画家を知る

店の名が、題になる——歌川広重

江戸の料理屋を描いた九枚である。右上に同じ形の題箋があり、同じ叢書に見える。ところが館の記録で叢書の名が入るのは二枚だけで、錦絵という語が付くのも同じ二枚である。店の内と外、庭と通り。判型と記録の両面から見たい。

木母寺の植木屋
歌川広重《木母寺の植木屋》メトロポリタン美術館蔵

料理屋を、描く

江戸の料理屋を描いた版画が、まとまって残る。

そして、題に店の名が入る。

つまり、店そのものが主題である。

店の名が、題になる

一枚から始めたい。

木母寺の植木屋
歌川広重《木母寺の植木屋》1835年から1842年ごろ。木版、墨と色、紙。館の記録では、縦23.8センチ、横36センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1919年。歌川広重《木母寺の植木屋》メトロポリタン美術館蔵

横長の画面である。

雪が積もっている。

右に、板塀と建物がある。

そして、その前に人が立つ。

左に、細い水路が流れる。

小舟が、岸に着く。

橋が、奥へ渡る。

木々の枝に、雪が載る。

選び方

同じ叢書に見える九枚を選んだ。

つまり、比べる条件を揃えた。

九枚という範囲

この記事で扱うのは九枚である。

いずれも、料理屋を描いた版画である。

そして、いずれも同じ館にある。

つまり、比べやすい。

題を、見たい

題に、店の名が入る。

つまり、料理屋の名である。

二つの名

店の名と、場所の名。

つまり、二つが並ぶ。

場所の名も、入る

そして、寺の名も入る。

つまり、どこの店かが分かる。

一枚目の季節

雪が積もる。

つまり、冬の場面である。

雪の描き方

屋根と枝に、白い雪が載る。

そして、輪郭が丸くなる。

摺らないという技

色を置かない部分が、白になる。

つまり、余白が形になる。

白の作り方

雪の白は、紙の地である。

つまり、色を摺らない部分である。

右上の題箋

画面の右上に、赤い枠がある。

そして、その中に文字が入る。

枠の中の文字

枠の中に、細い文字が並ぶ。

もっとも、画像では読み切れない。

扇という形

扇の形の枠は、装飾でもある。

そして、画面の隅に収まる。

左上にも、枠

左上に、扇の形の枠がある。

そして、そこにも文字がある。

位置の意味

枠は、絵の邪魔にならない隅にある。

つまり、配慮がある。

枠の色

右上は赤、左上は緑と白である。

つまり、色で分けている。

二つの枠

一方に叢書の名、他方に店の名だろう。

もっとも、館の記録は枠を説明しない。

だから、当サイトは断定しない。

揃いの価値

揃っていれば、比べられる。

つまり、まとまりに意味がある。

叢書という単位

同じ体裁で、続けて出す。

つまり、集める人を想定している。

同じ位置

枠の位置も、九枚で同じである。

つまり、叢書としての体裁が揃う。

九枚に、同じ枠

この記事で扱う九枚に、同じ形の枠がある。

つまり、同じ叢書だろう。

題の作られ方

版画の枠に書かれた文字が、題になる。

つまり、絵の側の言葉である。

七枚の題

七枚の題には、店と場所の名だけがある。

つまり、叢書の名が入らない。

記録は、二枚だけ

館の記録で叢書の名が入るのは、二枚である。

そして、七枚には入らない。

揃えないという判断

館は、記録を後から揃えないことがある。

つまり、元の登録を残す。

読む人のために

記録が揃わなければ、探しにくい。

つまり、揃うことに意味がある。

揃わない記録

同じ叢書に見えて、記録が揃わない。

つまり、登録の時期が違うのだろう。

直さずに、伝える

当サイトは、記録を書き換えない。

そして、揃わないことを書く。

七年の幅

1835年から1842年まで。

つまり、七年である。

一枚目の年

年の欄を見たい。

1835年から1842年ごろとある。

つまり、七年の幅がある。

二枚目は、行列

新吉原衣紋坂日本堤の播磨屋
歌川広重《新吉原衣紋坂日本堤の播磨屋》1835年から1842年ごろ。木版、墨と色、紙。館の記録では、縦24.4センチ、横37.5センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1919年。歌川広重《新吉原衣紋坂日本堤の播磨屋》メトロポリタン美術館蔵

道が、右から左へ延びる。

多くの人が、行き交う。

左に、駕籠らしきものが並ぶ。

右に、黒い塀と建物が続く。

奥に、桜らしき木が並ぶ。

道の向き

道は、右奥から左手前へ延びる。

つまり、斜めに走る。

塀の色

右の塀は、黒い。

そして、屋根も暗い。

通りの場面

店の中ではなく、通りが描かれる。

つまり、店の外から見た図である。

駕籠の列

左に、駕籠らしきものが並ぶ。

そして、担ぐ人がいる。

桜の木

奥に、桜らしき木が並ぶ。

つまり、季節を示す。

もっとも、館の記録は書かない。

人の数

画面に、二十人以上が描かれる。

もっとも、重なりで数え切れない。

二枚目の年

年の欄を見たい。

1835年から1842年ごろとある。

つまり、一枚目と同じである。

二枚目の大きさ

縦24.4センチ、横37.5センチ。

つまり、九枚で最も横が長い。

三枚目は、店の中

下谷広小路の河内楼
歌川広重《下谷広小路の河内楼》1838年から1840年ごろ。錦絵。木版、墨と色、紙。館の記録では、縦25.1センチ、横36.8センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。ロジャーズ基金による購入、1919年。歌川広重《下谷広小路の河内楼》メトロポリタン美術館蔵

座敷の中が描かれる。

人々が、膳を囲む。

右に、障子と柱がある。

奥に、池と対岸が見える。

そして、簾が上に掛かる。

座る人々

座敷に、十人ほどが座る。

そして、向かい合う。

膳の描き方

膳の上に、器が並ぶ。

そして、赤と黒で塗り分けられる。

内と、外

座敷の中と、その向こうの景色。

つまり、二つの空間が一枚に入る。

三枚目の大きさ

縦25.1センチ、横36.8センチ。

つまり、大きいほうである。

題の長さ

叢書の名が入ると、題が長くなる。

つまり、二段構えになる。

叢書の名が、入る

三枚目の題には、叢書の名がある。

つまり、九枚のうち二枚だけである。

版の数

色ごとに版が要る。

つまり、色数だけ彫る。

多色摺という技法

色ごとに版を彫り、順に重ねる。

つまり、版の数だけ手間が掛かる。

錦絵という語

技法の欄に、錦絵とある。

つまり、多色摺の版画である。

同じ叢書で、違う書き方

同じ叢書に見えて、技法の欄が違う。

つまり、揃っていない。

語の有無

錦絵という語があるかないか。

つまり、記録の細かさが違う。

二枚だけ、錦絵

技法の欄に錦絵とあるのも、二枚だけである。

そして、七枚には入らない。

色の数

青、緑、黄、赤、そして墨。

つまり、五色以上が使われる。

画像から、分かること

九枚とも、多色で摺られている。

つまり、技法は同じだろう。

同じ技法のはず

九枚とも、多色で摺られている。

つまり、いずれも錦絵だろう。

直さずに、伝える

当サイトは、記録を書き換えない。

そして、揃わないことを書く。

登録の時期

同じ年に受け入れても、登録は別のことがある。

もっとも、館の記録は日を書かない。

記録の粒度

同じ叢書の中でも、書き方が違う。

つまり、揃っていない。