作品を知る

幹は縦、葉は塊——ルグロ・ロイスダール・探幽ほか九点の森

森の中の集まり

森を舞台にした場面が、二点ある。

一点目は、横長の油彩である。

額なしで52×101.6センチ。

幅が高さの二倍ある。

画面は暗い。

上のほうは、木の葉で埋まっている。

中央に、人が十数人集まっている。

女性は明るい色の衣を着ている。

赤、白、黄が点として置かれる。

絵具は厚く、輪郭がない。

顔は、ほとんど描かれていない。

左のほうには、卓らしいものと人影がある。

館の記録の題は、森の中の祝宴という。

制作年の欄が変わっている。

1853年から57年頃、あるいは1862年頃、と書かれている。

二つの候補が、または、でつながれている。

九年の開きがある。

館は、どちらとも決めていない。

森の中の祝宴
アドルフ・モンティセリ《森の中の祝宴》1853〜57年頃、あるいは1862年頃。館の記録では、布に油彩。額なしで52×101.6センチ。番号は1954.832。クリーヴランド美術館蔵。アドルフ・モンティセリ《森の中の祝宴》クリーヴランド美術館蔵

二点目は、日本の屏風である。

六曲一双で、全体は161×339センチ。

九点のなかで、いちばん大きい。

紙に墨だけで描かれている。

右の一隻には、竹林がある。

細い竹が縦に何本も立つ。

その間に、人物が七人いる。

いずれも衣を着て、立つか座るかしている。

一人は書物らしいものを持つ。

左の一隻には、老人が四人いる。

背景には、木と岩がある。

館の記述によれば、右は中国の古い故事の七人である。

乱世を逃れ、竹林に隠れて語り合ったという。

左は、別の時代に山へ隠れた四人である。

館の記述はさらに、この画派が将軍に仕えたことも書く。

そして、隠者の主題が忠義の意味で用いられたと述べている。

森は、隠れる場所として描かれている。

竹林七賢・商山四皓
狩野探幽《竹林七賢・商山四皓》十七世紀。館の記録では、六曲一双の屏風。紙に墨。全体で161×339センチ。番号は1979.78。クリーヴランド美術館蔵。狩野探幽《竹林七賢・商山四皓》クリーヴランド美術館蔵

森の素描

九点のうち一点は、素描帖の一葉である。

紙は12.1×19.7センチ。

九点のなかで、いちばん小さい。

画面には、線がほとんどない。

上のほうに、細い縦線が数本ある。

木の幹らしい。

その下に、短い横線が散る。

さらに下は、白いままである。

黒鉛が薄く、画像ではほとんど読み取れない。

館の記録の題によれば、山と森の素描である。

この帖からは、これで五枚目を取り上げることになる。

の回でも見た。

同じ一冊が、五つの番号で公開されている。

一枚ずつに題が付き、寸法が同じである。

12.1×19.7センチという数字が、五回繰り返される。

帖の各葉は、同じ紙を切ったものだからだ。

山と森の素描(スケッチブックより)
アルバート・ビアスタット《山と森の素描(スケッチブックより)》1890年。館の記録では、網目紙に黒鉛。12.1×19.7センチ。番号は1995.379.4v表。メトロポリタン美術館蔵。アルバート・ビアスタット《山と森の素描(スケッチブックより)》メトロポリタン美術館蔵

「林檎」の二点

語の外れに移りたい。

一点目は、二十世紀の油彩である。

116.5×89.5センチ。

縦長の画面である。

画面の上のほうに、丸い卓がある。

卓は上から見た形で描かれ、真円に近い。

その上に、果実が並んでいる。

赤、黄、桃色の丸が、十個ほどある。

中央には、緑の葉らしいものがある。

卓の脚は、太い橙色の帯として下へ伸びる。

背景は、右が黄色、左が茶色である。

輪郭は太い線で描かれる。

館の記録の題は、果実の名である。

日本語にすると、林の字が入る。

森とは何の関係もない。

林檎
アンリ・マティス《林檎》1916年。館の記録では、油彩・カンヴァス。116.5×89.5センチ。番号は1948.563。シカゴ美術館蔵。アンリ・マティス《林檎》シカゴ美術館蔵

二点目は、陶器である。

全体で14×18.1センチ。

果実の形をした蓋付きの箱である。

四つの丸い果実が、寄り集まった形になっている。

表面は緑と赤で塗り分けられる。

赤い部分は、日に当たった側を示すのだろう。

上には、緑の葉が二枚と、茶色の茎が付く。

茎は輪になっていて、蓋の取っ手を兼ねる。

館の記録によれば、錫の釉をかけた陶器である。

その上に、色の絵付けがしてある。

工房の名が、作者として記録されている。

個人の名は書かれていない。

こちらも、題の日本語に林の字が入る。

林檎形の蓋付箱
ソー窯《林檎形の蓋付箱》1760年頃。館の記録では、錫釉の陶器に色絵。全体で14×18.1センチ。番号は1983.49。クリーヴランド美術館蔵。ソー窯《林檎形の蓋付箱》クリーヴランド美術館蔵

幹は、何本描かれているか

森の絵で、幹の本数を数えたい。

数えられたのは、五点である。

最初の銅版画では、太い幹が二本。

奥にも細い幹が何本かあるが、輪郭が溶けている。

森の中の場面では、太い幹が三本ほど数えられる。

外から見た二点では、木の塊が四つか五つある。

一本ずつは分けられない。

屏風では、竹が二十本以上数えられた。

竹は細く、一本ずつ描き分けられている。

つまり、木の種類によって数えられる本数が変わる。

太い木ほど、少なく描かれる。

細い木ほど、多く描かれる。

これは実際の森でも同じである。

大きな木は間隔が広く、細い木は密に生える。

絵は、その性質をそのまま写している。

数えられる本数は、二本から二十本まで幅がある。

二本でも森に見えるのは、上下が切れているからだ。

画面の外にも続いていると読める。

切らずに全体を描けば、二本では森にならない。

切り方が、森らしさを作っている。

数え直す

九点を並べ直したい。

森や木立が描かれているのは、七点。

そのうち、森の中に入った画面が四点。

外から見た画面が、三点である。

人が描かれているのは、五点。

そのうち、森を歩いている人がいるのは三点だった。

残る二点では、人は座るか、立ち止まっている。

そして、動物が描かれているのは二点。

鹿と、犬である。