画家を知る

叢書の名が、一枚にしかない——歌川広重の東海道

同じ道の宿場を描いた九枚のうち、叢書の名が題に入るのは一枚だけである。残る八枚は、宿場の名だけで登録されている。仲間の一枚かどうかは、題からは読めない。寸法の書き方も三通りに分かれる。記録の側から、五十三の宿場を眺めたい。

三島
歌川広重《三島》メトロポリタン美術館蔵

五十三の宿場

江戸から京へ至る道には、五十三の宿場がある。

そして、それを一枚ずつ描いた叢書がある。

この記事では、そのうち九枚を並べる。

叢書の名が、一枚にしかない

一枚から始めたい。

三島
歌川広重《三島》1840年ごろ。木版、墨と色、紙。館の記録では、全体で縦22.2センチ、横34.9センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。フランシス・ラスロップ・コレクション、フレデリック・C・ヒューイット基金による購入、1911年。歌川広重《三島》メトロポリタン美術館蔵

横長の画面である。

左に、二階建ての建物がある。

その縁側に、人が座る。

中央に、大きな杉の木が立つ。

右手前に、青い鳥居がある。

道を、人が行き交う。

右上に、赤い枠の題箋がある。

番号の範囲

題箋の番号は、十三から二十二あたりに並ぶ。

つまり、道の中ほどである。

選び方

番号の近い九枚を選んだ。

つまり、道の順に並ぶ。

九枚という範囲

この記事で扱うのは九枚である。

いずれも、同じ叢書の版画である。

そして、いずれも同じ館にある。

つまり、比べやすい。

題箋の中

赤い枠に、文字が入る。

そして、叢書の名と番号だろう。

枠の形

枠は、縦長の長方形である。

そして、上端に近い。

赤という色

題箋は、赤い枠である。

そして、画面の中で目を引く。

題箋の位置

題箋は、九枚とも右上にある。

つまり、体裁が揃う。

番号という情報

宿場には、順番がある。

つまり、番号が位置を示す。

漢数字という表記

十三、十四、十五と続く。

つまり、順に増える。

番号の読み方

題箋の下に、漢数字が入る。

つまり、何番目かが分かる。

五十三という数

この道の宿場は、五十三ある。

つまり、番号は五十三まで続く。

館の題

館の題を見たい。

宿場の名だけである。

読み方という問題

地名の読みは、土地で決まる。

つまり、綴りだけでは決められない。

名の短さ

宿場の名は、二文字か三文字である。

つまり、短い。

地名という題

地名があれば、場所が分かる。

つまり、実用の情報である。

宿場の名

三島、沼津、吉原、蒲原。

つまり、地名がそのまま題になる。

叢書の名が、ない

この記事で扱う九枚のうち、八枚の題は宿場の名だけである。

括弧つきの通称

その一枚には、括弧つきの通称も入る。

つまり、二重に詳しい。

一枚だけ、叢書名がある

八枚目の題にだけ、叢書の名が入る。

つまり、九分の一である。

同じ条件

同じ収集、同じ基金、同じ年。

つまり、条件は揃っている。

揃わない記録

同じ叢書、同じ購入、同じ年である。

そして、題の詳しさだけが違う。

なぜ、違うか

登録の時期が違うのだろう。

もっとも、館の記録は説明しない。

だから、当サイトは断定しない。

読む人のために

揃わないことを書けば、確かめられる。

つまり、伝える価値がある。

直さずに、記す

当サイトは、記録を書き換えない。

そして、揃わないことを書く。

一枚目の場所

題は、道の十三番目の宿場である。

そして、番号が題箋に入る。

一枚目の年

年の欄を見たい。

1840年ごろである。

つまり、幅がない。

寸法が、同じ

九枚とも、縦22.2センチ、横34.9センチ。

つまり、完全に一致する。

横大判という判型

横に長い判型である。

つまり、景色を入れやすい。

同じ判型

同じ叢書なら、判型が揃う。

つまり、当然のことである。

二か所

インチとセンチの両方で、空きがない。

つまり、同じ揺れが二度ある。

寸法の書き方

数字と単位のあいだに、空きがない。

つまり、入力の揺れだろう。

一枚目の姿

左に建物、中央に杉、右に鳥居。

つまり、三つの要素で構成される。

九枚に、同じ揺れ

九枚とも、同じ書き方である。

つまり、まとめて入力されたのだろう。

鳥居の色

鳥居は、青い。

そして、太い。

二枚目は、富士

沼津
歌川広重《沼津》1840年ごろ。木版、墨と色、紙。館の記録では、全体で縦22.2センチ、横34.9センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。フランシス・ラスロップ・コレクション、フレデリック・C・ヒューイット基金による購入、1911年。歌川広重《沼津》メトロポリタン美術館蔵

奥に、雪をかぶった山がそびえる。

その右に、低い山並みが続く。

手前は、広い平地である。

そして、細い水路が横に走る。

草が、黄と桃色で摺られる。

空は、上が灰色、下が黄色である。

平地の広さ

手前は、広い平地である。

そして、遠くまで見える。

空の摺り

空の色が、上から下へ移る。

つまり、ぼかしの技法である。

二枚目の色

草が、黄と桃色で摺られる。

そして、山は灰色である。

ぼかしという技法

版木に絵の具を置き、布で伸ばす。

そして、濃淡を作る。

一枚ずつ、違う

同じ版でも、摺りで色が変わる。

つまり、個体差がある。

手の仕事

ぼかしは、摺る人の腕による。

つまり、一枚ずつ違う。

三枚目の松

中央の松は、幹が太い。

そして、枝が横へ長く伸びる。

山という主題

九枚のうち、五枚に山が入る。

つまり、繰り返し描かれる。

三枚目は、松

吉原
歌川広重《吉原》1840年ごろ。木版、墨と色、紙。館の記録では、全体で縦22.2センチ、横34.9センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。フランシス・ラスロップ・コレクション、フレデリック・C・ヒューイット基金による購入、1911年。歌川広重《吉原》メトロポリタン美術館蔵

中央に、大きな松が立つ。

枝が、左右へ広がる。

右に、旅の一行がいる。

馬に乗る人と、荷を担ぐ人がいる。

左奥に、雪の山が見える。

手前は、緑の田である。

一行の人数

右の一行は、六人ほどである。

そして、笠をかぶる。

旅という主題

道を行く人が、画面に入る。

つまり、旅の風景である。

三枚目の田

手前は、緑と黄の田である。

そして、小さな山が積まれる。

荷と、馬

馬の背に、荷が積まれる。

そして、人が引く。