一つの部屋に、十五人——イーストマン・ジョンソン
何が高価だったか
物の価値も考えたい。厚いカーテン、模様のある敷物、額入りの絵。
いずれも、当時としては安くない品である。
つまり画面は、その家の経済状態を示している。
肖像は、人だけでなく持ち物を記録する。
二つの光
もう一点、光について補いたい。暖炉のある部屋では、火が第二の光源になる。
窓からの光は青白く、火の光は赤い。
二つの色の光が同じ場面に混じる。
その差を描き分けられるかどうかで、室内画の質が決まる。
見立て——室内は、暮らしの記録である
ここまでを整理したい。この画家の画面には、必ず部屋が写る。
カーテンの形、暖炉の作り、棚に並ぶ道具、床の敷物。
人物を描きながら、住まいが記録されている。
つまり肖像は、人の記録であると同時に、物の記録でもある。
何が描かれていないか
一方で、書いておきたいこともある。この画家は、南北戦争前後の作品で、
奴隷とされた人々や解放後の人々を主題にした作品を残したことが知られている。
しかし当サイトの公開分に、その系統は含まれていない。
つまり公開分だけを見ると、裕福な家庭の画家に見える。
公開作品の構成が画家像を作る点は、繰り返し確かめておきたい。
二十二点の内訳
公開分の構成を確かめておきたい。22点のうち、肖像が大半を占める。
室内の場面が数点、素描が数点である。
制作年は1851年から1891年までに及ぶ。四十年の幅がある。
つまり、活動期の全体が薄く含まれている。
暮らしへ——部屋ごと、写しておく
家でできることを書いておきたい。家族を撮るとき、部屋の全体を入れてみる。
顔が小さくなっても構わない。壁、家具、床、窓を画面に入れる。
十年後に見返すと、人より部屋のほうが変わっている。
ジョンソンの室内画が記録しているのは、その部分である。
群として見ると、材料が見える
最後に、見方をまとめておきたい。22点を支持体で分けてみる。
画布、アカデミーボード、厚紙、紙。四つの群になる。
そして、寸法と用途がそれに対応する。
公開画像は、そのための道具である。記録の材料欄を読む作業は、画面の上でできる。
そして、分けた結果は書き留めておきたい。材料の名前は、覚えにくい。
一行の記録が、次に見るときの足場になる。
室内画と、写真の関係
もう一点、同時代の技術にも触れておきたい。19世紀後半には、写真が普及していく。
家族の記録は、写真でも残せるようになる。
それでも油彩の集合肖像が注文されたのは、大きさと色があるからである。
壁に掛けて部屋の一部になる。写真には、その役目が果たせなかった。
写真と絵の役割分担については、
別のコラムで扱った。
描く順序と、時間
制作にかかる時間も考えたい。十五人の肖像を一枚に収めるには、
一人ずつ何度も座ってもらう必要がある。
記録によれば、この一点は二年にわたって制作されている。
つまり、描いているあいだにも人は変わる。子どもは育ち、装いも変わる。
完成した画面が示す「その瞬間」は、実際には存在しなかった時間である。
顔の似せ方
肖像の精度についても書いておきたい。この画家の顔は、造作が丁寧に描き分けられる。
年齢、骨格、皮膚の質感。個人差が読み取れる。
一方、別のコラムで扱った巡回画家の肖像では、
顔は型で描かれていた。
つまり、訓練の有無が顔の描写に現れる。
同じ「肖像」でも、内容は大きく違う。
白いものを、どう描くか
技法にも触れておきたい。室内画では、白い布がしばしば主役になる。
テーブルクロス、子どもの衣、カーテン。
白は塗るのではなく、影の色で作られる。灰色、青、黄土を置き、
最も明るい部分だけを白く残す。
白の作り方については、別のコラムでも扱った。
素描が、残っている理由
紙の作品についても補いたい。公開分には、木炭や黒鉛の肖像が含まれる。
これらは、油彩のための下絵である場合も、単独の作品である場合もある。
区別は、仕上げの度合いと、署名の有無で判断される。
つまり、記録と画面の両方を見る必要がある。
四十年の幅
年代についても整理したい。最も早い作は1851年、最も遅い作は1891年ごろである。
つまり四十年の幅がある。
その間に、アメリカは戦争と再建の時期を通過している。
しかし公開分の画面には、その痕跡がほとんど見えない。
何が描かれ、何が描かれなかったか。両方を見ておきたい。
記録として読む手順
最後に、読み方をまとめておきたい。まず、部屋の中の物を数える。
次に、それぞれの物が当時どれほどの価値だったかを考える。
そして、記録に書かれた制作年と照らす。
三つを並べれば、画面が示す暮らしの水準が読める。
肖像は、人の記録であると同時に、物の記録でもある。
群像の値段
最後に、注文の規模も考えたい。十五人の肖像は、一人の肖像より手間がかかる。
人数分の写生が要り、画面も大きくなる。
つまり、値段も高い。
集合肖像を注文できる家は限られる。
残された作品の構成は、注文できた層の構成でもある。
そして、数えた物は書き留めておきたい。室内の細部は、見るたびに違うものが目に入る。
一行の記録が、次に見るときの足場になる。
記録は、あとから読む自分のために残すものである。
細かく書く必要はない。日付と、気づいた一点だけでよい。
そして次に見るときは、その一行から始めればよい。
室内の物は数が多い。全部は書けないので、三つに絞るとよい。










