墓の印は、七点とも石である——カナレット・ザルツマン・デ・ウェルヴェほか九点

墓から外された彫刻
九点のうち一点は、墓の部品である。
雪花石膏の像で、全体41.7×16.6×11.7センチ。
台の上に、人物が一人立つ。
頭からすっぽりと布をかぶっている。
顔は、布の陰でほとんど見えない。
両手を胸の前で合わせている。
指のあいだに、数珠らしいものがある。
衣は足もとまで長く、襞が深い。
石は白く、表面が磨かれている。
館の記述によれば、これはある公爵の墓にあった像である。
墓は、公爵が建てた修道院にあった。
そして、この種の像は台座に並べられた。
館の記述は、この一体が珍しいとも書く。
多くは低い浮き彫りだが、これは丸彫りである。
そのため、見る人や他の像と関わって見えるという。
館はさらに、材の性質にも触れている。
雪花石膏は柔らかく、細部を彫れる。
そして磨けば、乳白色の透明感が出る。
つまり、この像は墓から外されて館に来た。
前に扉や壁を扱った回でも、外された部品を見た。
墓も、外せる部分と外せない部分に分かれる。

墓が、風景の一部になる
九点のうち一点では、墓が風景の中にある。
銅版画で、館の記録に寸法の欄はない。
画面の左に、大きな石の記念物がある。
尖ったアーチと、細い柱が組まれている。
上には、彫刻らしい形が載る。
その右は、開けた土地である。
低い建物と、木と、水面が続く。
奥には、山の稜線が薄く見える。
手前には、崩れた石や草がある。
人が数人、小さく描かれる。
館の記録の題によれば、これは司教の墓である。
そして、景観の連作の一枚である。
同じ連作が、この回で四度目になる。

名前のなかの塚
語の外れは、一点である。
日本の版画で、全体36.9×25.2センチ。
画面には、二人の人物がいる。
いずれも役者の姿である。
一人は黒と赤の衣で、刀を構える。
もう一人は緑と青の衣で、長い柄の武器を持つ。
二人は、屋根の上で向かい合っている。
屋根瓦が、画面の下に並ぶ。
背景には、青い水と、低い山が見える。
上のほうに、二つの枠がある。
枠の中に、文字が書かれている。
館の記録の題によれば、これはある物語の登場人物である。
八人の勇士が出てくる物語だという。
その一人の姓に、塚の字が入っている。
つまり、人名で集まった一点である。
墓とは関係がない。
前の回でも、姓の綴りによる一致が何度かあった。
今回は、日本語の姓である。

墓の絵は、横長になる
判型を並べておきたい。
九点のうち、横長が五点、縦長が四点である。
横長になるのは、墓を風景のなかに置いた画面だった。
一族の墓地、古代の王の墓、司教の墓。
いずれも、周りの土地が広く描かれる。
そして、墓の並びが横に伸びる。
石碑は、たいてい横一列に並ぶ。
その並びを入れるには、幅が要る。
縦長になるのは、墓の一部を近くから見た画面である。
門の写真、町の墓の水彩、天使の素描。
いずれも、対象に近づいている。
近づけば、高さが問題になる。
門のアーチも、屋根の尖りも、上へ伸びる。
つまり、距離が判型を決めている。
これは、この連載で何度も出てきた対応である。
遠ければ横、近ければ縦。
例外は、使徒たちの素描だった。
紙は17.7×42.5センチで、幅が高さの二倍以上ある。
石の棺を囲む人々を、横一列に並べる必要があったからだろう。
人が多ければ、画面は横に伸びる。
数え直す
九点を並べ直したい。
墓や墓所が描かれているのは、七点。
そのうち、人が墓のそばにいるのは五点である。
墓の部品が単独で収蔵されているのが、一点。
墓が風景の一部になっているのが、一点。
そして、人名による一致が一点だった。
材で分けると、石が七点に描かれている。
木の墓標は、一点もない。
墓の石は、白い
九点で、石の色を見たい。
白い石が、四点。
灰色や黄土色の石が、三点である。
そして、彫刻の一点も白い石だった。
雪花石膏である。
白が多いのは、理由がありそうである。
一つは、材の性質だろう。
大理石や雪花石膏は、もともと白い。
そして磨けば、さらに白く見える。
もう一つは、画面の都合である。
墓は、たいてい暗い場所や緑のなかにある。
白ければ、そこだけが浮かび上がる。
一族の墓地の一点が、その例だった。
暗い緑の木の下に、白い石が七つ並ぶ。
その白さで、位置が一目で分かる。
前に雪を扱った回でも、同じ効果を見た。
白い面があると、残りが整理される。
墓石の白さも、同じ働きをしている。
そして白い石は、汚れが目立つ。
数百年経てば、黒ずむか、苔がつく。
写真の一点では、石が灰色に写っていた。
つまり、実際にはもう白くない。