一.七倍ある。
九点のなかで、いちばん大きい。
画面の右に、白い幌を張った荷車がある。
幌は半円形で、布が張られている。
荷車は二台、三台と奥へ続く。
その左に、牛と馬が集まっている。
数えると、十数頭いる。
人は、地面に座るか、立っている。
中央のあたりで、火が焚かれている。
火のそばに、女性と子どもがいる。
一人は赤い上着で、鍋のようなものを扱う。
犬が一匹、手前にいる。
左のほうには、荷を下ろす人がいる。
空は、上のほうが暗い青である。
その下に、桃色と橙の帯が広がる。
日が沈んだ直後だろう。
館の記録の題によれば、これは西へ向かう人々の夕暮れの野営である。
そして題に、年が入っている。
制作は1867年、描かれた場面は1840年とされる。
つまり、二十七年前の場面を後から描いている。

野営は、一時的な場所である。
夜のあいだだけ、そこが居場所になる。
朝には畳まれ、何も残らない。
九点を並べて、その一時性を数えたい。
「天幕」の語が、二点を連れてきた
集めかたは、館の記録の題によっている。
陣、野営、天幕にあたる語が入るものを拾った。
英語の題では、野営と天幕を意味する語である。
九点のうち、野営や陣が描かれているのは六点だった。
残る三点は、語の一致による外れである。
そのうち二点は、英語の綴りの偶然である。
天幕を意味する四文字が、別の語の中に入っていた。
一点は、悔い改めを意味する語である。
もう一点は、特許を意味する語である。
どちらも、語の終わりに同じ四文字が来る。
前の回でも、同じ種類の一致が何度もあった。
広い、炭素、島、空、霧、井戸。
いずれも、別の語の中に探している語が入っていた。
野営は、火のまわりに作られる
野営の六点で、火を数えたい。
火が描かれているのは、三点である。
いずれも、地面に直接焚かれている。
竈も、炉もない。
一点目は、いま見た大きな油彩である。
二点目は、木口木版である。
館の記録に、寸法の欄はない。
画面の中央に、粗末な屋根がある。
木の枝を組み、上に葉を載せただけの覆いである。
その下に、長い板の卓がある。
卓を囲んで、人が十数人いる。
いずれも軍装らしい。
一人は立ち、腕を振り上げている。
右のほうでは、二人が向かい合って構えている。
手前には、火が焚かれている。
その上に、鍋が吊るされている。
左には、樽と箱が積まれる。
館の記録の題によれば、これは野営地での祝いの日である。
制作は1862年。
つまり、戦時のさなかである。

三点目は、水彩である。
館の記録に、寸法の欄はない。
画面の下のほうに、人が数人いる。
一人は赤い上着で、しゃがんでいる。
そのそばに、白い布を掛けた荷車がある。
驢馬らしい動物が、二頭つながれている。
左には、鍋を火にかけているらしい人影がある。
奥には、平らな土地が広がる。
右のほうに、風車が一つ立つ。
空は淡い桃色と灰色で、雲が広がる。
館の記録の題によれば、ある土地の移動する人々の野営である。
つまり、一時的な滞在の場面である。

天幕の並ぶ野営
天幕の描かれた二点を見たい。
一点目は、油彩である。
77.2×91.8センチ。
画面の左に、円錐形の住居が数基立つ。
細い柱を組み、覆いを掛けた形である。
上のほうで、柱の先が交差している。
その手前に、馬が十数頭いる。
馬に乗った人が、数人見える。
中央には、人が集まっている。
奥には、平らな台地の縁が横たわる。
空は淡い黄色である。
館の記録の題には、北アメリカの先住民の集団の名が入る。
館の記録に、記述の欄はない。
制作年も書かれていない。
分かるのは、題と技法と寸法だけである。

二点目は、素描の裏面である。
紙は32.1×22.4センチ。
この一点は、表と裏の両方が公開されている。
画像も、二つ並べて写されている。
表には、女性が一人描かれる。
青いドレスを着て、正面を向く。
顔は小さく、目と口が点で示される。
淡彩は青と茶が主である。
裏には、薄い線で野営が描かれる。
天幕らしい三角の形が、いくつか並ぶ。
線は数十本しかなく、輪郭だけである。
上のほうに、書き込みがある。
館の記録の題は、表と裏を並べて書いている。
青いドレスの女、そして戦時の野営風景。
一枚の紙に、まったく違う二つの主題がある。
