画家を知る

写生帖の、一頁ずつ——ジェームズ・マクニール・ホイッスラー

一冊の帖の頁が、一枚ずつ番号を与えられている。題には綴りの誤りと疑問符が並び、別の一点には原文のままという印が付く。技法の欄から一語が抜けた記録もある。台紙に貼られた紙と番号の対応まで、そのまま見たい。

建築の習作か(写生帖より)
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《建築の習作か(写生帖より)》メトロポリタン美術館蔵

写生帖の、一頁ずつ

一点から始めたい。

建築の習作か(写生帖より)
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《建築の習作か(写生帖より)》1854年から1855年。黒鉛、生成りの網目紙。館の記録では、縦19.2センチ、横12.7センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。マーガレット・C・ビュエルほか二名の寄贈、1970年。ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《建築の習作か(写生帖より)》メトロポリタン美術館蔵

薄い線で、図形が描かれる。

三角形と円が、重なる。

そして、縦の線が下へ伸びる。

下のほうに、曲がった線がある。

紙の縁が、白く写る。

九点という範囲

この記事で扱うのは九点である。

いずれも、一冊の写生帖の頁である。

そして、いずれも同じ館にある。

つまり、比べやすい。

色が、ほとんどない

九点とも、墨や鉛筆の線である。

つまり、もともと色数が少ない。

黒鉛という画材

技法の欄を見たい。

黒鉛、とある。

つまり、鉛筆の芯の材である。

消した跡

薄い線が、いくつも重なる。

そして、消した跡もある。

線の薄さ

線が、きわめて薄い。

そして、迷いのある部分がある。

見せるための絵ではない

写生帖は、人に見せる物ではない。

つまり、私的な紙である。

下描きという性格

これは、仕上げた絵ではない。

つまり、考えている途中の紙である。

括弧の中

括弧の中に、出どころが書かれる。

つまり、由来が題に入る。

題を、見たい

題の末尾に、写生帖より、とある。

一冊という単位

一冊の帖に、何十頁もある。

そして、その一部が館にある。

九点とも、同じ

この記事で扱う九点は、すべて同じである。

つまり、一冊の帖から出ている。

綴じを、解く

綴じを解けば、頁は一枚ずつになる。

つまり、扱いが変わる。

帖から、外れた紙

写生帖は、綴じられた冊子である。

そして、その頁が一枚ずつ登録される。

番号という単位

番号が付けば、独立して数えられる。

つまり、一点になる。

一頁が、一点

館は、頁ごとに番号を与えている。

つまり、それぞれが独立した作品になる。

記録の都合

一冊のままでは、中身を書き切れない。

つまり、分けるほうが詳しく書ける。

なぜ、分けるか

頁ごとに寸法も技法も違う。

だから、分けたほうが記録しやすい。

もっとも、館の記録は理由を書かない。

一点目の年

年の欄を見たい。

1854年から1855年とある。

つまり、二年の幅である。

題の綴り

題の最初の語を見たい。

建築を指す語だが、綴りが一文字足りない。

直せば、消える

直せば、元の記録が消える。

つまり、慎重さが要る。

誤りが、残る

館は、綴りを直していない。

つまり、そのまま記録されている。

何を描いたか

三角と円が並ぶ。

そして、建物には見えにくい。

疑問符も、付く

そのあとに、括弧つきの疑問符がある。

つまり、内容も確かではない。

分からないと、書く

内容が分からないとき、疑問符を付ける。

つまり、断定しない。

二重の留保

綴りの誤りと、内容の疑問符。

つまり、一つの題に二つの問題がある。

一点目の大きさ

縦19.2センチ、横12.7センチ。

つまり、九点で最も縦が長い。

直さずに、記す

当サイトは、記録を書き換えない。

そして、そのまま伝える。

二点目は、横長

二つの横顔と頭部の習作(写生帖より)
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《二つの横顔と頭部の習作(写生帖より)》1854年から1855年。褐色のインク、生成りの網目紙。館の記録では、縦14.9センチ、横18.4センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。マーガレット・C・ビュエルほか二名の寄贈、1970年。ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《二つの横顔と頭部の習作(写生帖より)》メトロポリタン美術館蔵

紙の左半分は、ほとんど空白である。

そして、薄い四角の線がある。

右上に、二つの顔が描かれる。

右下に、濃い髪の頭部がある。

左端に、縦書きの文字が写る。

二点目の空白

紙の左半分は、ほとんど空白である。

つまり、使い切っていない。

縁の文字

画像の左端に、文字が縦に並ぶ。

つまり、台紙に書かれた番号だろう。

二点目の顔

右上の二つの顔は、横向きである。

そして、線が細い。

記録の外の情報

館の記録は、この文字に触れない。

つまり、画像だけが伝える。

右下の頭部

右下の頭部は、線が密である。

そして、黒く見える。

褐色のインク

技法の欄を見たい。

褐色のインク、とある。

二点目の大きさ

縦14.9センチ、横18.4センチ。

つまり、横のほうが長い。

二つの画材

一点目は黒鉛、二点目はインクである。

つまり、頁ごとに画材が違う。

三点目は、四つの図

四つの素描(写生帖より)
ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《四つの素描(写生帖より)》1854年から1855年。褐色のインク、グワッシュ、黒鉛、緑褐色の網目紙。館の記録では、縦12.7センチ、横8.3センチとされる。メトロポリタン美術館蔵。マーガレット・C・ビュエルほか二名の寄贈、1970年。ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《四つの素描(写生帖より)》メトロポリタン美術館蔵

一枚の紙に、四つの場面がある。

左上に、卓に向かう人物がいる。

右上に、立つ人物が二つ並ぶ。

下に、しゃがむ人物が二人いる。

そして、右下に道具らしき形がある。

三点目の場面

四つの場面が、別々に描かれる。

つまり、関係がない。

三つの画材

インク、グワッシュ、そして黒鉛。

つまり、三つが重なる。

三点目の大きさ

縦12.7センチ、横8.3センチ。

つまり、八点目と同じである。

紙の色

紙は、緑がかった褐色である。

つまり、白い紙ではない。

白の効き方

地が暗ければ、白い絵の具が目立つ。

つまり、明暗が作れる。

色の付いた紙

地に色があれば、白が効く。

そして、グワッシュの白が浮く。