一つの部屋に、十五人——イーストマン・ジョンソン
肖像も、数多く描いている
主題の中心を確かめたい。

男の胸像である。縦67.9センチ、横56.2センチ。
顔は正面を向き、視線はこちらへ向く。
髪と髭は黒く、額が広い。黒い上着に、黒い蝶結びの首布。
背景は暗く、筆の跡が粗く残る。
左下に署名と年記らしき文字がある。
この一点の公開画像は白黒である。色は分からない。
同業者を描く
描かれた人物にも触れておきたい。題名の人物は、同時代の風景画家である。
つまり、画家が画家を描いている。
同業者の肖像は、記念や交友の記録でもある。
同じ構造は、別のコラムでも扱った。
小さな厚紙の肖像
寸法の幅を見たい。

小さい。縦26.7センチ、横22.2センチ。
男が椅子に座る。上体をやや右へ向け、左手を肘掛けに置く。
黒い上着、白い襟、黒い首布。口髭が濃い。
背景は暗く、筆の跡が渦を巻く。
つまり、簡略に仕上げられている。
大きな肖像のための習作だと考えられる。
習作と、完成作
制作の順序を考えたい。公的な人物の肖像では、まず小さな画面で顔を取る。
そのうえで、大きな画面に仕上げる。
つまりこの一点は、途中の記録である。
同じ手順は、別のコラムでも扱った。
子どもの全身像
大きな肖像も見ておきたい。

縦137.2センチ、横101.6センチ。子どもの肖像としては大きい。
少年が立つ。濃い色の上着に、白いレースの襟。
上着の前には、丸い留め具が二列に並ぶ。
右手を扉に当て、左手を腰に置く。足元は黒い靴と靴下である。
背後に大きな扉があり、木彫りの装飾が施される。
つまり、家の設えとともに描かれている。
子どもを、大きく描く
寸法の意味を考えたい。子どもを等身大近くで描くのは、費用のかかる注文である。
つまり、家の経済を示している。
同時に、扉や壁の装飾も記録される。
肖像が住まいの記録を兼ねる点は、この画家の作品に一貫している。
紙の肖像
材料の幅をもう一度見たい。

紙に描かれた肖像である。
女性が横向きに座る。髪を高く結い上げ、耳飾りが見える。
衣は襞の多い上着で、胸元にレースが重なる。
木炭で影を置き、白いチョークで明るい部分を作る。
紙の色は明褐色である。そのまま中間の明るさとして働く。
つまり、三色で立体が作られている。
二十年前の素描
もう一点、紙の作品を見たい。

1851年の作である。公開分では最も早い。
年配の男の頭部である。顔は左を向き、目は前方を見る。
頭に丸い帽子をかぶる。輪郭は細い線で描かれる。
首元に白い襟が見える。上着は暗く、簡略に示される。
下部に文字があり、名前らしきものが読める。
つまり、若い時期から同じ材料で肖像を描いていたことが分かる。
二十年で、何が変わったか
二点を比べたい。1851年の素描は、輪郭線がはっきりしている。
1871年ごろの素描は、面で捉えられている。線より、明暗の広がりが優先される。
つまり、線から面へ移っている。
ただし、材料はどちらも紙と乾いた画材である。
材料が同じでも、扱いは変わる。
白黒の画像が、多い
画像についても触れておきたい。公開分には、白黒の画像が複数含まれる。
肖像の三点は、いずれも白黒である。
つまり、色や絵具の質感が分からない。
古い記録写真がそのまま公開されている場合、この制約が残る。
画像の差は作品の差ではないという点は、
別のコラムでも扱った。
支持体の多様さ
材料を整理したい。公開分には、画布、アカデミーボード、厚紙、紙が含まれる。
そして技法は、油彩、パステル、木炭、黒鉛と幅がある。
つまり、目的ごとに材料を使い分けている。
大きな注文には画布、習作にはボードや紙、というように。
材料の記載を読むだけで、作品の位置づけが推測できる。
顔だけを、先に描く
制作の順序も考えたい。集合肖像では、全員を同時に座らせるのは難しい。
一人ずつ描き、あとで一つの画面にまとめる方法が使われる。
そのため、小さな習作が別に残ることがある。
工程を分ける方法については、別のコラムでも扱った。
家具が、年代を示す
細部からも読める。画面の家具は、当時の流行を示している。
椅子の形、卓の脚、カーテンの吊り方。いずれも時期によって変わる。
つまり、家具の様式が制作年の手がかりになる。
家具そのものについては、別のコラムで扱った。