行列は、途中しか描けない——師宣・アンドレアーニ・グアルディほか九点
行列は横に長い。だから、小さく描くか、分けるかしかない。九点で、その解き方を数えたい。巻物、連作、器の一周。そして九点とも、列の先頭と最後尾は画面の外にあった。順序があることが、群衆との違いである。守られる人は、先頭ではなく真ん中にいた。

紙が、横に長く伸びている
横に長い一点である。
縦24.2センチ、横75センチ。
縦の三倍以上ある。
その上を、行列が左から右へ進む。
先頭のほうに、馬に乗る人がいる。
その後ろに、笠をかぶった人が続く。
長い棒を担ぐ人が数人いる。
中ほどに、屋根の付いた輿がある。
四人がかりで担いでいる。
さらに後ろにも、人が続く。
旗のようなものを持つ人がいる。
線は細く、手で色が差されている。
赤と黄が、点々と置かれる。
背景は、紙のままである。
道も、建物も描かれていない。

館の記録は、この一点を菱川師宣に帰属としている。
作者の欄に「帰属」の語が入る。
確実ではない、という意味である。
第十七回で見た同じ作者の版画には、この語がなかった。
二人の話で扱った一点は、断定されていた。
同じ作者名でも、作品ごとに確かさが違う。
館は、その差を語で示している。
行列には、決まった性質がある。
横に長い、ということである。
人が縦に並ぶのではない。
進む方向へ、一列に伸びる。
だから、行列を描くと、画面が横に長くなる。
九点を並べて、その扱いを数えたい。
前の回で、群衆を扱った。
群衆の話では、人が塊になっていた。
行列は、塊ではない。
線である。
一枚に収まらないから、続きにする
この一点は、巻物の形式で作られている。
館の記録は、その語を技法の欄に書いている。
巻いて仕舞い、広げて見る。
横に長い主題には、この形が合う。
ただし、七十五センチでも足りないことがある。
行列は、もっと長い。
館の記録には、この一点が全体の一部かどうかが書かれていない。
九点のうち、横が縦の二倍を超えるのは三点だった。
そのうち二点が、行列そのものを描いている。

館の記録は、寸法を三つ書いている。
画面が36.7×37.1センチ。
紙全体が38.9×37.8センチ。
台紙を含めて58.4×57.1センチ。
紙のほうが、画面より二センチ大きい。
つまり、細い余白が残っている。
こちらは、正方形に近い画面である。
縦36.7センチ、横37.1センチ。
行列を描いているのに、横に長くない。
理由は、番号を見ると分かる。
末尾に枝番が付いている。
八枚目、という意味である。
つまり、この一点は連作の一枚だ。
同じ大きさの版が何枚もあり、横に並べると長い行列になる。
一枚に収まらないから、分割している。
画面には、二十人以上がいる。
右に、太い柱が立つ。
その上に、装飾がある。
左に、四角い額のようなものを掲げる人がいる。
中央に、幼い子どもを連れた人がいる。
奥のほうに、長い棒が何本も立つ。
槍だろうか。
地の色は褐色で、明るい部分が白く抜ける。
館の記録によれば、これは百年前の絵を版にしたものである。
そして、公爵の注文で作られたと書かれている。
古代の将軍の凱旋を描いた場面だという。
これは館の記述である。
第十五回で、複製と反復を扱った。
絵を版画にして広める仕事は、長く続いてきた。
行列を、四角い板に収める

館の記録には、額の寸法がない。
絵そのものの寸法だけが書かれている。
もともと箱の一部だったなら、額はなかったはずだ。
いま額があるかどうかも、記録からは分からない。
第十二回で、素材と用途を扱った。
家具の部品が、絵として館に入ることがある。
そのとき、記録の欄は絵の書式で埋められる。
横長に近い板絵である。
縦47.5センチ、横53.8センチ。
右に、白い城壁と塔がある。
その手前に、人と馬の群れが集まる。
十数人いる。
先頭のほうに、白い馬に乗る人がいる。
赤や青の衣が目立つ。
左に、大きな岩がある。
そのあいだを、道が奥へ続く。
上には、槍らしい細い線が何本も立つ。
空は暗い。
館の記録によれば、これは壁に掛けるための絵ではない。
衣類を入れる箱の板だったと考えられるという。
そして、旅行用の箱だった可能性にも触れている。
これは館の見解である。
こちらで確かめられるのは、横長の板である、ということだ。
箱の側面なら、横長になる。
行列の主題と、箱の形が合っている。
第十二回で、判型と用途の関係を扱った。
家具の一部として作られた絵は、家具の寸法に従う。