COLUMNSコラム: 画家を知る

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    モネの隣人——セオドア・ロビンソン

    ジヴェルニーの村でモネと親しく行き来したアメリカ人画家は、フランス語の印象派をアメリカの水辺の言葉へ翻訳した。緑のセーヌの谷から、帰国後の運河と鉄道の跳ね橋まで。43歳で早世した「モネの隣人」ロビンソンの九点をたどる。

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    絵本を、壁画にする——モンヴェルのジャンヌ・ダルク

    絵本『ジャンヌ・ダルク』で世界に名を成した挿絵画家は、晩年、同じ物語を金箔入りの横長カンヴァス六面で描き直した。物語の順と制作の順のずれ、そして未完に近い最終面。画家の死で閉じられた「壁の大きさの絵本」を通しで読む。

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    絵は、まだ動いている——ライダーのひび割れ

    乾かないうちに塗り重ね、蝋まで混ぜたと伝えられる月夜の海は、完成から百年を経た今も変化を続けている。深いひび割れは劣化の記録であり、同時に描き方の記録でもある。金の革に描いた夕景まで、隠者の画家ライダーの八点を読む。

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    写しは、創造である——永樂保全

    中国の古器を研究し、京都の土と釉薬で再現する。茶の湯の世界では、その「写し」こそが正統の創造だった。交趾の黄、金襴手の赤と金、琳派風の月と秋草。千家十職の家に生まれた永樂保全の九点で、写しという思想の中身を読む。

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    数ミリの彫刻——セント=ゴーデンズの浮き彫り

    厚みは数ミリ。それでも髪も襟も表情も彫り出されている。カメオ職人から出発したアメリカ彫刻の第一人者は、友人を薄く親密に、偉人を厚く公共的に造形した。横顔のレリーフから塔上の金色の女神まで、九点で厚みの使い分けを読む。

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    締め切りのない絵——ドーミエの油彩

    約四千点の風刺石版画で生きた「新聞の人」は、その裏で、売るあてのない油彩を描き溜めていた。三等車両の母子、貧者の群れ、絵を値踏みする人々。転写用の格子が透ける未完成の画面まで、ドーミエのもう一つの顔を八点で読む。

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    同じ絵を、六十回——ヒックスの「平和の王国」

    クエーカーの説教者にして看板職人だったヒックスは、獅子と幼子の同じ絵を生涯描き続けたと伝えられる。反復は貧しさではなく、祈りの形式だった。理想の図像と植民の史実との距離まで含めて、「平和の王国」の画家の七点を読む。

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    空から、描き始める——ジョン・コンスタブル

    地面のほとんどない「空だけの絵」を、この画家は何十枚も油彩で写生した。雲の観察、実物大の下絵、そして最晩年の荒れた厚塗り。故郷の川辺だけを描き続けたコンスタブルの七点で、風景画に天気と時間を持ち込んだ方法をたどる。

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    街角を、絵に入れる——クリメルのフィラデルフィア

    銀行の柱廊の前で薪を挽く職人、夜の牡蠣屋台、雪の街を走るそり。偉人の肖像しか売れなかった時代のアメリカで、ドイツ移民の画家は街角のふつうの人々を描いた。最初期の風俗画八点を、その記録の価値と視線の偏りごと読む。

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    廃墟を、部屋に飾る——ユベール・ロベール

    崩れた橋に洗濯物が干され、神殿の池で人が水浴びをする。18世紀の貴族が客間に掛けた「廃墟の絵」は、滅びの絵ではなく、時間と同居する暮らしの絵だった。一室を飾った装飾連作を含む八点から、廃墟という主題の仕組みを読む。

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    絵を捨てた発明家——画家サミュエル・モールス

    モールス信号の発明者は、人生の前半を画家として生きた。巡回興行に失敗した大作《下院議場》、生計のための肖像、そして国家的注文からの脱落。絵に捨てられた野心が電信へ流れ込むまでの道筋を、画家モールスの八点でたどる。

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    行かずに描いた、南の光——アルベルト・カイプ

    イタリアに行かなかったと考えられている画家が、故郷の川と牛をイタリアの夕日で包んだ。銀灰色の初期から黄金の光の円熟期まで、ドルトレヒトをほとんど動かなかったカイプの八点で、風景画とは光の演出であることを確かめる。

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    筆でも窯でも、同じ意匠——尾形乾山

    型に落とした流水に椿の掛軸と、笹を描いた同じ意匠の皿が二枚。琳派の意匠は、紙の上でも土の上でも同じ手つきを見せる。絵と器のあいだを自在に行き来した尾形乾山の七点から、「デザイン」という仕事の先駆けとしての姿を読む。

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    横49.5メートルの絵——ヴァンダーリンのパノラマ

    縦3.6メートル、横49.5メートル。円形の部屋の内壁を一周する、端のない絵である。パリ帰りの歴史画家は、なぜ入場料を取る興行に人生を賭けたのか。若いアメリカで「大きな絵」を志した画家の、野心と挫折の一部始終をたどる。

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    権力を、絵にする——ティツィアーノの肖像

    ヴェネツィアの元首、枢機卿、教皇の孫。互いに争う権力者たちが、そろって同じ画家に描かれたがった。金の帽子、赤い法衣、十二歳の少年に掛かる黒い外套。ワシントンの六点から、地位を布と肌の質感に翻訳する技術の正体を読む。

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    風景に、時間を流す——トマス・コールの連作

    朝と夕の対幅、人生を四面で語る寓意の連作。一枚の画面では描けない時間を、コールは画面の数を増やすことで描いた。キャッツキルの朝霧から《人生の航路》の嵐まで、アメリカ風景画の出発点に立つ画家の九点で、連作の仕組みを読む。

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    植民地の独学者が、王の画家になる——ベンジャミン・ウェスト

    18歳の硬い植民地肖像から、英国王室の大画面まで。ペンシルベニアの宿屋の子は、ロンドンで歴史画の頂点に立ち、自分の工房を事実上の「アメリカ美術学校」にした。九点で、その異例の出世と、技を配った教師の顔の両方を見る。

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    静けさを捨てて、肖像へ——ニコラース・マースの二つの経歴

    レンブラントに学び、台所の静けさを描いた画家は、ある時期から一転して華やかな肖像画家になった。この転向は堕落か、それとも適応か。オランダ黄金時代の絵画市場の現実を、同じ画家の七点に走る大きな落差から読み解く。

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    肖像は、家の資産だった——ジョン・シンガー・サージェント

    題名に並ぶ「夫人」の文字は、肖像画が家の資産だった時代の名残りである。等身大の白いサテンから、醜聞と転居、注文をやめた後の静かな絵まで。サージェントの九枚で、19世紀の肖像画という商売の成立から店じまいまでを見る。

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    風景と光は、ここから始まった——ジョヴァンニ・ベリーニ

    小さな肖像の型、聖母子の変奏、絵の主役に育っていく風景、そして最晩年の異教主題。ティツィアーノらを生んだヴェネツィア絵画の土台は、一人の画家が六十年かけて敷いた。ワシントンに揃う八点で、その歩みを順にたどる。

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