COLUMNSコラム: 画家を知る
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画家を知る
判型ごとに、別の商品——磯田湖龍斎
磯田湖龍斎は、柱絵、中判、大判、肉筆と判型を使い分けた。細長い紙には花鳥を縦に積み、中判では故事を当世の姿に置き換える。九点を並べ、判型ごとに商品が違ったことを確かめる。見立てという方法も見ておきたい。肉筆の掛軸との落差も確かめておきたい。
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模様に沈む人物——エドゥアール・ヴュイヤール
ヴュイヤールの室内では、縞の服が花模様の壁に溶けていく。厚紙という支持体、膠絵という技法、小品と装飾画の落差。模様の中の人が何を描いているのかを九点で読む。仲間との活動や、初期の自画像との落差も見ておきたい。
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平面にすると、色が残る——ポール・ゴーギャン
ゴーギャンは地面を桃色に塗り、色を輪郭で囲んだ。ブルターニュから南太平洋へ、色は土地とともに変わる。ただし島の絵は植民地の条件を抜きに読めない。九点で確かめたい。木彫と陶器の仕事にも触れ、方法の広がりを見ておく。
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反対の色を、隣に置く——ファン・ゴッホの補色
ゴッホは書簡で色の組み合わせを語っていた。橙の果実に青い手袋、黄と紫、緑と赤。理屈としての補色と、土地の光。四年という短い期間の色の実験を九点で確かめる。模写という学び方や、絵具の値段にも触れておく。
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輪郭のない花——オディロン・ルドン
ルドンの花瓶は、卓に載っていない。支える面を描かず、背景を曖昧にしたまま花を浮かべる。曖昧さは選ばれている。公開分に偏りがあることも含めて、九点で読み直したい。装飾として注文された縦長の対も見ておきたい。
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厚紙の地を、残す——トゥールーズ=ロートレック
ロートレックは厚紙に油彩で描き、紙の色をそのまま残した。夜の照明、速い線、小さな板の肖像。材料と場所が線をどう変えたのかを、九点の公開作品から確かめる。娼館を主題にした二点の扱いや、常連であることの意味にも触れる。
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舟を、画室にする——シャルル=フランソワ・ドービニー
ドービニーは舟に画室を作り、水面の高さから川を描いた。視点は寸法に現れ、極端な横長の画面になる。反射の描き方から板という支持体まで、足場が構図を決める過程を九点で読む。印象派への橋渡しと呼ばれる理由も見ておきたい。
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花だけを、四十三年——ファンタン=ラトゥールの静物
ファンタン=ラトゥールは同じ主題を四十三年描き続けた。器を選び、白い布を敷き、やがて器を省く。枠を固定すると細部が見えてくる。九点を年代順に並べて、その変化を確かめる。花の絵がイギリスで売れた事情にも触れておきたい。
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描きかけの仕上げ——ベルト・モリゾ
モリゾの絵では画布の地が見えている。薄い絵具、速い筆、白を白で塗らない選択。仕上げの基準を誰が決めるのかという問いから、家の中と庭に限られた主題までを九点で読む。家族の記録として残ったという条件も見ておきたい。
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黒は、面である——エドゥアール・マネ
マネの画面では黒が塊になっている。印象派が避けた色を、なぜ主役に置いたのか。仮面舞踏会の夜会服から舞台の黒まで、黒が絵の中で何をしているかを九点で確かめる。黒の絵具そのものの扱いにくさにも触れておきたい。
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ハチドリと、湿地——マーティン・ジョンソン・ヒード
ヒードは熱帯の花と鳥を精密に描き、同じ時期に湿地の草を描いた。無関係に見える二つの主題は、どちらも空気と光を扱っている。額込みの寸法まで含めて、九点で読み直す。図版集という未完の計画についても触れておきたい。
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自画像が、四点ある——アリス・パイク・バーニー
アリス・パイク・バーニーは自分の顔を何度も描いた。パレットを持つ姿は職業の宣言である。舞台の絵やパステルの小品も含めて、女性が画家として活動する条件を八点で読む。作品が残るかどうかは寄贈で決まるという点にも触れる。
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直径3センチから始まる——ジョン・シングルトン・コプリー
コプリーは象牙に描いた3センチの自画像から出発した。独学のボストン時代、ロンドンへの移住、そして事件を扱う大画面へ。小さな仕事が大きな仕事を支えた過程を、八点でたどる。大画面の展示が興行として成立した事情も見ておく。
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借りてきた品格——ジョシュア・レイノルズの大様式
レイノルズの肖像の姿勢は、古代彫刻や旧作から借りられている。寸法は注文の等級であり、値段の表でもあった。等身大の全身像から子どもの肖像まで、大様式の中身を九点で確かめる。絵具の実験とその代償にも触れておきたい。
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速さという趣味——フラゴナールの装飾画
フラゴナールの筆あとは、そのまま残されている。同じ構図が二点あり、大画面も対で作られた。装飾画は組で考えるという前提から、速さと反復が何を生んだのかを九点で読む。革命で注文が消えるまでの経緯も追いかけたい。
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見上げる絵の設計——ティエポロの天井画
天井画は、下から見上げられる前提で作られる。ティエポロの下絵は中央を空け、縁に人物を寄せる。壁から剥がされた断片や祭壇画の下絵まで、建築の一部としての絵を九点で確かめる。下絵がどこまで完成作を拘束したのかも見ておきたい。
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筆あとを、消さない——フランス・ハルスの肖像
フランス・ハルスは筆の跡を残したまま肖像を仕上げた。白い襟は数回の筆で置かれ、黒は一色ではない。書き換えられた年齢の数字まで含めて、速い仕上げが何を得たのかを十点で読む。速さが値段に関わっていた事情にも触れる。
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なぜ身体が伸びるのか——エル・グレコ
エル・グレコの人物は縦に伸びている。初期の横長の群像から晩年の細長い画面へ、何が変わったのか。署名の言語、工房の関与、見上げる位置という条件。九点を年代順に並べて確かめる。伸びの理由については、割れている説を割れたまま並べる。
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同じ顔を、量産する——クラーナハ工房のルター像
クラーナハ工房は、同じ寸法と同じ背景で肖像を作り続けた。蛇の標の翼の向きは年代を教え、顔だけが描き替えられる。ルターの肖像を含む九点で、作者性が仕組みに宿る過程を確かめる。板の産地や貼られた印刷文字まで手がかりになる。
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鳥の名前が書いてある——鍬形蕙斎の画帖
鍬形蕙斎の鳥の画帖には、一図ごとに名前が書かれている。名前が入ると、絵は鑑賞の対象から情報に変わる。図譜の作法と、めでたい取り合わせの混在。一枚ずつ売られて崩れた組を、九点で読み直す。名前が絵を情報に変える瞬間を見ておきたい。
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