画家を知る

彫刻の制作年は、二つある——J・Q・A・ウォード

犬という要素

細部をもう一つ見たい。狩人の像には、犬が添えられている。

犬がいることで、二つの体の動きが対比される。人は前傾し、犬は踏み止まる。

つまり犬は、物語の要素であると同時に、構図の要素でもある。

一体の像に二つの生き物を入れると、鑑賞者の視線が往復する。

型が、繰り返される

表象の型についても触れたい。裸に近い姿、短い刃、犬または馬。

これらの要素は、同種の像に繰り返し現れる。

つまり、個人ではなく類型が造形されている。

記録という言葉の危うさは、
別のコラムで扱った。

彫刻でも、同じ問題が起きる。

縮小して、家に置く

寸法にも注目したい。この像は高さ41センチである。

一方、同じ主題で公共の場所に置かれた大型の像も存在する。

つまり、大きな像を縮小した版が、家庭向けに作られた。

大画面の縮小版については、別のコラムで扱った。

彫刻でも、同じ商売の形がある。

馬だけの習作

制作の過程を示す一点を見たい。

ジョージ・ヘンリー・トマス少将像のための馬の習作
ジョン・クインシー・アダムス・ウォード《ジョージ・ヘンリー・トマス少将像のための馬の習作》1879年、1910年以降鋳造。ブロンズ。高さ50.8センチ、幅45.7センチ、奥行12.7センチ。メトロポリタン美術館蔵。ジョン・クインシー・アダムス・ウォード《ジョージ・ヘンリー・トマス少将像のための馬の習作》メトロポリタン美術館蔵

馬が一頭、立っている。首をわずかに右へ向け、四肢で地面を踏む。

たてがみと尾は簡略に作られ、筋肉の起伏が強調される。

騎手はいない。台座も、地面を示す簡単な起伏だけである。

つまり、騎馬像を作るための、馬の部分の習作である。

奥行が12.7センチしかない。ほとんど薄い板のような形である。

騎馬像は、難しい

制作の課題にも触れておきたい。騎馬像では、馬と人の両方を作る必要がある。

そして、四本の脚で全体の重量を支えなければならない。

構造の問題があるため、脚の位置や胴の傾きを何度も試すことになる。

この習作は、その検討の記録である。

素描も残っている

紙の記録も見たい。

記念碑のための習作(画帖より)
ジョン・クインシー・アダムス・ウォード《記念碑のための習作(画帖より)》1860年ごろ。紙に黒鉛。縦22.4センチ、横15.2センチ。メトロポリタン美術館蔵。ジョン・クインシー・アダムス・ウォード《記念碑のための習作(画帖より)》メトロポリタン美術館蔵

薄い鉛筆の線で、人物の群が描かれている。

中央に立つ人物、その周囲にかがむ人物。輪郭だけで、顔は描かれない。

線は速く、何度も重ねられている。形を探している段階である。

つまり彫刻家も、まず紙の上で考えている。

原型は、どこへ行くのか

原型の行方についても書いておきたい。粘土の原型は、型を取ったあとに壊れることが多い。

石膏の原型は残ることがあり、彫刻家の工房や美術館に収蔵される場合もある。

しかし、金属の像ほど丁寧に扱われるとは限らない。

つまり制作の中心にあった物が、最も残りにくい。

同じ問題は、別のコラムでも扱った。

三つの段階

制作の順序を整理したい。第一に、紙の素描で構想する。

第二に、粘土や石膏で原型を作る。

第三に、金属に鋳造する。

公開分には、この三段階のうち第一と第三が残っている。

原型そのものは、多くの場合、残らない。

肖像彫刻という仕事

主題の幅も見ておきたい。

ジョージ・ワシントン
ジョン・クインシー・アダムス・ウォード《ジョージ・ワシントン》1882年、1911年ごろ鋳造。ブロンズ。高さ60.3センチ、幅31.4センチ、奥行25.4センチ。メトロポリタン美術館蔵。ジョン・クインシー・アダムス・ウォード《ジョージ・ワシントン》メトロポリタン美術館蔵

立像である。高さ60.3センチ。

人物は前を向き、右手を前方へ差し出す。左手は体の脇に垂れる。

外套が背中から流れ、脚の後ろへ広がる。

服装は18世紀の型である。上着、膝丈のズボン、留め具の付いた靴。

つまり、百年前の人物を、当時の装いで再現している。

差し出された手

姿勢についても見ておきたい。この像は、右手を前方へ差し出している。

演説や指揮を示す型である。同時代の記念像に繰り返し現れる。

つまり姿勢そのものが、公的な役割を示す記号になっている。

姿勢を型として借りる方法は、
別のコラムでも扱った。

絵でも彫刻でも、同じ型が流通している。

公共の像の、縮小版

この像についても、寸法を考えたい。高さ60.3センチは、室内用の大きさである。

同じ像には、公共の場所に設置された大型のものがある。

つまり、これも縮小版である。

大きな像を実際に見た人が、小さな像を家に置く。記念品としての機能を持つ。

文学者の像

もう一点、立像を見たい。

ウィリアム・シェイクスピア
ジョン・クインシー・アダムス・ウォード《ウィリアム・シェイクスピア》1870年、1910年以降鋳造。ブロンズ。高さ71.1センチ、幅27.9センチ、奥行27.9センチ。メトロポリタン美術館蔵。ジョン・クインシー・アダムス・ウォード《ウィリアム・シェイクスピア》メトロポリタン美術館蔵

高さ71.1センチ。公開分の彫刻では最も高い。

人物は右脚に体重を掛け、左脚を前へ出す。上体をわずかにひねる。

右手を胸に当て、左手で外套を押さえる。

膨らんだ半ズボンと、首元の襞襟。16世紀から17世紀の装いである。

この一点の公開画像は白黒である。他の像はカラーで公開されている。

画像の条件が、揃っていない

画像について触れておきたい。公開分の彫刻には、カラーの画像と白黒の画像が混在する。

白黒では、緑青の色が分からない。表面の質感も読みにくい。

つまり、比べられる情報に差がある。

画像の差は作品の差ではないという点は、
別のコラムでも扱った。