COLUMNSコラム: 作品を知る

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    寸法が、三段で書かれる——中国の掛軸九点

    画面の大きさ、表装を含めた大きさ、軸先を含めた大きさ。掛軸の寸法の欄は三段になる。表装が画面の二倍に及ぶ点もある。巻いたときの太さだけが書かれない理由を読みたい。高さが三メートルを超えると、書き方が変わる。

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    技法の欄に、枚数が書かれる——勝川春章の続き物の版画

    二枚続き。三枚続き。五枚続き。錦絵の技法の欄には、枚数を示す語が入る。五枚のうち一枚だけが四年後に館へ入った件もある。一枚では意味が通らない絵を、どう数えるかを読みたい。番号の枝が、枚数と一致している。

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    同じ二人が、三度出てくる——喜多川歌麿

    九点の題を読むと、同じ二人の名が三度現れる。芝居から来た男女である。判型も年も違う三点が、同じ主題を扱う。柱絵という細長い紙も含め、題の担う説明の量を見たい。四組の男女が並ぶ。顔の描き分けにも、目を向けたい。

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    縦が、横の三倍ある——歌川広重の花鳥

    九点のうち五点は、縦が横の三倍近い細長い紙に摺られている。掛けて見るための判型である。狭い紙に枝を斜めに置き、文字を上に入れ、月を白く残す。形の制約が、何を可能にしたのかを見たい。残る四点の判型も、二つに分かれる。

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    技法の欄に、鉱物の名がある——東洲斎写楽の雲母摺

    九点の技法欄には雲母の語が入る。粉を地に置いて光らせる高価な処理である。ただし光は写真に写らず、画像では灰色の面にしか見えない。記録の一語が示す、見えない仕上げを追いたい。同じ技法が二通りに書かれる点にも触れる。

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    縦が、横の六倍ある——鈴木春信の柱絵

    九点のうち五点は、縦が横の五倍から七倍ある。柱に掛けるために作られた判型である。横に広がる場面は入らず、立ち姿と縦に長い道具だけが残る。制約が構図を決めるさまを見たい。画像に写り込む撮影用の目盛りにも触れる。

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    百枚のうち、六枚しかない——葛飾北斎の百人一首

    百人の歌に絵を付ける計画は、三十枚に満たずに止まったと伝えられる。九点のうち六点がその組で、いずれも1839年である。歌をそのまま描かず、働く人の場面に置き換える作りを見たい。受入が二度に分かれている点にも触れる。

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    虫と貝を、狂歌と一緒に摺る——喜多川歌麿の絵本

    九点に人は一人も出てこない。出てくるのは蜂、蝶、蛍、蛇、蝸牛、そして貝である。一枚ずつ売る版画ではなく、狂歌の会が作った本の頁である。夜を暗く摺った見開きと、水の染みを見たい。版元の名が残る奥付の頁にも触れたい。

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    波の下に、三十人がいる——葛飾北斎《神奈川沖浪裏》

    《神奈川沖浪裏》には、三十人ほどの人間が描かれている。舟の種類、三つの三角形、水平線の高さ、隅に押された落款。縦25センチほどの一枚の版画を、細部から読み直したい。同じ図の別の摺りや、同じシリーズの他の図と並べながら追いかける。

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    点は、目の中で混ざらない——スーラ《グランド・ジャット島の日曜日の午後》を読む

    四十人以上が集まりながら、誰も動かず、誰も目を合わせない。縦2メートル・横3メートルの画面は、小さな板の下絵からどう組み立てられたのか。そして、いま見えている色は当時の色ではない。二年をかけた一枚を、制作の順序に沿って読み解く。

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    ゴッホはなぜ、同じ部屋を三度描いたのか——シカゴの《寝室》を読む

    《寝室》の油彩は三枚ある。繰り返しは川の氾濫から始まり、影のない部屋は日本の版画にならって塗られた。そして壁の色は、いま見えている青ではなかった。手紙と科学調査、そして三枚が歩いた道から、一枚を読み直す。

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    クロード・ロラン《ラ・クレシェンツァの眺め》——理想を描いた画家が一度だけ選んだ現実

    縦38.7センチの画面に、事件が何も起きていない。神話画家クロード・ロランが一度だけ実在の館を主題にした一枚を、当時の絵画の序列、彼自身が作った定型、戸外の素描、そして『真実の書』という帳面から読み解く。

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