作品番号の読み方——ターナーやホイッスラーの記録から
スミソニアンの形式

こちらは1929.6.11である。
年、群、通し番号という三段の形式である。
受け入れ記録には「ジョン・ゲラトリーの寄贈」とある。
つまり1929年に、一人の収集家からまとまった寄贈があった。
その第六群の11番目という位置になる。
画面には幼い子どもが描かれている。
緑の帽子をかぶり、白い花の飾りが付いている。
顔は正面を向き、目は大きく、頬に赤みがある。
衣は橙色で、首元に緑の布が巻かれている。
背景は暗い緑灰色で、筆の跡が粗い。
当サイトの番号は、別のものを使っている
ここで当サイトの仕組みにも触れておきたい。
作品の頁の住所には、提供元と番号が入っている。
しかしそれは所蔵番号ではない。
提供元のデータ上の識別子である。
たとえばメトロポリタン美術館なら、公開データの作品番号を使う。
理由は単純である。所蔵番号は形式が館ごとに違い、点や空白を含む。
住所として扱うには不便である。
一方、データ上の識別子は数字だけで、変わりにくい。
つまり機械のための番号と、館のための番号は別に存在する。
作品を人に伝えるときは、館名と所蔵番号を書くのが確実である。
番号がないものもある
一方で、番号を持たない資料もある。
館の図書室の書籍、写真の記録、修復の報告書。
これらは別の体系で管理される。
また、来歴が不明で受け入れが保留されている作品もある。
寄贈の申し出があっても、権利の確認が済まなければ受け入れられない。
つまり番号が振られていることは、館が責任を持って受け入れた印でもある。
当サイトが扱う作品は、いずれも番号を持つ収蔵品である。
権利の状態が明示され、館の記録として確定している。
その確かさが、公開画像を扱う前提になっている。
番号は事務の記号にすぎないが、
そこには「この作品を引き受けた」という宣言が含まれている。
見立て——番号は、館の歴史の目次である
まとめておきたい。
所蔵番号から読めるのは、次のことである。
いつその館に入ったか。どの群で入ったか。何番目か。
そして、群の大きさから寄贈や購入の規模が推測できる。
一方、番号から読めないこともある。
制作年、作者、来歴、そして価値。
いずれも別の記録を参照する必要がある。
つまり番号は目次であって、内容ではない。
しかし目次があるおかげで、同じ主題の別の一点を区別できる。
同じ画家の同じ題名の作品が二点ある場合、番号が決定的な手がかりになる。
番号で、作品を探す方法
実用の手順も書いておきたい。
美術館の公開データでは、番号で検索できる場合が多い。
館名と番号が分かれば、その一点にたどり着ける。
逆に、題名だけでは特定できないことがある。
同じ題名の作品が複数あるためである。
だから展覧会の図録や研究書では、番号を併記するのが慣例になっている。
自分で調べるときも、番号を書き留めておくと後が楽になる。
当サイトの作品の頁には、所蔵館名と提供元の識別子を記している。
そこから館の公開データへ進めば、番号にたどり着ける。
番号を使えば、確実に指せる
実際に役に立つ場面を挙げておきたい。
たとえば同じ画家の同じ題名の絵が、複数の館にある。
このとき「どの一点か」を伝えるには、館名と所蔵番号が要る。
当サイトでも、記事の中で同じ主題の別の一点を並べることがある。
その場合、寸法と所蔵館を書き添えている。
番号まで書かないのは読みやすさのためだが、
記事の裏づけとしては番号を確認している。
当サイトの slug と、番号の違い
技術的な話を少し足しておきたい。
当サイトの作品の住所には、提供元の識別子を使っている。
これは提供元のデータ上の番号で、所蔵番号とは別物である。
所蔵番号を住所に使わない理由は三つある。
点や空白を含むため、住所に適さない。
館ごとに形式が違い、統一できない。
そして、まれに改番されることがある。
一方、データ上の識別子は数字だけで安定している。
つまり機械のための番号を住所にし、人のための番号は本文に書く。
二つの体系を併用するのが、実務としては確かである。
番号は、公開データにも入っている
実務の話を足しておきたい。
四つの提供元は、いずれも公開データに所蔵番号を含めている。
つまり機械で読める形で番号が配布されている。
研究や記事で作品を特定するとき、この情報が役に立つ。
当サイトでも、取り込みの際に番号を保存している。
表示していない項目でも、記録としては保持している。
後から照合できる形にしておくことが、記述の裏づけになる。
暮らしへ——番号から、館の年表を作ってみる
最後に、日常に持ち帰れる話をひとつ。
好きな美術館の収蔵品を、番号順に眺めてみてほしい。
年の部分だけを拾うと、その館の歴史が見えてくる。
設立の年に大きな群があり、その後に断続的な寄贈が続く。
戦争や不況の年は受け入れが減る。
つまり番号の分布は、館の経営の記録でもある。
そして、自分の持ち物に番号を振ってみるのも面白い。
買った年と、その年の通し番号。
十年たつと、それは自分の収集の年表になる。
もう一つ。気に入った作品の館名と番号を、控えておくとよい。
題名だけでは、別の一点と混同することがある。
番号があれば、後から確実にたどり着ける。
番号は、記述の裏づけになる
最後に、書く側の話をしておきたい。
記事で作品に触れるとき、番号を確認しておくと安全である。
同じ題名の別の一点と混同する危険が減る。
読者に見せるのは館名と寸法でよい。
しかし裏では番号で確かめる。その二段構えが確かである。
番号は地味な情報である。
しかし、作品を確実に指し示せる唯一の手がかりでもある。
題名は訳され、作者名は表記が揺れる。
番号だけが、館の中で一意に決まっている。








