作品を知る

抱くと、輪郭が一つになる——デューラー・ムリーリョ・ドガほか九点

腕が体を囲むと、どこまでが抱く人か分かりにくくなる。抱くの九点を数えると、六点で対象は子、二点で鳥だった。古代の器では抱くことが人質を取ることであり、板の器具では動作の一部を道具が引き受けていた。同じ形が守ることにも奪うことにもなる。

産着の幼子を抱く聖母
アルブレヒト・デューラー《産着の幼子を抱く聖母》クリーヴランド美術館蔵

光の輪の下で、包まれた子が抱かれている

小さな版画である。

版の跡は14.2×9.6センチしかない。

線はすべて細く、黒い。

画面の中央に、女が座る。

座っているのは、大きな座布団の上である。

座布団は膨らみ、下で潰れている。

体は正面をやや向く。

顔はうつむき、目は伏せられる。

眉のあたりに、影が落ちる。

髪は長く、肩の両側へ流れる。

髪の束は、細かい線でうねる。

頭の後ろに、白い円がある。

円は光の輪である。

輪からは、細い光の筋が四方へ伸びる。

筋は下の地面まで届く。

膝の上に、子どもがいる。

子どもは布で巻かれている。

布は体をきつく包む。

腕も脚も、外へ出ていない。

首から下は、一本の棒のようである。

顔だけが、布から出ている。

目は閉じている。

口も閉じている。

子どもの頭にも、小さな光の輪がある。

女の両手は、その体を支える。

右手は肩の下、左手は腰の下にある。

衣は厚く、大きな襞を作る。

襞は下で床に広がる。

画面の下には、小さな板がある。

板に、年と記号が刻まれる。

産着の幼子を抱く聖母
アルブレヒト・デューラー《産着の幼子を抱く聖母》1520年。館の記録では、エングレーヴィング。版の跡は14.2×9.6センチ。番号は1980.48。クリーヴランド美術館蔵。アルブレヒト・デューラー《産着の幼子を抱く聖母》クリーヴランド美術館蔵

館の記録では、これはこの画家の描いたこの主題のうち、最も悲しみに満ちたものの一つである。

以前の版画と違い、二人は記念碑のような姿で示されている。

母は大きな座布団に座り、きつく巻かれた子を物思わしげに抱く。

その巻き布と、閉じた目と、こわばった姿は、後の死と埋葬の布を思わせるという。

そして、母がそれを先に知っていることを強めているという。

さらに館は、光の輪について書いている。

輪を白い球として描き、地上へ光の筋を放たせることで、母の聖性に目を向けさせる。

館の記録は、そう説明している。

つまり抱かれているのは、生きた子の姿ではない。

布で巻かれ、動かない形である。

この画家の板絵については、板の絵で扱った。

抱くは、九つの場所に現れる

この一枚を出発点に、抱くにまつわる九点を数えていく。

抱くという動作は、両手で体を支えることである。

支えられる側は、自分で立たない。

だから抱く姿は、力の差を示す。

先に言ってしまうと、九点のうち、子を抱いているのは六点である。

そのうち一点では、抱くことが人質を取ることである。

二点では、抱かれているのは鳥である。

そして一点では、子は器具に納められている。

つまり抱く対象は、六点で人、二点で鳥、一点で器具の中の人である。

乳を与える姿を、線で探す

二点目は、素描である。

幼子キリストに乳を与える聖母
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《幼子キリストに乳を与える聖母》1670年から72年ごろ。館の記録では、赤チョークと黒チョークの上にペンと茶インク、筆と茶の淡彩。白の痕跡がある。紙は21.4×15.4センチ。番号は1968.66。クリーヴランド美術館蔵。バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《幼子キリストに乳を与える聖母》クリーヴランド美術館蔵

小さな紙である。

紙は21.4×15.4センチしかない。

線は茶色で、速い。

同じ場所に、何本も線が重なる。

輪郭は一本に定まっていない。

画面の中央に、女が座る。

体は正面を向き、少し右へ傾く。

顔は下を向く。

視線は、腕の中へ落ちる。

膝の上に、子どもがいる。

子どもの体は小さく、丸い。

顔は上を向く。

目は、母のほうを見ている。

二人の視線が、そこで合う。

女の左腕が、子の背を支える。

右手は、胸元にある。

衣は肩から腰へ、斜めに流れる。

襞は太い線で示される。

線はジグザグに折り返す。

影は、茶の淡彩で置かれる。

淡彩は深く、輪郭を沈める。

紙の下には、赤と黒のチョークの跡がある。

上の隅には、文字が書かれている。

館の記録では、これはこの画家のまれな素描の中でも優れたものである。

ある礼拝堂のために注文された絵のための習作だという。

そして館は、この素描の役目について書いている。

今日は生き生きとした線が評価されるが、素描は人物の位置を決めるための実用のものだった。

ここでは、視線が触れ合うことで母と子の情が示されているという。

館の記録は、そう説明している。

さらに館は、右上の文字について書いている。

それは作者の署名ではなく、十七世紀の持ち主が記したものらしいという。

つまり名は、後から書き足されている。

膝の上で、赤子が眠る

三点目は、油彩である。

赤子を抱くロマの女
アメデオ・モディリアーニ《赤子を抱くロマの女》1919年。館の記録では、油彩・カンヴァス。全体は115.9×73センチ。番号は1963.10.174。ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵。アメデオ・モディリアーニ《赤子を抱くロマの女》ナショナル・ギャラリー(ワシントン)蔵

縦長の大きな画面である。

全体は115.9×73センチある。

画面の中央に、女が座る。

体は正面を向く。

顔は細長く、首も長い。

目は青灰色で、瞳が描かれていない。

鼻筋は一本の線である。

口は小さく、赤い。

髪は褐色で、真ん中で分ける。

上着は白い。

襟には、赤い縁取りがある。

袖は膨らみ、肘で絞られる。

膝の上に、青い布の塊がある。

塊は大きく、斜めに横たわる。

布の端から、桃色のものが出る。

赤子の顔と手である。

顔は小さく、目を閉じている。

女の両腕が、その塊を抱える。

手は組まれ、下から支える。

裾は薄い青緑で、床まで広がる。

背景は青灰で、平らである。

右には、椅子の背らしい形がある。

館の記録は、題と材料と寸法しか書いていない。

つまり誰かは書かれていない。

題にあるのは、その人の属する集団の名だけである。

赤子の顔は、画面の中でごく小さい。

面積で言えば、女の顔の三分の一もない。

しかし、そこだけが暖かい色である。

九点のうち、抱かれた子が布の中に隠れているのは、この一点で二点目になる。

素描帖の隅に、抱く姿がある

四点目は、素描帖の一葉である。