舟を、画室にする——シャルル=フランソワ・ドービニー
夕方の川

さらに横長である。縦24.4センチ、横44.1センチ。
画面の下半分は暗い水面である。
左に白い壁の家が二軒。赤い屋根と、細長い樹が立つ。
水際に小さな舟があり、人影が一つ見える。
右には低い樹叢が続き、水面に黒く映る。
空は雲で覆われ、中央だけに青い隙間がある。
雲は灰と暗褐色で、厚みがある。
つまり天気の悪い日の川である。
明るい部分は、雲の隙間と水面の照りだけである。
川という主題の意味
なぜ川なのか、という問いも立てておきたい。
19世紀のフランスでは、川は輸送路であり、労働の場だった。
石炭や木材を運ぶ平底の舟が往来し、岸では洗濯が行われる。
つまり川は、産業と生活が交差する場所である。
同時に、都市から出た人が休みに行く場所にもなっていた。
鉄道が伸び、川沿いに舟遊びの店が並ぶ。
この画家の絵には、その両方が現れている。
荷を積んだ舟と、洗濯をする人。
一方で、休日の風景を思わせる静かな水面もある。
つまり川の絵は、当時の社会の変化を映す主題だった。
後の印象派の画家たちも、同じ川を主題に選んでいる。
ただし彼らが描いたのは、余暇の川である。
労働の川から余暇の川へ。主題の重心が移っていく。
その変化のあいだに、この画家の仕事がある。
洗濯をする人々

こちらも極端に横長である。
画面の左半分は水面。静かで、対岸の樹が映っている。
右手前の岸に、人が数人集まっている。
白い布を広げ、水に浸している。洗濯の作業である。
その傍らに白い布が積まれ、地面に広がっている。
背後には低い土手と、樹の列。
空は淡い青灰で、雲が薄く流れる。
つまり労働の場面が、風景の中に組み込まれている。

同じ主題の別の一点である。
左に細い帆柱の舟が停まっている。荷を積んだ平底の舟である。
右の岸には、洗濯をする人々が七、八人。
白い布と、赤や青の衣が点として置かれている。
奥には土手が上がり、樹の塊が並ぶ。
空は灰色の雲で覆われ、上部が暗い。
水面はほとんど動きがなく、鏡のように見える。
つまり川は、労働と運搬の場でもあった。
風景画の中の労働については別のコラムでも扱った。
二点を並べると、同じ主題の反復が分かる。
洗濯の場面を、四年隔てて二度描いている。
構図も似ている。水面が左、人が右、奥に土手。
つまり売れる主題を繰り返していたと考えられる。
同じ画家が同じ構図を作り直す事情は、装飾画の回でも扱った。
その仕組みはこちらのコラムにまとめてある。
反射の描き方
水面の反射について、少し書いておきたい。
反射は、上の物をそのまま逆さに写すわけではない。
水面が波立てば、像は崩れて縦に伸びる。
静かなら、像はほぼ完全に映る。
この画家の絵では、反射がたいてい少し崩れている。
樹の像は縦に長く伸び、輪郭が曖昧になる。
つまり水面がわずかに動いている状態を描いている。
完全な鏡にしないことで、水が液体であることが示される。
細部の判断が、素材の質を決めている。
村を描いた一点

こちらは大きい。縦57.8センチ、横92.7センチ。
支持体も画布である。
集落が描かれている。石と漆喰の家が並び、屋根は暗い。
手前には水路があり、家の壁が映っている。
左の家の前に馬が一頭、荷車のそばに立つ。
樹は家の背後に固まり、暗い塊になっている。
空は狭い。画面の上端に、灰色の帯として見えるだけである。
つまりこれは水辺の絵でありながら、視点が高い。
岸の上から見下ろす構図である。
制作は1852年ごろ。舟の画室を持つ前の時期にあたる。
農場の絵

1855年の作である。
画面の左に大きな納屋が建っている。三角の屋根が黄土色に光る。
その手前に木の荷車が一台。車輪が大きい。
右へ低い建物が続き、白い壁と赤い屋根が並ぶ。
地面は褐色で、草がわずかに生える。
空は画面の上半分を占め、淡い青と白い雲である。
つまり空が広い。しかし水はない。
主題は農家の建物と、その前の空き地である。
初期には、こうした地上の主題も描いていたことになる。
花の咲く果樹

こちらは果樹園である。
中央に大きな林檎の樹が立ち、白い花が枝いっぱいに咲いている。
枝は左右に広がり、幹は太く傾いている。
奥にも花の咲いた樹が並び、白い塊が続く。
手前の草地には牛が二頭。赤褐色と白である。
空は淡い青で、雲が横に流れる。
花の白は、絵具を厚く置いて作られている。
近づくと粒の集まりに見え、離れると花に見える。